6話 見つめる先は
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沢田家は、朝から慌ただしかった。
「うわー!やばい、遅刻するー!!」
「ツナ、ご飯は?食べないのー?」
「そんな時間ないよー!」
ツナは制服に着替えながら、どたばたと階段を下り、そのまま玄関で靴を履く。
そこに、ちょこんと、スーツ姿の赤ん坊がやってきた。
「おい、ツナ。今日、お前の友達を家に連れて来い」
「え、友達って…獄寺君と山本?昨日も来たじゃん」
「ちげーぞ。お前と同じクラスの、片桐音羽だ」
「なっ!片桐!?なんでだよ?」
ツナは目を丸くして、リボーンに尋ねる。
すると、リボーンはニヤリと笑った。
「ちょっと、試してーことがあるんだ」
――こいつ、何する気だー!?
「…うわ、やばい、ほんとに遅れる!行ってきまーす!!」
ツナは鞄を引っ掴むと、勢いよく家を出て行った。
――片桐音羽…、一回、会ってみたかったんだ。今日は丁度、あいつも来るしな…。
リボーンはツナの後ろ姿を見送って、密やかな企みに想いを馳せる。
「ママン、食後のコーヒーが飲みたいぞ」
リボーンはぴょんっと、キッチンに戻ると、優雅な食後の時間を過ごした。
―――――……
――ああ…もう…絶望…。
音羽は教室に入って席に着くなり、ばたりと机に突っ伏した。
昨日は雲雀の事ばかり考えて、ろくに眠れなかった。
思い出すだけで、恥ずかしくて死にそうになる。
雲雀に頬を触れられた感触も、音羽を射抜く綺麗な灰色がかった瞳も、忘れられない。
そして、自分がとった行動も…。
雲雀に触れられて、あんな至近距離で見つめられて、本当に死ぬかと思った。
でも、だからと言って、あんなに馬鹿正直に真っ赤になって、図書室を飛び出さなくても良かったのではないだろうか…。
あれではもう、好きです。と言っているようなものではないか。
――ああ、もう!私のバカ!絶対、私の気持ちバレちゃった…もう、恥ずかしい、雲雀さんにこれからどんな顔して会えばいいんだろう…。
はあ、と溜息をつく度に、恥ずかしさで涙が滲む。
――でも、雲雀さん…優しかった…。
音羽はまた頬に熱を感じながら、昨日の雲雀を思い出す。
音羽の頬の汚れを拭ってくれた指も、けして乱暴ではなく、むしろ丁寧に頬を滑った。
瞳だって、射抜くような鋭さはあるのに、どこか不思議な優しさを感じた。
――あんな事されたら、もっと好きになっちゃうじゃないですか…。
音羽はもどかしさを抱えるが為に、授業が始まるまで机に潰れていた。
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