11話 襲撃
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並盛町夜9時――――
「うっ…ぐはっ…!」
夜の静寂が、終わりを告げた。
並中風紀委員会の腕章を付けた男が、うめき声をあげて地面に倒れ伏す。
それを無情に見下ろす影が、二つ。
「よえーよえー、風紀委員恐るるに足らーず!」
「貴様ら…何者だ…」
風紀委員は痛む上体をずり起こし、顔だけを後ろに向ける。
「んあー?遠征試合にやって来た、となり町ボーイズ?」
影の一人が、嘲笑するようにそう言うと、もう一人が気だるく呟いた。
「それ、つまんないよ。早く済ましてよ、犬」
そう言われると、影の一人――…犬は屈んで風紀委員を見下ろした。
「こいつ何本だっけか?ちょっくら頂いていくびょーん!」
にやりと笑う彼の手には、ペンチが握られている。
それを見た瞬間、風紀委員の表情が強張った。
「なっ、何をする気だ!?」
「恨まないでね~、上からの命令だから」
「まて!や…やめ…!」
犬に髪を掴まれて、風紀委員の顔が強制的に持ち上げられる。
彼の静止の手は、虚しく宙を掻いた。
「ほい」
「うぎゃああああ!!」
夜の並盛町に、不穏な悲鳴が響いた―――…
――――――――…
9月9日。
夏休みも明け、音羽は学校に向かっていた。
夏祭りで雲雀と花火を見た事は、夏休み一の思い出になった。
――雲雀は、音羽の事をどう思っているのだろう。
夏休みは、その事ばかり考えていた。
いつも何だかんだ音羽を助けてくれるのも、獄寺たちと一緒に居て怒っていたのも、あの日、手を繋いだのも理由が知りたい。
彼の、気持ちが知りたい。
もし自分の気持ちと、彼の気持ちが一緒なら――…
この片思いを、終わりに出来るかもしれない。
もし確信が持てたなら、音羽は勇気を出して、雲雀に言おうと思った。
そう思って明けた、夏休み。
しかし新学期早々に、音羽の頭の中は別の事でいっぱいになってしまった。
――それは、並中の風紀委員が立て続けに襲われているという事件である。
今朝母から聞いたのだが、この土日で並中の風紀委員8人が重傷で発見されたらしい。
そして、襲われた風紀委員は皆、なぜか歯を抜かれ、中には全部の歯を抜かれた者もいるという。
音羽は歩きながら、その状況を想像して身震いした。
――怖い…一体誰がそんなことをしているんだろう…。それに…―――
風紀委員といえば、雲雀だ。雲雀なら、きっと誰が襲って来ても返り討ちにしてしまうだろうが、それでも彼が傷ついた姿は見たくない。
――雲雀さんが、怪我とかしなければいいけど…。
音羽はもやもやとした不安を抱えながら、早く犯人が捕まることを切に願った。
通りにいる並中生は、みんな怯えた表情をして登校しているし、学校に近づくにつれて風紀委員の姿も増えていく。
町全体が、恐怖に包まれている事を肌に感じていると、やがて学校が近づいてきた。
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