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《其ノ拾捌》無言の圧力が効く
❀
今日のかぶき町は晴天!良い天気!土方さんのマヨネーズが残り少なくなったので、ついでにストックが切れた日用品もと買い出しに出てきました。帰って来る時大荷物になるから買い出しは嫌がられる仕事だけど、未だに町を歩くのが新鮮な私にとってはとっても楽しいお仕事。
アニメにもあったようにト〇キで安いトイレットペーパー、ティッシュ、洗剤や柔軟剤をカゴに入れる。ラッキーなことにたまたま発注ミスで大量に並べられていたマヨネーズを20本購入。これで暫く土方さんの食事には困らない。余分に買ったから今日の日替わりの付け合せはポテトサラダとかどうでしょうか。
「……とはいえ流石に買いすぎたぁ、」
片手に三つ、四つずつ抱えた袋は流石に重たくって、屯所まであと500メートルの距離、無事にたどり着けるかどうか心配になる。このままだと袋の持ち手が伸び切って大惨事になりそうだし。ここは大人しく誰かに迎えに来てもらおうか……総悟にはダリィとか言われそうだし、土方さんにはもっと考えて行動しろって小言言われそうだし、ゴリラは今日とっつぁんに呼び出されて居ないらしいし、安牌はザキだな!
思い立ったら直ぐに連絡。近くにあったカフェのベンチ、店員さんに一言声を掛けて少しだけ荷物を置かせてもらい、私は携帯電話でザキの連絡先を探し始めた。
通話開始ボタンを押し、耳に端末を当てて応答を待つ。…あれ、中々出ない。いつもならワンコールで出てくれるのに。道行く人達を目で追いながらザキの声が聞こえてくるのを待っていると、くあーと欠伸をしながらタバコに火をつける、偶然目の前を通りかかった我らが副長!ソッコーで電話を切って彼に声を掛ける。
「土方さーーーーん!」
「………んな叫ばなくても聞こえる、うるせー。こんな所で道草でも食ってたのか」
「ト〇キの荷物があまりに多過ぎて、誰か迎えを呼ぼうと思ってたんですよ。山崎さん電話出なくて…ちょうど良かった!今から屯所に帰るんですよね?」
「…まあそうだが、ちったぁ自分の力量ぐらい考えて買い物しろよ。あと山崎は急に任務が入った。荷物貸せ」
「ありがとう土方さん!」
案の定土方さんには予想通りの小言を言われたけど、軽々と袋を五つ持ってくれた。私の負担は少しで済むように半分以上。…こういう絶妙な気遣いが惚れさせてくるんだよなあ。それにこうして買い物袋を持って並んで歩いていると、なんだか夫婦みたいでそわそわする。…周りの人達からはそう見えてるのかなあ。見えてますように。なんちゃって新婚さん気分を勝手に味わいながら帰路を歩いていると、いつも行く甘味屋の前を通り過ぎた。女将さんとは顔馴染みで、「あら!?名前ちゃんてば真選組の副長さんと…」なんて声を掛けられて、何言われるんだろう!?と思わずビクッと背中が跳ねる。
「こ、こんにちは女将っ」
「びっくりしたわぁ、どんな色男と歩いてるのかと思ったら。ふふ、美男美女がこうして並ぶとお似合いねぇ。お買い物デートかしら?」
「……ええっ!?ち、違います、ただの買い出しの帰りですよ!ねっ土方さん!」
「………………おう」
テンパりながら同意を求める私にノールックで返事をする土方さん。女将には私の気持ちがどうやらバレバレのようで、くすくすと面白可笑しそうに笑いながら「仲が良いのね」なんて言われちゃって本当に見せる顔が無い。このまま帰るのもなんか気まずくなる予感しかしなかったので、ここでちょっと休憩していきませんかと提案したところ、土方さんも小腹が空いていたようでひとつ返事でOKしてもらえた。冷たいほうじ茶二つとみたらしを二本ずつ注文して、広い席に大荷物と同時に腰かける。
