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《其ノ漆》合コンで人一倍張り切って空回る女大体地雷
❀
真選組にお世話になり、早いもので二週間が経過した。今のところ私の身元を完全に知っているのは主要メンバーであるゴリ…近藤さん、土方さん、総悟、ザキのみである。他の隊士にはただ単に住み込みの女中志望ということで話を通してあり、特に不審がられることもなく平和な日々が続いている。それは私の美貌のおかげかしら。だんだん有象無象のモブである平隊士の名前と顔も一致してきて、良い関係を築けてんじゃね?と思う。我ながら自分のコミュ力には驚かされるな!
大量の洗濯物を畳み終え、所定の位置へ。自分の頭より上に積み上がったタオルを落とさないように気にしながら廊下を歩くのは結構な至難の業だ。今日の夕食何だろうな、後で女中の先輩方に聞こーっと。
「おい」
「ぎゃあ!!!」
背後をとられた恐怖で思わずびくりと肩が跳ね、その衝撃でタオルが幾つも落下していく……と思いきや。桁違いの俊敏性をもったこの人が、それを阻止してくれた。そう、私をおいで呼んだ張本人の土方さん。今日もかっけえやっぱりスパダリだ見た目だけは。さすが私の推し。
「…んだテメェは。バケモンみてぇに驚きやがって」
「だって後ろから急に呼ぶから!そーゆーの苦手なんですよ、あ、タオルありがとうございました今日もかっこいいですね」
「馬鹿言ってんじゃねェよ…ったく」
「あっ土方さん照れてる〜!!かーわい!」
「だぁぁ照れてねェよ!!うるせっつってんだ口ばっかり達者に動かしやがって!!」
こういう所が堪らんのよ。だってこれは割とマジで、隊士と女中じゃ行動パターンが違うのは当然のことで、土方さんが任務や見廻りに行ってしまえば数日顔が見れないすれ違い、なんてこともザラにある。だからこそそのご尊顔を拝めた暁には、1分でも1秒でも無駄にしたくない。私が土方さんをどれだけ好きか伝えなきゃ!って思うわけ。適当にあしらわれるよりもこんな風に予想以上の反応が返ってくれば、そりゃ私も仕事の原動力になるってもんです。
「ちぇー、せっかく二日ぶりにお顔見れたから、伝えれる時伝えとこうって思っただけなんですけどねー!」
「……ンとにお前は減らず口しか叩けねェのな」
「もーいいですって!そこは素直にありがとな名前…頬っぺにチュッ…で良くないですか?」
「だァれがそこまですんだ!!!!テメェで都合のいいように改ざんすんじゃねェ!!!」
「あ゛だっっ!」
流石に弄りすぎたのか、痺れを切らした土方さんは強烈な手刀を私の頭に食らわせた。鬼。普通に痛い。でもずっとペラペラの紙や薄い板でしか見られなかった憧れの人とこんなやり取りが出来るなんて夢にも思ってなかったから、ずーっと体が宙に浮いてる感じなんだ。そんな落ちてきた痛みですら嬉しいなんて、私はやっぱりドMっすか。
「で本題だが…近藤さんから今日の午後は休暇を取るようにと言付かった」
「え?」
「お前のための宴会だとよ。今おばちゃん達が準備してる」
「ウッソ!?めっちゃ嬉しいです!!!」
「…だからそれ置いたら後は夜まで寝とけ。随分飲まされることになるだろうからな」
また夜な、と頭上に置かれた大きな手。土方さんが去っていったと同時にふわりと香る煙草の匂いに心臓が痛くなった。…何あのめっちゃ彼氏みたいな心配ムーブ!?!?!?マジで死にそう!!!誰か助けて!!!胸がバクバクしすぎて呼吸がままならない。何よりも真選組の皆と…土方さんとお酒を酌み交わす日が来るなんて。逆に仕事をしてないと気が紛れなくて寝るどころじゃないよ、夜まであと4、5時間もあるのに。まさか自分の為に歓迎会を開いてもらえるなんて、私はやっぱり前世で空知先生の親を救ったのかもしれん。
・・・
「それでは皆!乾杯の前に名前から一言貰おうと思う!心して聞くように!」
