14話 満ちゆく恋心
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「――ここが、黒曜ランド…」
音羽は緊張に息を呑んで、荒廃しきったその建物を見上げた。
半分ほど土砂に埋まったそこは、人の気配など微塵もない。
しかし、ここに雲雀がいるのだ。
音羽は恐怖を振り払って、建物の敷地内に近づく。
鉄の門は人一人分ほど開いていて、足元には鎖が落ちていた。
誰か入った人がいるらしい。あるいは、敵の出入り口か…。
ごくりと唾をのむと、音羽は門をくぐった。
見覚えのない土地を道なりに進んで行くが、人影は全くなく、しん、と静まり返っているのが、別の意味で怖い。
しかし、誰かここに来たのか、所々新しく荒れた形跡のようなものがあった。
いつ誰に襲われるか、不安な気持ちのまま、音羽は警戒しながら前へ進む。
こんな所に一人で来るなんて、自分でも馬鹿だと思う。
でも、雲雀に会わなければいけないのだ。
そう自分の気持ちを奮い立たせながら、そのまま歩き続けていると、獣道から段々、舗
装された道につながって来た。
そこもかなり荒れていて、何か戦闘があったようにも思える。
でも、一体誰が?
そんな事を考えていると、前方から人の声が聞こえてきた。
「……?」
音を立てないようにそっと近づき、木の陰に隠れながら、向こうの開けたところを見る。
そして音羽は、目の前の光景に目を見開いた。
「――沢田君…!!」
音羽が声を上げた先には、またなぜかパンツ一枚の姿のツナと、保健室に運ばれたはずの獄寺、初めて見る美人な女性とリボーン、そして、口の端から血を流してしゃがんでいる男がいた。
「片桐――!!?」
音羽の存在に気付いたツナが、真っ先に叫ぶ。
ツナも男も、どちらも傷だらけのボロボロで、たった今まで戦っていたかのようである。
しかし、あんなに怖い顔をしていて大柄なのに、男の佇まいはどこか穏やかで、不思議と恐怖を感じない。
そこに居た誰もが音羽の存在に気が付き、驚きを隠せずにいる。
音羽も又、ツナ達がここに居るとは思いもよらず、けれど知った面々が居た事に安堵した。
音羽はおずおずと木陰を出て、ツナ達の方に近づく。
すると、男がハッと何かに気付いたように叫んだ。
「お前は――!!まさか、片桐音羽…!?」
「…え?」
見ず知らずの男に突然名前を呼ばれて、音羽は足を止め、ぽかんとして男を見る。
「え、片桐を知ってるんですか!?」
驚いたのはツナ達も同様らしく、ツナも思わず声を上げた。
「なぜここに来たんだ!?」
「…え、あの…」
ツナの言葉には答えずに、男は真剣な眼差しで迫るように音羽に問う。
音羽は、男の気迫に押されながらも、何とか答えた。
「…私は、雲雀さんの所に――」
「ダメだ、ここに来てはいけない!!骸は、お前を狙っている!!」
「…!?」
男の予想もしない言葉に、音羽は息を呑んだ。
骸――それが誰なのか知らないが、おそらく犯人の名前だろう。
でなければ、この人がこんなに必死に止めるわけがない。
直ぐに察しがついたものの、まさかその犯人の狙いが自分だと言われても、理由も分からなければ、心当たりもない。
「!まさか、敵が言ってたオレら以外の目的って、片桐…!?どういうことですか!?」
ツナ達も、信じられないという顔で、男を見ている。
男は一瞬躊躇った末、ツナを見据えて口を開いた。
「…いいか、よく聞けボンゴレ…。骸の本当の目的は――…っ!!どけっ!!」
男はハッとして言葉を切ると、目の前に居たツナを突き飛ばした。
瞬間、ビュッと音を立てて飛んだ何かが、男の左腕から胸にかけて、突き刺さった。
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