「…そういやキャバクラでお前に乱暴した男、似たような事件の前科余罪塗れで速攻豚箱行きだ。取り調べの時はただの気弱なオヤジなんだが、どうやら酒で人が変わっちまう奴らしいな」
「…えっ、そうだったんですか…!…これ以上被害が拡大しないのなら良かった。普段からナイフ持ち歩いてるなんて相当ですよね」
「…尚更もうあんなとこで働かせらんねェよ。お前はもう少し、自分が野郎からどういう対象で見られてんのか知った方が良い」
やっぱり私の見た目って、気弱で大人しそうな女とか思われてんのかなあ。でも強い女って言ったって…マダオみたいにサングラスでもかけるしかない?いつも通りマヨネーズをまるまる1本ふんだんに使った団子串を頬張りながら、もちゃもちゃと咀嚼音を立てる土方さんの顔をじっと見詰める。……土方さんみたいにこうなんか、威圧感ある顔になりたいなあ。マヨネーズの前ではただの赤子みたいだけど。
「……分かりました!これからは舐められないように、サングラスでもかけて町を出ることにします!」
「は?…お前なんか勘違いして、 」
「うぃーーーッス。女将ー、三色といちご大福ねー、……って、 」
「………銀ちゃん…!」
「…………チッ、何処にでも湧いて出てきやがる」
気怠そうに暖簾をくぐってきた、聞き覚えしかない声と見慣れた着流し。…銀ちゃんに会うのはあの日の告白以来。相変わらずメールのやり取りは途絶えないけど、直接顔を合わせるのとではやっぱりわけが違う。結局返事は曖昧なまま帰って来てしまったし、『傷の手当はあとは新八にやってもらうから大丈夫』と言われてしまったので。…それが銀ちゃんなりの気遣いだということは分かっていた。そんな彼の優しさに甘えっぱなしだったことも、事実なんだけれど。
「何ですかァ土方クン、まるで人を虫みてェに。相変わらず美味しいお団子にゲテモノクッキングしてますけどぉ、素材の味の良さってモンが分かんないわけ?女将泣かせんなよコノヤロー」
「テメーが俺達の行く先々への出没率はハエ並だろ。名前のストーカーでもしてんのか?」
「おたくのゴリラと間違ってでも一緒にしないでくれる?俺は純然たるピュアな気持ちで名前を口説いてんだけど。あ、愛しの名前久しぶり。お前のお陰でもうすっかり良くなってきたぜ」
ありがとな、と銀ちゃんは怪我していた手のひらをグーパーして私の顔の前で見せてきた。手当していた時とは見違えるほど薄くなった傷。確かにこのままだったら痕も残らなそう…。思ったより深くなくて、安心した。私のせいで銀ちゃんの体に一生残るのなんてつけてしまったら、もう銀ちゃんへの罪悪感と申し訳なさで死ねると思うもん…。
「……ごめんね、銀ちゃん……」
「………え?何、ちょっと待ってそれこの間の返事?それとも傷のこと?」
「あ……えっと、傷……」
「ッんだよビビった!つか、謝んじゃねーって言っただろ何聞いてたんだよおバカさんかっ!…好きな女の為に負った怪我なら、ちょっと愛おしいまであんだぜ。」
「っふふ、なにそれ……」
おバカさん、の発言とともに頭をぐしゃぐしゃに撫でられ、思わず笑みが零れた。いつだって私に向けてくれるその優しく温もりたっぷりの眼差しは、私を酷く安心させる。…そして気持ちをはっきり伝えることをしないにも関わらず、変わらない態度で接してくれるそんな大人の対応にも感服する。………この気持ちに整理がついた時、私は誰のことが好きなのか、ちゃんとはっきりした時。必ず伝えるから。…だからそれまで待ってて、銀ちゃん。声にならない誓いをそっと胸の中で温めた。___その時。
