Main Story
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《其ノ拾肆》夜のお店で遊ぶ時はルールを守れ
❀
「いらっしゃいませェ、あれ?旦那。どの子にしますゥ?今日はお妙ちゃん休m「名前に決まってんだろ、コノヤロー」
『名前ちゃんご指名入りました〜!!!!』
数日前______
私は緊急、と呼び出された銀ちゃんからのメールに、お昼休みを返上して万事屋に向かった。そこには銀ちゃんだけでなく新八くんと神楽ちゃん、そしてお妙ちゃんまでもが神妙な面持ちで座っていた。…えっと、何気志村兄弟とは初対面ですけど大丈夫ですかコレ。そして何故皆辛気臭い顔してんの。銀ちゃんはいつも通り鼻に小指に思っくそ突っ込んでるけど。…そんな心配は無用だったと分かるのは、お妙ちゃんが瞳に涙を浮かべながら、私に縋り付くように頭を下げたからだ。うわっ、やっぱり顔良…美人だなあ。
「あなたが名前さんね…?志村妙よ、銀さんからよく話は聞いてるの。お願い、頼まれてくれないかしら……!この通りよ!」
「あ、ええ、初めまして。お妙さんのことは私もよくお伺いしてます…この通りなのは分かりましたけど、そんなに重大なことなんですか?」
「初めまして、名前さん。弟の志村新八です。
実は…僕の姉上、キャバクラに勤めているんですが…昨日対応したお客様が、幕府関係のお偉いさんだったようで。そのお偉いさんがまあ酷いセクハラオヤジで、いつもの癖で締め上げてしまったら、もうカンカンに怒ってしまって…」
「そのキモオヤジがキャバクラに圧力かけて姉御を出勤停止にしちゃったアルよ。だけど姉御にもこのクソメガネにも生活あるし、金どうしても要るってこと名前でを扱き使わせようって話になったネ」
「神楽ちゃん、簡潔な言葉で至極分かり易い説明ありがとう……なるほどね」
志村兄弟の生活の為なら一肌脱いであげてもいい、だって新八も妙ちゃんもめっちゃ良い奴だし。私結構好き。お妙ちゃんは補うはずだった生活費分だけ渡してくれれば、それ以外の時給と売上分は全部私の取り分で良いと。それに妙ちゃんのお客さんに営業かけてたくさん呼んでくれるらしい…って事で話はついた。生憎私は元の世界で夜の仕事の経験があり、ホステスのノウハウは心得ていたつもりだった。大丈夫、私は銀魂の皆が大好きなんだから、私にできることなら何でもする。二人を路頭に迷わせるような真似は出来ない!
「ストップ。銀さん六話ぶりの登場ですけど一言言わせてもらいまァす。それ、本当に名前じゃなきゃダメなワケ」
「……それはどういう意味かしら?銀さん。あなたが綺麗な女の人を紹介してくれるって言ったから頼んだんです」
「いやーそういう話なら別だろ別。ちょっと冷静に考えたら無理かなー。もし名前が傷モンになったらどう責任とってくれんの?お前みたいにゴリラ並の怪力持ってるわけでもねェ、それに俺を一目で虜にしちまうほどの整った顔とナイスバディ、人当たりさえも良いと来たら。間違いなく酷い目に遭う確率はお前よりも高いだろ」
「……ぎ、銀ちゃん!」
トントン拍子で進んでいく話を遮るように、銀ちゃんが社長椅子から立ち上がって私の頭をぐっと引き寄せるように自身の頭にくっつけた。守ってもらえるのは気持ちいいけど、私そんなに非力な女に見えるのかあ…。確かにセクハラの類はどう対処していいか分からない。前務めていたところは、常連さんで固まっていてルールやマナーを守ってきてくれる人だらけで、とても楽しくお仕事出来ていたから。
「銀ちゃんホント名前好きヨナー。先月の通話料金明細見たアルか?3万ヨ、御祝儀袋飛んでったヨ。そもそも携帯も必要ない言ってたじゃねーか」
