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《其ノ拾玖》認めたくないことほど実は長いこと悩んでる
❀
俺には夜寝る前の布団の中で、今日一日の行動を振り返る習慣がある。
真選組の頭脳と謳われる俺。自分を過大評価するわけじゃねェが、その言葉に恥じないよう常に冷静沈着に正当な判断を繰り出してきたと自負している。そしてそれは公務中、無論プライベートでも当然狂いが生じたことはなかった。…そう、なかった筈なのに。
ただ一つ、例外を除いては。
“考えるより先に体が動いた”___時にはそれが好機となる場合もあるが、俺は消してそうは思わない。限られた時間の中で最も有効な解決策を導き出し、実行する。そのポリシーの元、俺は役人として近藤さんに忠誠を誓った。……なのに今日の俺と来たら。どうしちまったんだ一体。思い出してやはり自分の行動に対する訳の分からなさで頭を掻き毟りたくなる。気持ち悪ィ俺!何アレ!?いきなり手グイッて引っ張ってそのまま店出てくとか、愛の逃避行!?駆け落ち!?漫画でしか見た事ねんだけど!!!
俺は見廻り、アイツは買い出しの帰り。何となく立ち寄った甘味処で偶然出くわした万事屋のバカは相も変わらず名前に馴れ馴れしく絡む。いつもの事だと特に気に留めていなかったが、今日の奴らの間に流れた空気は、明らかに普通ではなく、何かあった様子。___そして俺はその時思い出す。すまいるでの暴漢事件でナイフを素手で握り大怪我をした奴を、名前は三日間ほど買い出しついでに家に通って懸命に手当てしていたらしい。頼み事があってアイツを呼ぼうと屯所中探しても見当たらず、総悟の奴に聞けばそう返って来た返事。……つーか、屯所の用事以外で他所行くならまず副長の俺に普通言うのが筋じゃねェのかよ。
明らかに二人だけの世界で進む会話を他所に、俺は黙々と土方スペシャルみたらしver.を頬張っていた。……段々と万事屋が名前に近付く距離がバグり始め、デケェ手がヤツの頭をぐしゃぐしゃと撫ぜる。…にしても長くねェか?いつまでやんだそれ。黙って見てりゃ段々、徐々にイライラが募って来やがる。元々バカなのに余計バカが移るから触んじゃねぇ。…多分そんな理由だった気がする、いややっぱり遮った理由なんてさっきも言った通り覚えてねェし知らねーけど。
このように俺は、冷静に思考するということを放棄し、理由も分からないまま勝手に手が動く…という事態がココ最近まあまあ続いていた。それも全てあの女が絡んでいる。…全く以て理解が出来ねェ。ちょっと前まではアイツが何処に行こうが何をしようが、別にどうでも良かっ………ん?そう「思おうとした時」、胸の奥に何かずしりと重たい岩のようなものが落ちる感覚がした。
・総悟に酒ぶっかけられて迫られる→ムカついて総悟の頭を瓶で殴打
・万事屋と飲んで朝帰り→ムカついてブチ切れ、真剣向けて暴言吐く(やり過ぎた)
・総悟に「正々堂々奪い合うなんちゃら〜」→意味が分からねェまま何かムカついて煙草の本数増える
・風呂でバッタリ→札変え忘れてんじゃねーよムカつく。見ちまったじゃねーか!!!不慮の事故!!!
・すまいるで鉢合わせ→胸元の空いた服、いつもより濃いめの化粧、見慣れない髪型。明らかに男を誑かす見た目にムカついて「もうこんな所で働くな」とか口走る
・万事屋に煽られる→無性にムカついて見せしめのようなアホ数のドンペリを入れる
・(聞こえねェフリしてたが)総悟の「名前とは人目を盗んであんなことやそんなこと〜」発言→本当かどうかは別として先ずムカついた
・ナイフ野郎に襲われた後の万事屋の謎の慰めの後押し→言われるがままに何故か抱き締めちまう。ムカついたが
・アイツの万事屋への懸命な看病→シンプルにムカつく
・万事屋とアイツの俺そっちのけの空気→マジムカついた
・万事屋の長ェ〜スキンシップ→クソムカつk
「っだぁぁあぁぁっ!!!!!!!!」
ガバッ!!!と布団から起き上がり、俺はむしゃくしゃを落ち着かせるために煙草に火をつけた。ダメだこのままじゃ拉致が明かねェ、つか俺思い返してもムカついてしかねェじゃん、やっぱり時間が経つと冷静に考えられたけどそん時はムカついてんじゃん、頭に血しか上ってねェじゃん!!!!一体全体どうしちまったんだ、アイツ絡みになると俺の心は常に忙しく安定せず、ただの思考停止のバカに成り下がる。大体総悟や万事屋に関わったら録な事になんねーって、アイツが一番よく分かってる筈だろが……!