「はいっ!えっと…、苗字名前、2X歳彼氏なし独身!趣味はお酒!特技はカラオケ!女中として住み込みで二週間前からお世話になってます!結構飲めますけどすぐ酔います!…皆さんの支えになれるように頑張りますので、改めてこれからよろしくお願いします!」
「いやあのね名前?合コンの自己紹介じゃないんだから、これ、一応社会一般的に言う歓迎会だから」
「あっやっちゃったすみません」
いつもの癖が抜けなくて…なんつって頭を掻きながら深く一連すると割れんばかりの拍手とどデカイ笑い声が響く。良かった皆ノリよくて。近藤さんの乾杯の一声でそこからはもうどんちゃん騒ぎ。終さんと原田さんにお酌してもらった鬼嫁2杯で私もすっかり出来上がってしまったZ。案の定脱ぎ出した近藤さんのモザイクの下は流石に直視出来なかったので、若干俯きがちでおちょこを煽っていると。
「おうおう本日の主役がもう降参ですかィ」
「ちっげーし!!!近藤さんの近藤さんを直視したくなさすぎるが故の俯きだから!!!」
「あの人には女の前で脱ぐなって言っ…あ、いけね。間違えたここには女なんて居ねェや」
「……………潰したろか?このガキ」
ここに来てから、私の大抵のストレスの源であるドS沖田コノヤローが、わざわざ直々に!別の意味で!煽りに来てくださいました。素晴らしいお心遣いに感謝したいと思います、拍手〜。一升瓶を抱えて私の隣に胡座をかく総悟。心做しか少し目元が緩んで表情は穏やかだ。…うーん、やっぱり顔だけは良いんだよなぁ!性格は類を見ないクズ野郎だけど!
「ふーん、結構飲めんじゃねーか。俺のおすすめの蛇ころしも堪能しなせェ」
「まさか…お酌してくれるの?総悟」
「当たり前でさァ、ここに来てからのお前の頑張りは他の奴らも驚いてやすぜ。何でもそつなくこなす働き者の女中が来たって」
「でそれを大体総悟に邪魔されてんだけど!!!??」
「あれーそうだったっけなー」
「白々しっ!!今日も雑巾がけしたての食堂の床にわざと足跡付けて食べカス落としたの知ってんだからね!!」
まあまあ、と私の怒りをたしなめる総悟にいつのまに注がれた蛇ころしを、盃を合わせてからぐびっと飲み干した。えっ総悟のイチオシめっちゃ美味い。こいつ私より年下のくせに何て味覚えてんだ!生意気!………でも、不思議と悪い気はしなかった。隊士のみんなは私のことそんな風に買ってくれてたんだ。違う世界に来てからの不安なんてもうとっくにどっかに行ってしまって、楽しい毎日を過ごさせてもらってるのも、紛れもなく皆のおかげ。
「…でもそーご、ありがとね。ここに来てから一番仲良くなったのは総悟かも。迷惑かけられることの方が多いけど、総悟と見廻りついでに買い出し行ったり、任務終わりに私の部屋で話したりするの、結構楽しいんだぁ」
「………別に。
友達もろくに居ねェお前が気の毒だから、救いの手を差し伸べてやってるだけでさァ」
ふいっと私から視線を逸らした総悟のほっぺたがほんのり赤くなっていたのは、お酒のせいかはたまた私の発言のせいか。でもどっちでもいい。こんな時くらい照れてないで素直になればいいのに。…こういうところは歳相応で可愛いんだよね。ちょっとばかりの悪戯心が膨らんできて、私はおちょこをちゃぶ台に置き両手で総悟の頬を包み込んで、無理やりこちらを向かせた。
「っ…おい、何すんでィコノヤロー」
「人のありがとうは素直に受け取ってあげるもんだよ!」
「…別に礼を言われる筋合いはねェよ。いいから離してくれやせんか、お前の手垢で肌がべったり汚れちまう」
「お酒飲んでる時くらいは正直になってもいいじゃんって言ってるの!別に誰も怒んないから」
…急に両頬にある私の手をぱっと払い、何も言わなくなった総悟。もしかして怒らないどころか怒らせちゃった感じかなこれ。暫くの沈黙に気まずさを覚えた私は「ごめん」と一言だけ告げて席を立とうとしたけど、無表情のままの総悟は私のおちょこを乱雑に手に取り、胸元にぱしゃっとお酒をぶっかけてきて、それを阻止された。