「月額3000円のかけ放題にプラン変更しましたから大丈夫ですゥー!!ガキが家計に口出しなんざ10年早ェんだよ!!もしくはまともに働いてから言え!!俺の通話代より主にお前の食費でウチは火の車だっつーの!!」
「いやどこ論点でケンカしてんすか、名前さんも仕事抜け出して来てくれてるんですから!」
「…………そんなに彼女が心配なら、銀さんが店に出向いて監視したらどう?ホラ、名前さんも見知った顔が居た方が安心でしょ?死んだ魚の目でも工事現場の立ち入り禁止看板、カーネルサン●ースくらいの役割にはなるんじゃないかしら」
それだ。
お妙ちゃんの提案に飛び付いた銀ちゃんは、さっそくありったけのお金をかき集めてなんか出る気がする!今日は博才が俺に味方してくれそうな気がする!とパチンコに出掛けた。新八と神楽ちゃんに給料払えとボコられていたけど、大丈夫かな…。ぎゃいのぎゃいの騒ぐ三人を横目に、バチッとお妙ちゃんと目が合う。本当にありがとうと向けられた微笑みに女の私でも惚れてしまいそうになったのは、ちょっと変態臭いから言わないでおいた。
……そして冒頭に戻る。
スナックすまいるは本当に繁盛店で、原作でも見ていた通り選りすぐりの美女が揃っている。おりょうちゃんが「お妙の代わりの子だよね?アンタならべっぴんさんだし大丈夫だよ」と優しく声をかけてくれたのが嬉しかった。容姿だけでは飽き足らず性格も良いのかあ、ここの子達は。
天人の黒服さんに「名前ちゃん、なんかコノヤローとか初っ端から暴言吐いてくる銀髪の天パ野郎からご指名なんだけど、なんか目とか死んでるしちょっと怖いんだけど、てかチビったんだけど」と耳打ちで言われ、知り合いなんで大丈夫です。とミニバッグを持って立ち上がった。前髪を立ち上げ、いつもより巻きをキツめにしたロングヘア。お化粧も暗い店内に映えるように少しだけ濃いめで、そしてこのためにお妙ちゃんが用意してくれた胸元のざっくり空いたシンプルなピンクのドレス。着物でも良かったんだけど、あなたはこっちの方がきっとしっくり来るわよ、と貸してくれた。
「銀ちゃんがこんなに早く来てくれたら安心だなあ」
ドレスを翻して控え室を出ると、皆の視線が一気に私に集まるのが分かった。そんなにドレスを着てるのが物珍しいのかな?中には指名の子に「テメェ目移りしてんじゃねェェ!」とぶん殴られているお客さんもちらほら居る。あれ…銀ちゃんどこの席に居るんだろう。仕事前にざっくり席の場所は教えてもらったけど、何せ店内が広過ぎて見つけるのにも一苦労だ。…あ!馴染みのある天然パーマと可愛いつむじがひょこっとソファからはみ出しているのが見えて、私は急いで駆け寄った。転ばないように!
「銀ちゃんお待たせっ、来てくれてありがとう…!」
「名前!!待ってたyブフォオオォ」
「え!?!?だっ大丈夫!?」
私の姿を捉えるなり、パァっと目を輝かせた銀ちゃんは突然漫画みたいに(あそっか漫画の登場人物か)鼻から勢い良く鼻血を噴射した。慌ててティッシュで銀ちゃんの鼻を抑え、ポタポタ垂れてくる液体を止めようと上を向こうとする彼をダメ、と制止した。しかしまたベタな……
「ちょっと待って名前、それで今日一日居るわけ?マジで反対断固拒否、銀さんが許しません、嫁入り前の娘がそんな胸元パッカーンドレス着るんじゃありません!!!」
「ええ!結構気に入ってたんだけどなあ、これ…」
「幾ら名前が気に入ろうと男を出血多量にさせる服は辞めておきなさい、300円あげるから衣装チェンジしてきて?あっやっぱいいや俺だけ見るなら、今日他の客誰も来ませんよーに!」
「銀ちゃんてば…ふふ、そうだね。このままずっと銀ちゃんとお酒飲んでたいなあ」
「………あのー名前チャン?その姿でその台詞は破壊力強過ぎるかな。お前さてはキラーだな、初めてじゃねェな!」