隣に居る土方さんが私の腕をちょっと、
乱雑に引っぱった。
そのせいで銀ちゃんの手から頭が離れてしまって、ぐちゃぐちゃになったままの髪の毛が静電気でぽわんと浮く。
一瞬何が起こったのかわからなくて、三人とも瞬きを繰り返したまま、まるで時が止まったかのようだった。
「…………え、 」
「………………あーーー、その、なんだ?ホラあれだ、夕食作る時間に遅れんだろ。こんな所でコイツに喰ってる時間なんざねェんだよ、さっさと行くぞ」
「………………
ハァ〜〜〜〜〜〜〜???」
不可解な土方さんの行動に、青筋を浮かべて口角がヒクヒクと上がり下がりを繰り返す銀ちゃんに、慌てて銀ちゃんまたねっ!と告げてお店を出た。離すタイミングを失ったのか、はたまた混乱してるのかなんだか分からないけど、未だにその体温の高い手は私の腕を強く掴んだまま。…心做しか、だんだん掴む力も強くなってる気がするし。これ、明日痕になっちゃいそう…。だけど、土方さんが私の体に触れた証拠なら一生消えなくていいのに。そんな不埒な思いが過ぎっては、掻き消すようにぶんぶんと頭を振る。
「土方さん……」
「……っ、土方さん」
「………あのー、土方さん!」
「ッなんだ!?!?」
何度呼んでも応答がなかったけど、突然振り返って叫ばれたことで、思わず肩がすくむ。……物凄く顔が赤い。こんな顔されたら、期待しちゃうじゃないですか……。自分もだいぶ締まりのない顔してることは分かってる。土方さんの手にあるはずだった買い物袋、忘れちゃいました。と指摘すると、深くため息をついてこめかみを押さえる彼。後で山崎に取りに行かせる、ボソッと呟いた土方さんは今度こそ私の腕から手を離して、ひとりで歩き始めた。その歩幅は、多分なんとなく私に合わせてくれているような気がした。
完。
(…………チクショーふざけんなよー、なんだよアイツ…どうせ普段喋んねェ癖に、たまにちょーっとかっこいいことしただけで良いとこ取りみたいな顔しやがって!!)
(引く手数多の銀さんも名前ちゃん攻略には苦戦してるのねぇ)
(いーや俺ァ諦めてねーよ?名前があの野郎に泣かされた時、チャンスはそこ!!俺だけは必ず優しさ受容で包み込んでやんだよ!!)
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今日のかぶき町は晴天!良い天気!土方さんのマヨネーズが残り少なくなったので、ついでにストックが切れた日用品もと買い出しに出てきました。帰って来る時大荷物になるから買い出しは嫌がられる仕事だけど、未だに町を歩くのが新鮮な私にとってはとっても楽しいお仕事。
アニメにもあったようにト〇キで安いトイレットペーパー、ティッシュ、洗剤や柔軟剤をカゴに入れる。ラッキーなことにたまたま発注ミスで大量に並べられていたマヨネーズを20本購入。これで暫く土方さんの食事には困らない。余分に買ったから今日の日替わりの付け合せはポテトサラダとかどうでしょうか。
「……とはいえ流石に買いすぎたぁ、」
片手に三つ、四つずつ抱えた袋は流石に重たくって、屯所まであと500メートルの距離、無事にたどり着けるかどうか心配になる。このままだと袋の持ち手が伸び切って大惨事になりそうだし。ここは大人しく誰かに迎えに来てもらおうか……総悟にはダリィとか言われそうだし、土方さんにはもっと考えて行動しろって小言言われそうだし、ゴリラは今日とっつぁんに呼び出されて居ないらしいし、安牌はザキだな!