「!?なにすんのっ、冷たっ……」
「あーあ、随分と派手に溢しやしたね。俺が拭いてやるよ」
「っな、」
「酒飲んでる時くらいは正直でいろ、でしたっけ」
胸元から漂ってくるアルコールの香りと着物が張り付いてベタつく肌。総悟の行動と言動の訳が分からないまま反論しようとしたけど、両手首をいとも簡単に壁際に押さえつけられて、総悟はその場所にゆっくりと顔を近付けてくる。____まじで、なにしてんのこいつは。何をするつもりなの。…そしてぴちゃ、と音を立てて肌に走った感触は、明らかに人間の舌で舐められたような、生温いぞわぞわしたものだった。
「ちょっ…!!やぁ……っそうご、っ!」
「ん……可笑しいねィ、甘ェや。この酒辛口だった筈なんですが」
「なにしてんのバカバカバカっ、離れて!!」
「…嫌でさァ」
イヤでさァってなにが!?その言葉の通り、総悟の舌が鎖骨、下着の紐から上胸…とだんだん舌に下りてくるのが分かる。幸いなことに、総悟と私のいる場所が宴会場の端だったことと、どの隊士もお酒が入って良い感じに出来上がっているのでこちらの様子に気付いてる人は居なさそうだ。だけど見られてるとか見られてないとかそういう問題じゃない、酔った勢いで襲いかかって来るなんて、もしこのまま抵抗できなかったら、もっととんでもないことをされるんじゃないか。
ですが。つぅーっ…と谷間に滴る水滴を掬い上げるように舐めとる総悟のなんともまあ妖艶な表情に、バカなので思わず顔を火だるまみたいに赤らめてしまった。
「ひゃっ…もうやりすぎ、いい加減にして…!」
「……なァ、鏡見せてやろうか?お前のそのエッロい顔、決して嫌そうには見えねェんですが」
「………っ!」
そう言って私を見上げる総悟の大きな赤い瞳が、どうしてこんなに真剣なのか、私には1ミリも理解出来なかった。ようやく拘束を解かれた手で抵抗するよりも、私の耳元の柱にドン、と付いた総悟の手。そして顔を傾けて同じその場所に静かに近づいてくる総悟の少し開かれた薄い唇。それらを認識した途端に、反射的にぎゅっと目を閉じてしまった。___キス、される。酔った総悟とキス___私も酔っていたので思考がままならなかった。でも拒むという選択肢は何故かなかった。だって総悟があまりにも、……ギラギラと獣の様な愛に満ち溢れた顔をしていたから。
「……オイそこの酔っ払い共。誰も見てねェとでも思ってんのか?公然わいせつ罪でしょっぴくぞオラ」
残り数ミリで互いのそれが重なってしまう…その時だった。誰かが一升瓶で総悟の頭を殴った。鈍い音と共に目を開けばそこには、頭を抱えてのたうち回る総悟の姿と、デカいため息をつき、眉間に皺を寄せながら私を睨む土方さんの姿があった。
「痛ってェ…」
「……土方さ…い、いつから見て」
「テメーに酒ぶっかかった所からだ」
「ええっ…!?」
「おら総悟、いつまで寝てんだ。
ガキは水飲んでさっさと部屋戻れ」
「俺に偉そうに指図すんじゃねーやパワハラ上司、後遺症でも残ったらどうしてくれんです?」
「オメーがいつも俺にぶっ放すバズーカは何なんだよ!!いいから早く水飲んで頭冷やしてこい!!」
一番の被害者である私そっちのけでいつも通りのケンカを繰り広げるふたりを横目に、私は颯爽とお風呂に駆け込んだ。未だに総悟のざらざらした舌の感触が消えてくれなくて、その場所を痕になるくらいゴシゴシ洗った。その行為を別にそこまで嫌だとも思えなかった自分の尻軽さに叫び出したくなったけど、なんとか飲み込み。考え事のし過ぎで無事に逆上せてしまった。ちくしょーもっとお酒飲みたかったのにばか総悟!!!!
完。
(…酔った覚えてねーじゃ済まされねェぞアレは)
(物欲しそうな女にちょっかいかけただけでさァ。そこまで抵抗する気もなさそうでしたし。何ですかィ?もしかして嫉妬でキレてやす?ニコチンでイライラは対処出来ねェとあれほど)
(誰が誰にだ!!!!????)