だがようやく分かった。俺はこの「ムカつき」の実態が何か分かればきっと、毎日こんな悶々とした思いをせずに済むということが。一丁前に俺のポリシーを乱すとはいい度胸してんじゃねーか、いいぜ。こうなったら絶対突き止めてやる。俺の心中を犯すその「ムカつき」とやらの正体を。…なんか急に長編ミステリー漫画の導入みてぇな展開になっちまったが、目的が分かりゃこっちのもんだ。煙草を灰皿に押し付けてもう一度布団に潜り込み、すぅ…と目を閉じた。最近はこれのせいで寝不足気味だったからな。漸くやる事がハッキリした今は、数日ぶりにぐっすり眠れそうだ。
・ ・ ・
「あのー……、土方さん」
「聞こえてますかー?」
「あのっ!!!聞こえてますか土方コノヤローさん!!!」
「ハッ……!?
ああ、…わり、っつかお前どさくさに紛れて今言っただろ、あのバカサドの口癖を」
だって土方さん、めっちゃ変なんだもん…!
私が廊下の掃除機がけの途中、四番隊の金村さんと五番隊の田原さんに呼び止められ、合コンの誘いを受けているときだった。いやもうホント全然、人数合わせだから来てよ、勿論費用は俺ら持ち!好きに飲み食いしてくれて良いからさー!と何ともまあ魅力的な提案にひとつ返事で了承しようとしていた所。ぬっ…と背後から現れた土方さんが睨みを効かせただけで二人は怯えた様子で、慌てて私の前を立ち去ってしまい、そして何も喋らないもんだから。
「もう…朝からそんなおっかない顔してどうしたんですか。二人逃げちゃいましたよ。何か用ですか?」
「用は特にねェ。これはお前に関わる俺の個人的な調査だ。まだ詳しくは言えねーが、当然結果が分かればお前にも伝えてやる」
「ええ?私もしかしてスパイ疑惑とか出ちゃってます?だったらそんなの調べるだけ無駄ですよ。なんの変哲もないただの一般女性です!あ、変哲っつーか、この世界では戸籍すらないか!アハハ!」
呑気に自虐ネタで笑う私のおでこを、個人的な調査だっつってんだろ、とグーで小突き、どこかへ行ってしまう土方さん。……マジで一体何がしたかったんだろうこの人は。やっぱり油と卵の大量摂取って本格的に人をおかしくするんだ…。不信感しかないその背中を見送りながら、再度掃除機のスイッチを強に入れると。今度は肩を震わせながら顔を手で覆い隠した総悟が私の目の前に現れ、行く手を阻んでくる。
「ぶはぁっ………くくく、土方のヤロー、テメーへの気持ちを明らかに変な方向に解釈しちまってんなありゃ、傑作でさァ……ッ」
「…………ど、どうしたの総悟……確かに土方さん変だったけど…そんな面白い?」
「ッハハ、…いやあ?何でもねェよ面白そうなんで泳がせときましょうや」
「………???まあいいけど………」
「そんな事より名前、来週からお前も晴れて先輩ですぜ」
総悟の発言に首を傾げる。
___聞けば来週の月曜日から、新入りの女中さんが加わるらしい。長年務めた春子さんが先日体力の限界、ということで退職されて欠員が出た。やはりベテランの力が減ったことは大いに屯所の風紀に影響が出てしまった。仕事が回らないってことはないけど、やっぱり春子さんの穴は大きい…。私も最初から最後まで、沢山可愛がってもらったなあ。何事もテキパキしてて憧れの先輩、って感じだった。
「朝宮ねね、20歳、江戸出身、住み込み希望だったらしいが両親に反対された…と」
「へえ、そんなに若い子も真選組の手助けしたいなんて尊敬しちゃうね。春子さんの穴埋められるように、私も先輩として頑張んなきゃ!」
「世の中には物好きも居るもんでさァ。…まあ、お前みたいなポンコツは力むとバカやらかすんでねィ。張り切り過ぎねェことだな」
「……ちょっとそれどういう意味!」
けらけらと笑いながらからかってくる総悟の背中に向けて叫ぶ。…でも私も先輩、かあ。いい響きだなあ。この世界に来てから真選組のお世話を通じて、家事が大好きになったし、私も良いお手本にならなきゃね。唯一この中で歳の一番近い女の子。絶対仲良くなりたい。来週の顔合わせがとっても楽しみ!!新たな期待に胸を膨らませながら、私は残りの掃除に勤しんだ。
完。
(朝宮ねね。
何かコイツの顔、どっか気に食わねェんですよねィ…)
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俺には夜寝る前の布団の中で、今日一日の行動を振り返る習慣がある。
真選組の頭脳と謳われる俺。自分を過大評価するわけじゃねェが、その言葉に恥じないよう常に冷静沈着に正当な判断を繰り出してきたと自負している。そしてそれは公務中、無論プライベートでも当然狂いが生じたことはなかった。…そう、なかった筈なのに。
ただ一つ、例外を除いては。
“考えるより先に体が動いた”___時にはそれが好機となる場合もあるが、俺は消してそうは思わない。限られた時間の中で最も有効な解決策を導き出し、実行する。そのポリシーの元、俺は役人として近藤さんに忠誠を誓った。……なのに今日の俺と来たら。どうしちまったんだ一体。思い出してやはり自分の行動に対する訳の分からなさで頭を掻き毟りたくなる。気持ち悪ィ俺!何アレ!?いきなり手グイッて引っ張ってそのまま店出てくとか、愛の逃避行!?駆け落ち!?漫画でしか見た事ねんだけど!!!
