37話 約束
【名前変換】
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
―――翌日―――…
昼過ぎ、音羽はボンゴレ本部にある談話室のソファに腰かけて、雲雀が戻って来るのを待っていた。
何でも、ツナと二人で話さなければいけない事があるらしいが――…それが昨日の続きなのかどうか、音羽には分からない。
雲雀は、巷ではボンゴレ最強の守護者、と言われている。
だから、雲雀にだけ内密に依頼される仕事は多々あるので、こうして音羽が彼を待つことは、珍しい事ではなかった。
「……」
音羽は、先程自分で入れた紅茶を一口飲んで、ふぅっと一つ息を付く。
談話室には革張りのソファが一式置かれていて、自分たちで好きに淹れられる紅茶やコーヒー、お菓子がいつも用意されている。
今は付けていないがテレビもあるし、壁に沿って置かれた大きな本棚には、色々な国の本が並んでいた。
この談話室は比較的狭くて、こじんまりしているが、他のもっと広い談話室には、ダーツやビリアードなど、まるで娯楽施設のような設備もあるので、初めて来た時には驚いたものだ。
だが音羽は、いつも静かで本のあるこの談話室が一番気に入っている。
窓の外を覗けば、緑豊かな森が見えるし、その向こうには綺麗な街並みも臨むことが出来た。
音羽は紅茶の入ったカップをテーブルに置いて、立ち上がる。
窓を少しだけ開けてみると、爽やかな風が室内に入り込んできた。
――……ドイツに行く理由、結局聞けてないけど……何なんだろう…?
音羽は窓の外、イタリアの街並みをぼんやり見つめながら、そう思う。
結局昨夜は雲雀に流されて聞けなかったし、今朝は疲れて寝坊してしまい、バタバタ準備していたので聞けなかった。
『イタリアでの用事は済んだからね。それに、これからドイツで済ます用事の方が、余程大事だよ』
昨夜雲雀は、そう言っていたが―――……
本部で済ます“用事”も大切だったはずなのに、それよりも大切な用事とは、一体何なのだろう。
雲雀がそこまで言うのならば、きっと重要な事に違いない。
そう思うと余計気になってきてしまって、音羽はそわそわした気持ちを紛らわせる為に、本棚を物色した。
と言っても殆ど読めない言語ばかりなので、背表紙の装丁が美しい物を手にとっては表紙を見てページをぱらぱら捲り、また戻す、という事を繰り返す。
音羽が取り留めもなく、そんな事をしていた時だった。
――コン、コン
不意にドアを叩く音がして、音羽はハッと我に返る。
弾かれたようにそちらを振り返ると、ドアがゆっくりと開いた。
「よっ、片桐!邪魔するぜ」
「…久しぶりだな、片桐」
「!山本君、獄寺君…!」
現れたのは、もう半年以上会っていなかった、獄寺と山本だった。
―――――――――……
学生時代の面影はあるものの、すっかりスーツの似合う大人になった二人は、それぞれコーヒーを淹れてソファに座った。
どうやら、ツナから音羽が来ているという話を聞き、ここまで来てくれたらしい。
音羽も彼等の向かいに腰をおろし、近況について語り合った。
二人は、基本的にツナと行動を共にしつつ、自分達の任務もそれぞれこなし、多忙な日々を送っているそうだ。
十年経った今でも三人で何だかんだ一緒にいるらしいので、本当に仲がいいのだと思い、何となく嬉しいような、ほっとするような気持ちになる。
山本は昔から変わらずでよく笑うし、獄寺は昔より落ち着いた雰囲気になったが、根は変わっていない。
山本に喰ってかかるのもそのままで、ツナに対する絶大な信頼も、その右腕になってさらに倍増していた。
「獄寺君も山本君も、元気そうで良かった」
二人の話を聞いて、音羽が微笑んでそう言うと、山本は明るく笑う。
「ははっ、そうだな。俺も、片桐が元気そうで嬉しいぜ」
「雲雀にあちこち連れ回されてるって聞いてたけど、大丈夫なのかよ?」
怪訝に眉を寄せた獄寺にそう問われ、音羽はつい苦笑を浮かべた。
「うん、大丈夫。最初の頃は目が回りそうだったけど……最近はこの生活にも慣れてきたから」
「…確か雲雀は、匣について調べてるんだったよな?」
「うん」
山本に問われて音羽がこくりと頷くと、次いで獄寺が不可解そうに言う。
「でも、雲雀はもう大方満足いく答えを見つけたらしいって、前に十代目が仰ってたが…違うのか?」
「うーん…匣についてはそうみたいなんだけど、まだ研究は続けてる…。あと今は、他の調査の方に力を入れてて…」
「他の調査?」
山本が首を傾げ、音羽は少し俯いて答えた。
「…そう…。実は、私専用の匣について調べるために、ここ一年飛び回ってたんだ…」
・