えー?ナイショ、とお茶目に舌を出して見せる。ファーストドリンクを作り終えて銀ちゃんの目の前に差し出すと、乾杯しようぜ。俺この間やっぱり勝ったんだよ、大勝ちだよ20万!と誇らしげに言ってくる。銀ちゃん、やっぱりいざと言う時に強いよなあ…。銀ちゃんが頼んだお酒と同じ物を黒服さんに頼んで、カチッとグラスを合わせる。あー…懐かしいなこの感じ。まさか漫画のキャラとこういうお店でお酒を酌み交わすなんて、私想像もしてなかった。
「ん〜、久しぶりのお酒だぁ…染み渡る…」
「俺も久々だなあ、こうやって夜のかぶき町に繰り出したの。専ら名前が絡んでねェともう酒も不味くてしゃーねーよ」
「……そんなこと言われたら本気にしちゃうよ?今日は私はキャストとしてだけど、また銀ちゃんと居酒屋とか飲みに行きたいなあ」
「行くに決まってんじゃん、…銀さんがお前の頼み断るわけねーだろ?こんなに惚れてんだから。いつになったら振り向いてくれるんですかねェ、この別嬪さんは」
ソファの背もたれに腕をかけて、どんどん私との距離を縮めていく銀ちゃん。…お酒の力もあってかいつになく積極的に口説かれてる気がするんだけど。他のお客さんの目もあるからまずいよね、これは。誤魔化すように銀ちゃんの肩をやんわり制止し、半分以下になったグラスにお酒を注いでいく。パチンコで当たったとはいえ無理させたくないし、もし次のお客様が来たらやんわり帰ってもらうように促そう。二人にお給料は払ってきたのかな…?
「お話中失礼します。名前ちゃん、お客様のご対応お願いします。 」
「あー?今日の名前はっつーか名前の公私共々俺が永久指名ですけどー?他の客とかつかせないでくれますゥ、ドンペリでもアルマンドでも何でも入れてやっからよー」
「かしこまりました。アルマンドをお持ちし、名前ちゃんもお借りします。」
「オイテメコラ話聞けや腐れジジイ!!しかも酒ちゃっかり高い方チョイスしてんじゃねェよ!!!」
「ぎ、銀ちゃんそんないきなり痛客ムーブやめて!?指名じゃないし、すぐ戻って来れると思うから…」
急にマジでその辺の痛いオッサンと変わらない言動を繰り広げる銀ちゃんをヘルプの子に嗜めてもらってる間に、私は接客を任された卓へと急いだ。三人組って言ってたけど、いきなり私一人で大丈夫なのかなあ。大人数を巻き込む接客はスナックで働いてた私の得意分野だけど。「お待たせしました、初めまして名前で___」そう告げて顔を上げた時に、私は思わず目を見開いて静止してしまう。
「………え」
「おま……何やってんだ……!?」
「………なんかコソコソ家出したと思ったらこれかィ」
「ぐすっ…ひっ……エエェェェェ!?!?名前!?!?」
そう、まさに私が今からつこうとしていた卓のお客様は、土方さん、総悟、近藤さんのトリプルパンチ。
……果たして本日限定出勤、スナックすまいるホステス名前の行く末。
どうなってしまうのであろーか。
続。
(アッ!名前居た……って税金泥棒共じゃねーか、お前らこんな所まで心配でノコノコ飲みに来たわけ?ほんっと過保護だなァ、仮にも名前は成人女性、酒も男の味も知らねェ筈ねェだろ)
(旦那ァ、俺達がここに居る理由はそこのゴリラが深く関わってやしてね。名前の奴も俺達には一切内緒で出てったんで、偶然の邂逅というわけでさァ)
(……ったく、目離した隙にコレだ。前から思ってたが…テメーは一丁前に夜遊びが好きなんだな?)
(ご、誤解です……!ちゃんと説明しますから、とりあえず4人相席でも良いですか?)
(お妙さん……ッゥウゥ、ウホォォォ!!!)
(あっすみません黒服さん、ウホォォォってことなので、こちらの4名様お知り合い同士、相席で)
(((勝手に決めんじゃねェ!!!!!)))