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真選組にお世話になり、早いもので二週間が経過した。今のところ私の身元を完全に知っているのは主要メンバーであるゴリ…近藤さん、土方さん、総悟、ザキのみである。他の隊士にはただ単に住み込みの女中志望ということで話を通してあり、特に不審がられることもなく平和な日々が続いている。それは私の美貌のおかげかしら。だんだん有象無象のモブである平隊士の名前と顔も一致してきて、良い関係を築けてんじゃね?と思う。我ながら自分のコミュ力には驚かされるな!
大量の洗濯物を畳み終え、所定の位置へ。自分の頭より上に積み上がったタオルを落とさないように気にしながら廊下を歩くのは結構な至難の業だ。今日の夕食何だろうな、後で女中の先輩方に聞こーっと。
「おい」
「ぎゃあ!!!」
背後をとられた恐怖で思わずびくりと肩が跳ね、その衝撃でタオルが幾つも落下していく……と思いきや。桁違いの俊敏性をもったこの人が、それを阻止してくれた。そう、私をおいで呼んだ張本人の土方さん。今日もかっけえやっぱりスパダリだ見た目だけは。さすが私の推し。
「…んだテメェは。バケモンみてぇに驚きやがって」
「だって後ろから急に呼ぶから!そーゆーの苦手なんですよ、あ、タオルありがとうございました今日もかっこいいですね」
「馬鹿言ってんじゃねェよ…ったく」
「あっ土方さん照れてる〜!!かーわい!」
「だぁぁ照れてねェよ!!うるせっつってんだ口ばっかり達者に動かしやがって!!」
こういう所が堪らんのよ。だってこれは割とマジで、隊士と女中じゃ行動パターンが違うのは当然のことで、土方さんが任務や見廻りに行ってしまえば数日顔が見れないすれ違い、なんてこともザラにある。だからこそそのご尊顔を拝めた暁には、1分でも1秒でも無駄にしたくない。私が土方さんをどれだけ好きか伝えなきゃ!って思うわけ。適当にあしらわれるよりもこんな風に予想以上の反応が返ってくれば、そりゃ私も仕事の原動力になるってもんです。
「ちぇー、せっかく二日ぶりにお顔見れたから、伝えれる時伝えとこうって思っただけなんですけどねー!」
「……ンとにお前は減らず口しか叩けねェのな」
「もーいいですって!そこは素直にありがとな名前…頬っぺにチュッ…で良くないですか?」
「だァれがそこまですんだ!!!!テメェで都合のいいように改ざんすんじゃねェ!!!」
「あ゛だっっ!」
流石に弄りすぎたのか、痺れを切らした土方さんは強烈な手刀を私の頭に食らわせた。鬼。普通に痛い。でもずっとペラペラの紙や薄い板でしか見られなかった憧れの人とこんなやり取りが出来るなんて夢にも思ってなかったから、ずーっと体が宙に浮いてる感じなんだ。そんな落ちてきた痛みですら嬉しいなんて、私はやっぱりドMっすか。
「で本題だが…近藤さんから今日の午後は休暇を取るようにと言付かった」
「え?」
「お前のための宴会だとよ。今おばちゃん達が準備してる」
「ウッソ!?めっちゃ嬉しいです!!!」
「…だからそれ置いたら後は夜まで寝とけ。随分飲まされることになるだろうからな」
また夜な、と頭上に置かれた大きな手。土方さんが去っていったと同時にふわりと香る煙草の匂いに心臓が痛くなった。…何あのめっちゃ彼氏みたいな心配ムーブ!?!?!?マジで死にそう!!!誰か助けて!!!胸がバクバクしすぎて呼吸がままならない。何よりも真選組の皆と…土方さんとお酒を酌み交わす日が来るなんて。逆に仕事をしてないと気が紛れなくて寝るどころじゃないよ、夜まであと4、5時間もあるのに。まさか自分の為に歓迎会を開いてもらえるなんて、私はやっぱり前世で空知先生の親を救ったのかもしれん。
・・・
「それでは皆!乾杯の前に名前から一言貰おうと思う!心して聞くように!」