俺は見廻り、アイツは買い出しの帰り。何となく立ち寄った甘味処で偶然出くわした万事屋のバカは相も変わらず名前に馴れ馴れしく絡む。いつもの事だと特に気に留めていなかったが、今日の奴らの間に流れた空気は、明らかに普通ではなく、何かあった様子。___そして俺はその時思い出す。すまいるでの暴漢事件でナイフを素手で握り大怪我をした奴を、名前は三日間ほど買い出しついでに家に通って懸命に手当てしていたらしい。頼み事があってアイツを呼ぼうと屯所中探しても見当たらず、総悟の奴に聞けばそう返って来た返事。……つーか、屯所の用事以外で他所行くならまず副長の俺に普通言うのが筋じゃねェのかよ。
明らかに二人だけの世界で進む会話を他所に、俺は黙々と土方スペシャルみたらしver.を頬張っていた。……段々と万事屋が名前に近付く距離がバグり始め、デケェ手がヤツの頭をぐしゃぐしゃと撫ぜる。…にしても長くねェか?いつまでやんだそれ。黙って見てりゃ段々、徐々にイライラが募って来やがる。元々バカなのに余計バカが移るから触んじゃねぇ。…多分そんな理由だった気がする、いややっぱり遮った理由なんてさっきも言った通り覚えてねェし知らねーけど。
このように俺は、冷静に思考するということを放棄し、理由も分からないまま勝手に手が動く…という事態がココ最近まあまあ続いていた。それも全てあの女が絡んでいる。…全く以て理解が出来ねェ。ちょっと前まではアイツが何処に行こうが何をしようが、別にどうでも良かっ………ん?そう「思おうとした時」、胸の奥に何かずしりと重たい岩のようなものが落ちる感覚がした。
・総悟に酒ぶっかけられて迫られる→ムカついて総悟の頭を瓶で殴打
・万事屋と飲んで朝帰り→ムカついてブチ切れ、真剣向けて暴言吐く(やり過ぎた)
・総悟に「正々堂々奪い合うなんちゃら〜」→意味が分からねェまま何かムカついて煙草の本数増える
・風呂でバッタリ→札変え忘れてんじゃねーよムカつく。見ちまったじゃねーか!!!不慮の事故!!!
・すまいるで鉢合わせ→胸元の空いた服、いつもより濃いめの化粧、見慣れない髪型。明らかに男を誑かす見た目にムカついて「もうこんな所で働くな」とか口走る
・万事屋に煽られる→無性にムカついて見せしめのようなアホ数のドンペリを入れる
・(聞こえねェフリしてたが)総悟の「名前とは人目を盗んであんなことやそんなこと〜」発言→本当かどうかは別として先ずムカついた
・ナイフ野郎に襲われた後の万事屋の謎の慰めの後押し→言われるがままに何故か抱き締めちまう。ムカついたが
・アイツの万事屋への懸命な看病→シンプルにムカつく
・万事屋とアイツの俺そっちのけの空気→マジムカついた
・万事屋の長ェ〜スキンシップ→クソムカつk
「っだぁぁあぁぁっ!!!!!!!!」
ガバッ!!!と布団から起き上がり、俺はむしゃくしゃを落ち着かせるために煙草に火をつけた。ダメだこのままじゃ拉致が明かねェ、つか俺思い返してもムカついてしかねェじゃん、やっぱり時間が経つと冷静に考えられたけどそん時はムカついてんじゃん、頭に血しか上ってねェじゃん!!!!一体全体どうしちまったんだ、アイツ絡みになると俺の心は常に忙しく安定せず、ただの思考停止のバカに成り下がる。大体総悟や万事屋に関わったら録な事になんねーって、アイツが一番よく分かってる筈だろが……!