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「いらっしゃいませェ、あれ?旦那。どの子にしますゥ?今日はお妙ちゃん休m「名前に決まってんだろ、コノヤロー」
『名前ちゃんご指名入りました〜!!!!』
数日前______
私は緊急、と呼び出された銀ちゃんからのメールに、お昼休みを返上して万事屋に向かった。そこには銀ちゃんだけでなく新八くんと神楽ちゃん、そしてお妙ちゃんまでもが神妙な面持ちで座っていた。…えっと、何気志村兄弟とは初対面ですけど大丈夫ですかコレ。そして何故皆辛気臭い顔してんの。銀ちゃんはいつも通り鼻に小指に思っくそ突っ込んでるけど。…そんな心配は無用だったと分かるのは、お妙ちゃんが瞳に涙を浮かべながら、私に縋り付くように頭を下げたからだ。うわっ、やっぱり顔良…美人だなあ。
「あなたが名前さんね…?志村妙よ、銀さんからよく話は聞いてるの。お願い、頼まれてくれないかしら……!この通りよ!」
「あ、ええ、初めまして。お妙さんのことは私もよくお伺いしてます…この通りなのは分かりましたけど、そんなに重大なことなんですか?」
「初めまして、名前さん。弟の志村新八です。
実は…僕の姉上、キャバクラに勤めているんですが…昨日対応したお客様が、幕府関係のお偉いさんだったようで。そのお偉いさんがまあ酷いセクハラオヤジで、いつもの癖で締め上げてしまったら、もうカンカンに怒ってしまって…」
「そのキモオヤジがキャバクラに圧力かけて姉御を出勤停止にしちゃったアルよ。だけど姉御にもこのクソメガネにも生活あるし、金どうしても要るってこと名前でを扱き使わせようって話になったネ」
「神楽ちゃん、簡潔な言葉で至極分かり易い説明ありがとう……なるほどね」
志村兄弟の生活の為なら一肌脱いであげてもいい、だって新八も妙ちゃんもめっちゃ良い奴だし。私結構好き。お妙ちゃんは補うはずだった生活費分だけ渡してくれれば、それ以外の時給と売上分は全部私の取り分で良いと。それに妙ちゃんのお客さんに営業かけてたくさん呼んでくれるらしい…って事で話はついた。生憎私は元の世界で夜の仕事の経験があり、ホステスのノウハウは心得ていたつもりだった。大丈夫、私は銀魂の皆が大好きなんだから、私にできることなら何でもする。二人を路頭に迷わせるような真似は出来ない!
「ストップ。銀さん六話ぶりの登場ですけど一言言わせてもらいまァす。それ、本当に名前じゃなきゃダメなワケ」
「……それはどういう意味かしら?銀さん。あなたが綺麗な女の人を紹介してくれるって言ったから頼んだんです」
「いやーそういう話なら別だろ別。ちょっと冷静に考えたら無理かなー。もし名前が傷モンになったらどう責任とってくれんの?お前みたいにゴリラ並の怪力持ってるわけでもねェ、それに俺を一目で虜にしちまうほどの整った顔とナイスバディ、人当たりさえも良いと来たら。間違いなく酷い目に遭う確率はお前よりも高いだろ」
「……ぎ、銀ちゃん!」
トントン拍子で進んでいく話を遮るように、銀ちゃんが社長椅子から立ち上がって私の頭をぐっと引き寄せるように自身の頭にくっつけた。守ってもらえるのは気持ちいいけど、私そんなに非力な女に見えるのかあ…。確かにセクハラの類はどう対処していいか分からない。前務めていたところは、常連さんで固まっていてルールやマナーを守ってきてくれる人だらけで、とても楽しくお仕事出来ていたから。
「銀ちゃんホント名前好きヨナー。先月の通話料金明細見たアルか?3万ヨ、御祝儀袋飛んでったヨ。そもそも携帯も必要ない言ってたじゃねーか」