「はいっ!えっと…、苗字名前、2X歳彼氏なし独身!趣味はお酒!特技はカラオケ!女中として住み込みで二週間前からお世話になってます!結構飲めますけどすぐ酔います!…皆さんの支えになれるように頑張りますので、改めてこれからよろしくお願いします!」
「いやあのね名前?合コンの自己紹介じゃないんだから、これ、一応社会一般的に言う歓迎会だから」
「あっやっちゃったすみません」
いつもの癖が抜けなくて…なんつって頭を掻きながら深く一連すると割れんばかりの拍手とどデカイ笑い声が響く。良かった皆ノリよくて。近藤さんの乾杯の一声でそこからはもうどんちゃん騒ぎ。終さんと原田さんにお酌してもらった鬼嫁2杯で私もすっかり出来上がってしまったZ。案の定脱ぎ出した近藤さんのモザイクの下は流石に直視出来なかったので、若干俯きがちでおちょこを煽っていると。
「おうおう本日の主役がもう降参ですかィ」
「ちっげーし!!!近藤さんの近藤さんを直視したくなさすぎるが故の俯きだから!!!」
「あの人には女の前で脱ぐなって言っ…あ、いけね。間違えたここには女なんて居ねェや」
「……………潰したろか?このガキ」
ここに来てから、私の大抵のストレスの源であるドS沖田コノヤローが、わざわざ直々に!別の意味で!煽りに来てくださいました。素晴らしいお心遣いに感謝したいと思います、拍手〜。一升瓶を抱えて私の隣に胡座をかく総悟。心做しか少し目元が緩んで表情は穏やかだ。…うーん、やっぱり顔だけは良いんだよなぁ!性格は類を見ないクズ野郎だけど!
「ふーん、結構飲めんじゃねーか。俺のおすすめの蛇ころしも堪能しなせェ」
「まさか…お酌してくれるの?総悟」
「当たり前でさァ、ここに来てからのお前の頑張りは他の奴らも驚いてやすぜ。何でもそつなくこなす働き者の女中が来たって」
「でそれを大体総悟に邪魔されてんだけど!!!??」
「あれーそうだったっけなー」
「白々しっ!!今日も雑巾がけしたての食堂の床にわざと足跡付けて食べカス落としたの知ってんだからね!!」
まあまあ、と私の怒りをたしなめる総悟にいつのまに注がれた蛇ころしを、盃を合わせてからぐびっと飲み干した。えっ総悟のイチオシめっちゃ美味い。こいつ私より年下のくせに何て味覚えてんだ!生意気!………でも、不思議と悪い気はしなかった。隊士のみんなは私のことそんな風に買ってくれてたんだ。違う世界に来てからの不安なんてもうとっくにどっかに行ってしまって、楽しい毎日を過ごさせてもらってるのも、紛れもなく皆のおかげ。
「…でもそーご、ありがとね。ここに来てから一番仲良くなったのは総悟かも。迷惑かけられることの方が多いけど、総悟と見廻りついでに買い出し行ったり、任務終わりに私の部屋で話したりするの、結構楽しいんだぁ」
「………別に。
友達もろくに居ねェお前が気の毒だから、救いの手を差し伸べてやってるだけでさァ」
ふいっと私から視線を逸らした総悟のほっぺたがほんのり赤くなっていたのは、お酒のせいかはたまた私の発言のせいか。でもどっちでもいい。こんな時くらい照れてないで素直になればいいのに。…こういうところは歳相応で可愛いんだよね。ちょっとばかりの悪戯心が膨らんできて、私はおちょこをちゃぶ台に置き両手で総悟の頬を包み込んで、無理やりこちらを向かせた。
「っ…おい、何すんでィコノヤロー」
「人のありがとうは素直に受け取ってあげるもんだよ!」
「…別に礼を言われる筋合いはねェよ。いいから離してくれやせんか、お前の手垢で肌がべったり汚れちまう」
「お酒飲んでる時くらいは正直になってもいいじゃんって言ってるの!別に誰も怒んないから」
…急に両頬にある私の手をぱっと払い、何も言わなくなった総悟。もしかして怒らないどころか怒らせちゃった感じかなこれ。暫くの沈黙に気まずさを覚えた私は「ごめん」と一言だけ告げて席を立とうとしたけど、無表情のままの総悟は私のおちょこを乱雑に手に取り、胸元にぱしゃっとお酒をぶっかけてきて、それを阻止された。
