10話 執着の秘密、事件の足音
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…目の前にいる人を、紗夜は呆然と見つめていた。
大好きな、とても大切な人が、自分の目の前で倒れている。
真っ赤な炎の中、同じくらい真っ赤になったその人の着物が、幼い自分の瞳に焼き付く。怖いとは思わなかった。その人は、いつものように、紗夜を見て、優しく微笑んでいた。
いつもと同じはずなのに、どこか寂しい。そんなその人の瞳を見て、紗夜も寂しくなり、悲しくなった。
ほんの少しして、もう一人の大切な人が倒れたその人に駆け寄る。目にいっぱい涙をためて。その光景を見て、ぼんやりと思った。
もうこの人は助からない。
もう二度と会えない。
そう思うと、じわりと視界が滲んだ。倒れたその人は紗夜の顔を見ると、掠れる声で呟いた。
「紗夜、どんなに辛いことがあっても…生きて……」
そう言って、その人は微笑みを浮かべたまま、優しげな瞳を閉じた。もうその瞳が開かれることはない。真っ白な頬がそれを物語っていた。
その人の傍に寄り添った、もう一人の大切な人が泣き叫ぶ。悲痛な声をあげながら、その人はゆっくりと紗夜を見た。
その瞳は…―
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