だがようやく分かった。俺はこの「ムカつき」の実態が何か分かればきっと、毎日こんな悶々とした思いをせずに済むということが。一丁前に俺のポリシーを乱すとはいい度胸してんじゃねーか、いいぜ。こうなったら絶対突き止めてやる。俺の心中を犯すその「ムカつき」とやらの正体を。…なんか急に長編ミステリー漫画の導入みてぇな展開になっちまったが、目的が分かりゃこっちのもんだ。煙草を灰皿に押し付けてもう一度布団に潜り込み、すぅ…と目を閉じた。最近はこれのせいで寝不足気味だったからな。漸くやる事がハッキリした今は、数日ぶりにぐっすり眠れそうだ。
・ ・ ・
「あのー……、土方さん」
「聞こえてますかー?」
「あのっ!!!聞こえてますか土方コノヤローさん!!!」
「ハッ……!?
ああ、…わり、っつかお前どさくさに紛れて今言っただろ、あのバカサドの口癖を」
だって土方さん、めっちゃ変なんだもん…!
私が廊下の掃除機がけの途中、四番隊の金村さんと五番隊の田原さんに呼び止められ、合コンの誘いを受けているときだった。いやもうホント全然、人数合わせだから来てよ、勿論費用は俺ら持ち!好きに飲み食いしてくれて良いからさー!と何ともまあ魅力的な提案にひとつ返事で了承しようとしていた所。ぬっ…と背後から現れた土方さんが睨みを効かせただけで二人は怯えた様子で、慌てて私の前を立ち去ってしまい、そして何も喋らないもんだから。
「もう…朝からそんなおっかない顔してどうしたんですか。二人逃げちゃいましたよ。何か用ですか?」
「用は特にねェ。これはお前に関わる俺の個人的な調査だ。まだ詳しくは言えねーが、当然結果が分かればお前にも伝えてやる」
「ええ?私もしかしてスパイ疑惑とか出ちゃってます?だったらそんなの調べるだけ無駄ですよ。なんの変哲もないただの一般女性です!あ、変哲っつーか、この世界では戸籍すらないか!アハハ!」
呑気に自虐ネタで笑う私のおでこを、個人的な調査だっつってんだろ、とグーで小突き、どこかへ行ってしまう土方さん。……マジで一体何がしたかったんだろうこの人は。やっぱり油と卵の大量摂取って本格的に人をおかしくするんだ…。不信感しかないその背中を見送りながら、再度掃除機のスイッチを強に入れると。今度は肩を震わせながら顔を手で覆い隠した総悟が私の目の前に現れ、行く手を阻んでくる。
「ぶはぁっ………くくく、土方のヤロー、テメーへの気持ちを明らかに変な方向に解釈しちまってんなありゃ、傑作でさァ……ッ」
「…………ど、どうしたの総悟……確かに土方さん変だったけど…そんな面白い?」
「ッハハ、…いやあ?何でもねェよ面白そうなんで泳がせときましょうや」
「………???まあいいけど………」
「そんな事より名前、来週からお前も晴れて先輩ですぜ」
総悟の発言に首を傾げる。
___聞けば来週の月曜日から、新入りの女中さんが加わるらしい。長年務めた春子さんが先日体力の限界、ということで退職されて欠員が出た。やはりベテランの力が減ったことは大いに屯所の風紀に影響が出てしまった。仕事が回らないってことはないけど、やっぱり春子さんの穴は大きい…。私も最初から最後まで、沢山可愛がってもらったなあ。何事もテキパキしてて憧れの先輩、って感じだった。
「朝宮ねね、20歳、江戸出身、住み込み希望だったらしいが両親に反対された…と」
「へえ、そんなに若い子も真選組の手助けしたいなんて尊敬しちゃうね。春子さんの穴埋められるように、私も先輩として頑張んなきゃ!」
「世の中には物好きも居るもんでさァ。…まあ、お前みたいなポンコツは力むとバカやらかすんでねィ。張り切り過ぎねェことだな」
「……ちょっとそれどういう意味!」
けらけらと笑いながらからかってくる総悟の背中に向けて叫ぶ。…でも私も先輩、かあ。いい響きだなあ。この世界に来てから真選組のお世話を通じて、家事が大好きになったし、私も良いお手本にならなきゃね。唯一この中で歳の一番近い女の子。絶対仲良くなりたい。来週の顔合わせがとっても楽しみ!!新たな期待に胸を膨らませながら、私は残りの掃除に勤しんだ。
完。
(朝宮ねね。
何かコイツの顔、どっか気に食わねェんですよねィ…)