「!?なにすんのっ、冷たっ……」
「あーあ、随分と派手に溢しやしたね。俺が拭いてやるよ」
「っな、」
「酒飲んでる時くらいは正直でいろ、でしたっけ」
胸元から漂ってくるアルコールの香りと着物が張り付いてベタつく肌。総悟の行動と言動の訳が分からないまま反論しようとしたけど、両手首をいとも簡単に壁際に押さえつけられて、総悟はその場所にゆっくりと顔を近付けてくる。____まじで、なにしてんのこいつは。何をするつもりなの。…そしてぴちゃ、と音を立てて肌に走った感触は、明らかに人間の舌で舐められたような、生温いぞわぞわしたものだった。
「ちょっ…!!やぁ……っそうご、っ!」
「ん……可笑しいねィ、甘ェや。この酒辛口だった筈なんですが」
「なにしてんのバカバカバカっ、離れて!!」
「…嫌でさァ」
イヤでさァってなにが!?その言葉の通り、総悟の舌が鎖骨、下着の紐から上胸…とだんだん舌に下りてくるのが分かる。幸いなことに、総悟と私のいる場所が宴会場の端だったことと、どの隊士もお酒が入って良い感じに出来上がっているのでこちらの様子に気付いてる人は居なさそうだ。だけど見られてるとか見られてないとかそういう問題じゃない、酔った勢いで襲いかかって来るなんて、もしこのまま抵抗できなかったら、もっととんでもないことをされるんじゃないか。
ですが。つぅーっ…と谷間に滴る水滴を掬い上げるように舐めとる総悟のなんともまあ妖艶な表情に、バカなので思わず顔を火だるまみたいに赤らめてしまった。
「ひゃっ…もうやりすぎ、いい加減にして…!」
「……なァ、鏡見せてやろうか?お前のそのエッロい顔、決して嫌そうには見えねェんですが」
「………っ!」
そう言って私を見上げる総悟の大きな赤い瞳が、どうしてこんなに真剣なのか、私には1ミリも理解出来なかった。ようやく拘束を解かれた手で抵抗するよりも、私の耳元の柱にドン、と付いた総悟の手。そして顔を傾けて同じその場所に静かに近づいてくる総悟の少し開かれた薄い唇。それらを認識した途端に、反射的にぎゅっと目を閉じてしまった。___キス、される。酔った総悟とキス___私も酔っていたので思考がままならなかった。でも拒むという選択肢は何故かなかった。だって総悟があまりにも、……ギラギラと獣の様な愛に満ち溢れた顔をしていたから。
「……オイそこの酔っ払い共。誰も見てねェとでも思ってんのか?公然わいせつ罪でしょっぴくぞオラ」
残り数ミリで互いのそれが重なってしまう…その時だった。誰かが一升瓶で総悟の頭を殴った。鈍い音と共に目を開けばそこには、頭を抱えてのたうち回る総悟の姿と、デカいため息をつき、眉間に皺を寄せながら私を睨む土方さんの姿があった。
「痛ってェ…」
「……土方さ…い、いつから見て」
「テメーに酒ぶっかかった所からだ」
「ええっ…!?」
「おら総悟、いつまで寝てんだ。
ガキは水飲んでさっさと部屋戻れ」
「俺に偉そうに指図すんじゃねーやパワハラ上司、後遺症でも残ったらどうしてくれんです?」
「オメーがいつも俺にぶっ放すバズーカは何なんだよ!!いいから早く水飲んで頭冷やしてこい!!」
一番の被害者である私そっちのけでいつも通りのケンカを繰り広げるふたりを横目に、私は颯爽とお風呂に駆け込んだ。未だに総悟のざらざらした舌の感触が消えてくれなくて、その場所を痕になるくらいゴシゴシ洗った。その行為を別にそこまで嫌だとも思えなかった自分の尻軽さに叫び出したくなったけど、なんとか飲み込み。考え事のし過ぎで無事に逆上せてしまった。ちくしょーもっとお酒飲みたかったのにばか総悟!!!!
完。
(…酔った覚えてねーじゃ済まされねェぞアレは)
(物欲しそうな女にちょっかいかけただけでさァ。そこまで抵抗する気もなさそうでしたし。何ですかィ?もしかして嫉妬でキレてやす?ニコチンでイライラは対処出来ねェとあれほど)
(誰が誰にだ!!!!????)