思い立ったら直ぐに連絡。近くにあったカフェのベンチ、店員さんに一言声を掛けて少しだけ荷物を置かせてもらい、私は携帯電話でザキの連絡先を探し始めた。
通話開始ボタンを押し、耳に端末を当てて応答を待つ。…あれ、中々出ない。いつもならワンコールで出てくれるのに。道行く人達を目で追いながらザキの声が聞こえてくるのを待っていると、くあーと欠伸をしながらタバコに火をつける、偶然目の前を通りかかった我らが副長!ソッコーで電話を切って彼に声を掛ける。
「土方さーーーーん!」
「………んな叫ばなくても聞こえる、うるせー。こんな所で道草でも食ってたのか」
「ト〇キの荷物があまりに多過ぎて、誰か迎えを呼ぼうと思ってたんですよ。山崎さん電話出なくて…ちょうど良かった!今から屯所に帰るんですよね?」
「…まあそうだが、ちったぁ自分の力量ぐらい考えて買い物しろよ。あと山崎は急に任務が入った。荷物貸せ」
「ありがとう土方さん!」
案の定土方さんには予想通りの小言を言われたけど、軽々と袋を五つ持ってくれた。私の負担は少しで済むように半分以上。…こういう絶妙な気遣いが惚れさせてくるんだよなあ。それにこうして買い物袋を持って並んで歩いていると、なんだか夫婦みたいでそわそわする。…周りの人達からはそう見えてるのかなあ。見えてますように。なんちゃって新婚さん気分を勝手に味わいながら帰路を歩いていると、いつも行く甘味屋の前を通り過ぎた。女将さんとは顔馴染みで、「あら!?名前ちゃんてば真選組の副長さんと…」なんて声を掛けられて、何言われるんだろう!?と思わずビクッと背中が跳ねる。
「こ、こんにちは女将っ」
「びっくりしたわぁ、どんな色男と歩いてるのかと思ったら。ふふ、美男美女がこうして並ぶとお似合いねぇ。お買い物デートかしら?」
「……ええっ!?ち、違います、ただの買い出しの帰りですよ!ねっ土方さん!」
「………………おう」
テンパりながら同意を求める私にノールックで返事をする土方さん。女将には私の気持ちがどうやらバレバレのようで、くすくすと面白可笑しそうに笑いながら「仲が良いのね」なんて言われちゃって本当に見せる顔が無い。このまま帰るのもなんか気まずくなる予感しかしなかったので、ここでちょっと休憩していきませんかと提案したところ、土方さんも小腹が空いていたようでひとつ返事でOKしてもらえた。冷たいほうじ茶二つとみたらしを二本ずつ注文して、広い席に大荷物と同時に腰かける。
「…そういやキャバクラでお前に乱暴した男、似たような事件の前科余罪塗れで速攻豚箱行きだ。取り調べの時はただの気弱なオヤジなんだが、どうやら酒で人が変わっちまう奴らしいな」
「…えっ、そうだったんですか…!…これ以上被害が拡大しないのなら良かった。普段からナイフ持ち歩いてるなんて相当ですよね」
「…尚更もうあんなとこで働かせらんねェよ。お前はもう少し、自分が野郎からどういう対象で見られてんのか知った方が良い」
やっぱり私の見た目って、気弱で大人しそうな女とか思われてんのかなあ。でも強い女って言ったって…マダオみたいにサングラスでもかけるしかない?いつも通りマヨネーズをまるまる1本ふんだんに使った団子串を頬張りながら、もちゃもちゃと咀嚼音を立てる土方さんの顔をじっと見詰める。……土方さんみたいにこうなんか、威圧感ある顔になりたいなあ。マヨネーズの前ではただの赤子みたいだけど。
「……分かりました!これからは舐められないように、サングラスでもかけて町を出ることにします!」
「は?…お前なんか勘違いして、 」
「うぃーーーッス。女将ー、三色といちご大福ねー、……って、 」
「………銀ちゃん…!」
「…………チッ、何処にでも湧いて出てきやがる」
気怠そうに暖簾をくぐってきた、聞き覚えしかない声と見慣れた着流し。…銀ちゃんに会うのはあの日の告白以来。相変わらずメールのやり取りは途絶えないけど、直接顔を合わせるのとではやっぱりわけが違う。結局返事は曖昧なまま帰って来てしまったし、『傷の手当はあとは新八にやってもらうから大丈夫』と言われてしまったので。…それが銀ちゃんなりの気遣いだということは分かっていた。そんな彼の優しさに甘えっぱなしだったことも、事実なんだけれど。
