30話 怒りの炎
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―――――――………
ザンザスの連射攻撃を受けたツナは、バジルとの特訓で得た技“零地点突破”を使おうとした。
ノッキングするような不規則な炎を見て、顔色を変えたザンザスは、その技の存在を知っていたようで――…
ツナの炎の明滅を見ると、その技を使わせないように全力で阻止してきた。
だがツナも諦める事はなく、ザンザスの攻撃を受け、時にかわしながら、ついに零地点突破を成功させたのだ。
ザンザスの憤怒の炎を蓄えた銃撃を受けたにも関わらず、体から死ぬ気の炎を溢れ出させて立ち上がったツナに、ザンザスも目を見開く。
その様子をモニターで見ていたコロネロは、リボーンを振り返った。
「どーなってやがる!確かに、ツナは直撃を喰らったはずだぜ、コラ!」
リボーンはモニターに映るツナを見据えたまま、口元に弧を描く。
「ザンザスの憤怒の炎を中和したんだ。死ぬ気の炎の逆の状態になってな」
「!死ぬ気の逆…?」
「ああ、マイナスの状態ともいうけどな。死ぬ気の零地点突破とは、普段のニュートラルな状態を0地点。死ぬ気になって炎が出ている状態をプラスとした場合、それとは逆のマイナスの状態になる境地の事なんだ」
リボーンの説明を聞いていたシャマルは、首を傾げた。
「マイナス……?つまり、何もしてない時より、更に死ぬ気が空っぽってことか?」
「そうだぞ。そして空になった分は、敵の炎を受けても吸収して、ダメージをなくしちまえるんだ」
リボーンはそう答えて、再びモニターに視線を移す。
ツナを凝視していたザンザスの体が、ゆらりと揺れた所だった。
『……それが、初代が使ったという、死ぬ気の零地点突破か』
『そうだ』
はっきりと答えたツナに、ザンザスは口の端を持ち上げる。
『ふっふっふっ……ぶっはっはっは!!こいつぁケッサクだぁ!!!』
『!?』
声高に嘲笑うザンザスに、ツナは目を見開いた。
ザンザスはひとしきり笑うと、氷より冷たい目をツナに向ける。
『誰に吹き込まれたかは知らんが、零地点突破はそんな技ではない!!』
『!!』
『本物とは似ても似つかねえな。考えてもみろ、腐ってもボンゴレの奥義だぞ。使い手がそれほどダメージを受ける、チャチな技なわけねえだろ!!!』
「っ…知ったような事を…!」
画面越しにザンザスの言葉を聞いたバジルが、唇を噛みながら言った。
だがリボーンは表情を変えず、ボロボロになったツナの姿を見つめる。
「確かに、奴の言う通りだ。ツナは、憤怒の炎を吸収しきれず、摩耗している。こいつを使っても、勝ち目はなさそうだ…」
「そんな…っ…!」
バジルは、追い打ちをかけるようなリボーンの言葉に眉を寄せた。
「リスキー過ぎるしな。死ぬ気の逆とは、強制的に生命力を枯渇させる危険な状態である上に、敵の攻撃を受けるタイミングを間違えば、直撃を喰らう」
「で…ですが…リボーンさん…!拙者達は、この技を目指して、修行してきたんじゃないんですか!?」
顔を青ざめさせたバジルをちら、と見やって、リボーンは答える。
「そうだとも言えるが……違うとも言えるな…。死ぬ気の零地点突破は初代が使った“技”という印象が強いが、正確には技を導く為の死ぬ気とは逆にある“境地”の事だ」
「境地…?」
不思議そうな顔をするコロネロに、リボーンは頷きを返した。
「…もしツナがその境地に達していたとしても、あみだされる技は初代と違う可能性がある」
「そ、そんな……!では、失敗なんですか!?沢田殿は…何の為に、あれほど厳しい修行を……!」
「………」
ツナと共に修行に励んできたバジルは、悔しげに拳を握りしめる。
その想いがよく分かるからこそ、リボーンは何も言わなかった。
モニターに視線を映し、教え子の姿を見守る。
モニターの中のツナの瞳は、まだ強く輝いていた。
ザンザスは再び握った銃に炎を宿す。
『終わりだ、カス。灰になるまで撃ちこんでやるぞ』
ツナは眉間に皺を寄せ、真っ直ぐにザンザスを捉えた。
『しっかり狙えよ』
『何?』
ツナには怯えも、恐怖も、絶望もない。
ザンザスがツナを睨みつけると、ツナは再び己の前に両手を伸ばした。
『次は上手く、やってみせる』
ツナは先ほどの零地点突破の構えから、左手のみを裏返す。
「ブラッド・オブ・ボンゴレ。ツナの超直感が、何かを見つけたらしいな」
確信を持ったツナの瞳に、リボーンはニッと笑った。
『零地点突破――改』
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