27話 守るものはこの腕の中に
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――――――――………
クロームたちの危機を間一髪で救ったツナは、モスカにターゲットにされ、集中攻撃された。
だが特訓の成果もあって、ツナはあっという間にモスカの胸部に決定的な一撃を打ち込み、極めつけに、手刀でその頭部から胴体部分を真っ二つにしたのだ。
モスカの動きは止まったが―――……
そこから出てきた“モノ”に、一同は目を見開いた。
「!?」
「中から、人が…!!」
モスカの中から出てきたモノ―――…それは、人間だった。
白髪の老人で、体と足を黒いテープで固定されている。
胸は血まみれで、深い傷を負っていているのは一目瞭然だった。
青ざめた顔をしたツナの額から、死ぬ気の炎が消える。
「こ…この人……九代目……!?」
「!!そんな……なぜここに!?」
ツナと一緒に来たバジルが、信じられないといった様子で叫んだ。
どうやらあの老人は、ボンゴレ九代目――つまり、現ボンゴレのボスらしい。
リボーンは救急箱を抱え、直ぐさま九代目の元に駆けつける。
「おい、しっかりしろ!…!」
リボーンは九代目に声をかけ、やがて小さく舌打ちをした。
「ちっ、モスカの構造、前に一度だけ見たことがある。九代目は……ゴーラ・モスカの動力源にされてたみてえだな」
「!!動力源!?ど、どうして…!?」
「どうしてじゃねぇだろ!」
「!?」
ツナの叫び声に、ザンザスのドスの聞いた声が被さる。
「てめぇが九代目を手にかけたんだぞ」
ザンザスは憎悪と蔑みに満ちた瞳で、ツナを見下ろした。
ツナはびくりと肩を跳ねさせて、手袋をつけた己の手を、震えながら見つめる。
「オ…オレが…?あ……」
ツナの視線が九代目を捉えると、その口の端からどろりと血が伝い落ちた。
リボーンは、勢いよく九代目の拘束を取り去ると、傷口を見て、珍しく険しい顔をする。
「やべえな…応急処置で何とかなる傷じゃねえ…」
「そ…そんな……っ!…そうだ、片桐、片桐……!」
「!!」
狼狽えたツナが辺りを見回しながら、音羽を探し呼んだ。
ただ事ではない緊迫した空気に、音羽は雲雀から離れて、ツナの傍に駆け寄る。
ツナは冷や汗を流しながら、縋るような瞳で音羽を見上げた。
「お願いだよ、片桐……九代目が…!」
「頼めるか、音羽」
リボーンに冷静に問われ、音羽は息を呑んだが、頷きを返して九代目の元に屈んだ。
九代目の胸元は血で真っ赤に染まり、確かに救急箱のみでの治療ではどうにもならなそうだ。
虫の息の老人の手を取って、音羽は必死に力を使った。
どこまで出来るか分からないが、ありったけの気力を集中させて、九代目の怪我を治癒していく。
だが、九代目の怪我は予想以上に深く、しばらくすると治りきらないうちに限界が近づいてきた。
「っ……」
それでも、この人を死なせてはいけないのだと思って、音羽は一生懸命だった。
九代目を死なせてしまっては、ツナは人を殺してしまったことになる。
例えそれがツナの本意でなくとも、優しい性格のツナならば、一生その十字架を背負って、苦しみながら生きていくだろう。
そんなことあってはいけない―――
そんな思いに駆られて、音羽はとうとう視界が揺れるまで、九代目の治療を続けた。
「…ぅ…っ…」
「片桐…!」
音羽は体に圧し掛かる疲労と倦怠感に襲われながら、ようやく九代目の手を放し、がくりと地面に手をつく。
無茶をしすぎたのか、頭がくらくらして、気持ち悪い。
今すぐ体を横たえたいくらいだが、そうすればきっとすぐ気を失ってしまう。
意識だけは手放すまいとして、音羽は力一杯土を掴み、肩で息を繰り返した。
すると不意に、支えるようにして音羽の体が起こされる。
「―――音羽」
肩を包まれる温かい温度を感じ、音羽は同時に耳元でした声に顔を上げた。
見れば、雲雀が眉を顰めて、音羽の肩を抱き起こしてくれている。
「雲雀…さん…」
音羽は雲雀の顔を見て安堵しながら、まだぼんやりする視界の中に九代目を移す。
血が付着しているせいで傷の治りはよく見えないが、九代目の表情は先ほどよりも落ち着いて見えた。
手応えとしても、完全まではいかないが、ある程度の深さまでは治せたように思う。
だが、九代目が目を開けることはない。
限界がきた音羽がぐったりと雲雀に凭れ掛かると、ザンザスがふんと鼻を鳴らした。
「天の守護者の力でも、治しきれねぇほどの大怪我みてぇだな。誰だ?じじぃを容赦なくぶん殴ったのは」
「!」
ザンザスの責め苦に、真っ青になったツナがビクリと震える。
「誰だぁ?モスカごとじじぃを真っ二つに焼き切ってたのはよぉ」
「!!そ…そんな…オ、オレが…九代目を……」
止まないザンザスの言葉に、ツナが荒く息をしたときだった。
「ちがう……」
弱々しい掠れた声が、九代目の唇から漏れ出た。
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