「何ですかァ土方クン、まるで人を虫みてェに。相変わらず美味しいお団子にゲテモノクッキングしてますけどぉ、素材の味の良さってモンが分かんないわけ?女将泣かせんなよコノヤロー」
「テメーが俺達の行く先々への出没率はハエ並だろ。名前のストーカーでもしてんのか?」
「おたくのゴリラと間違ってでも一緒にしないでくれる?俺は純然たるピュアな気持ちで名前を口説いてんだけど。あ、愛しの名前久しぶり。お前のお陰でもうすっかり良くなってきたぜ」
ありがとな、と銀ちゃんは怪我していた手のひらをグーパーして私の顔の前で見せてきた。手当していた時とは見違えるほど薄くなった傷。確かにこのままだったら痕も残らなそう…。思ったより深くなくて、安心した。私のせいで銀ちゃんの体に一生残るのなんてつけてしまったら、もう銀ちゃんへの罪悪感と申し訳なさで死ねると思うもん…。
「……ごめんね、銀ちゃん……」
「………え?何、ちょっと待ってそれこの間の返事?それとも傷のこと?」
「あ……えっと、傷……」
「ッんだよビビった!つか、謝んじゃねーって言っただろ何聞いてたんだよおバカさんかっ!…好きな女の為に負った怪我なら、ちょっと愛おしいまであんだぜ。」
「っふふ、なにそれ……」
おバカさん、の発言とともに頭をぐしゃぐしゃに撫でられ、思わず笑みが零れた。いつだって私に向けてくれるその優しく温もりたっぷりの眼差しは、私を酷く安心させる。…そして気持ちをはっきり伝えることをしないにも関わらず、変わらない態度で接してくれるそんな大人の対応にも感服する。………この気持ちに整理がついた時、私は誰のことが好きなのか、ちゃんとはっきりした時。必ず伝えるから。…だからそれまで待ってて、銀ちゃん。声にならない誓いをそっと胸の中で温めた。___その時。
隣に居る土方さんが私の腕をちょっと、
乱雑に引っぱった。
そのせいで銀ちゃんの手から頭が離れてしまって、ぐちゃぐちゃになったままの髪の毛が静電気でぽわんと浮く。
一瞬何が起こったのかわからなくて、三人とも瞬きを繰り返したまま、まるで時が止まったかのようだった。
「…………え、 」
「………………あーーー、その、なんだ?ホラあれだ、夕食作る時間に遅れんだろ。こんな所でコイツに喰ってる時間なんざねェんだよ、さっさと行くぞ」
「………………
ハァ〜〜〜〜〜〜〜???」
不可解な土方さんの行動に、青筋を浮かべて口角がヒクヒクと上がり下がりを繰り返す銀ちゃんに、慌てて銀ちゃんまたねっ!と告げてお店を出た。離すタイミングを失ったのか、はたまた混乱してるのかなんだか分からないけど、未だにその体温の高い手は私の腕を強く掴んだまま。…心做しか、だんだん掴む力も強くなってる気がするし。これ、明日痕になっちゃいそう…。だけど、土方さんが私の体に触れた証拠なら一生消えなくていいのに。そんな不埒な思いが過ぎっては、掻き消すようにぶんぶんと頭を振る。
「土方さん……」
「……っ、土方さん」
「………あのー、土方さん!」
「ッなんだ!?!?」
何度呼んでも応答がなかったけど、突然振り返って叫ばれたことで、思わず肩がすくむ。……物凄く顔が赤い。こんな顔されたら、期待しちゃうじゃないですか……。自分もだいぶ締まりのない顔してることは分かってる。土方さんの手にあるはずだった買い物袋、忘れちゃいました。と指摘すると、深くため息をついてこめかみを押さえる彼。後で山崎に取りに行かせる、ボソッと呟いた土方さんは今度こそ私の腕から手を離して、ひとりで歩き始めた。その歩幅は、多分なんとなく私に合わせてくれているような気がした。
完。
(…………チクショーふざけんなよー、なんだよアイツ…どうせ普段喋んねェ癖に、たまにちょーっとかっこいいことしただけで良いとこ取りみたいな顔しやがって!!)
(引く手数多の銀さんも名前ちゃん攻略には苦戦してるのねぇ)
(いーや俺ァ諦めてねーよ?名前があの野郎に泣かされた時、チャンスはそこ!!俺だけは必ず優しさ受容で包み込んでやんだよ!!)