「月額3000円のかけ放題にプラン変更しましたから大丈夫ですゥー!!ガキが家計に口出しなんざ10年早ェんだよ!!もしくはまともに働いてから言え!!俺の通話代より主にお前の食費でウチは火の車だっつーの!!」
「いやどこ論点でケンカしてんすか、名前さんも仕事抜け出して来てくれてるんですから!」
「…………そんなに彼女が心配なら、銀さんが店に出向いて監視したらどう?ホラ、名前さんも見知った顔が居た方が安心でしょ?死んだ魚の目でも工事現場の立ち入り禁止看板、カーネルサン●ースくらいの役割にはなるんじゃないかしら」
それだ。
お妙ちゃんの提案に飛び付いた銀ちゃんは、さっそくありったけのお金をかき集めてなんか出る気がする!今日は博才が俺に味方してくれそうな気がする!とパチンコに出掛けた。新八と神楽ちゃんに給料払えとボコられていたけど、大丈夫かな…。ぎゃいのぎゃいの騒ぐ三人を横目に、バチッとお妙ちゃんと目が合う。本当にありがとうと向けられた微笑みに女の私でも惚れてしまいそうになったのは、ちょっと変態臭いから言わないでおいた。
……そして冒頭に戻る。
スナックすまいるは本当に繁盛店で、原作でも見ていた通り選りすぐりの美女が揃っている。おりょうちゃんが「お妙の代わりの子だよね?アンタならべっぴんさんだし大丈夫だよ」と優しく声をかけてくれたのが嬉しかった。容姿だけでは飽き足らず性格も良いのかあ、ここの子達は。
天人の黒服さんに「名前ちゃん、なんかコノヤローとか初っ端から暴言吐いてくる銀髪の天パ野郎からご指名なんだけど、なんか目とか死んでるしちょっと怖いんだけど、てかチビったんだけど」と耳打ちで言われ、知り合いなんで大丈夫です。とミニバッグを持って立ち上がった。前髪を立ち上げ、いつもより巻きをキツめにしたロングヘア。お化粧も暗い店内に映えるように少しだけ濃いめで、そしてこのためにお妙ちゃんが用意してくれた胸元のざっくり空いたシンプルなピンクのドレス。着物でも良かったんだけど、あなたはこっちの方がきっとしっくり来るわよ、と貸してくれた。
「銀ちゃんがこんなに早く来てくれたら安心だなあ」
ドレスを翻して控え室を出ると、皆の視線が一気に私に集まるのが分かった。そんなにドレスを着てるのが物珍しいのかな?中には指名の子に「テメェ目移りしてんじゃねェェ!」とぶん殴られているお客さんもちらほら居る。あれ…銀ちゃんどこの席に居るんだろう。仕事前にざっくり席の場所は教えてもらったけど、何せ店内が広過ぎて見つけるのにも一苦労だ。…あ!馴染みのある天然パーマと可愛いつむじがひょこっとソファからはみ出しているのが見えて、私は急いで駆け寄った。転ばないように!
「銀ちゃんお待たせっ、来てくれてありがとう…!」
「名前!!待ってたyブフォオオォ」
「え!?!?だっ大丈夫!?」
私の姿を捉えるなり、パァっと目を輝かせた銀ちゃんは突然漫画みたいに(あそっか漫画の登場人物か)鼻から勢い良く鼻血を噴射した。慌ててティッシュで銀ちゃんの鼻を抑え、ポタポタ垂れてくる液体を止めようと上を向こうとする彼をダメ、と制止した。しかしまたベタな……
「ちょっと待って名前、それで今日一日居るわけ?マジで反対断固拒否、銀さんが許しません、嫁入り前の娘がそんな胸元パッカーンドレス着るんじゃありません!!!」
「ええ!結構気に入ってたんだけどなあ、これ…」
「幾ら名前が気に入ろうと男を出血多量にさせる服は辞めておきなさい、300円あげるから衣装チェンジしてきて?あっやっぱいいや俺だけ見るなら、今日他の客誰も来ませんよーに!」
「銀ちゃんてば…ふふ、そうだね。このままずっと銀ちゃんとお酒飲んでたいなあ」
「………あのー名前チャン?その姿でその台詞は破壊力強過ぎるかな。お前さてはキラーだな、初めてじゃねェな!」
えー?ナイショ、とお茶目に舌を出して見せる。ファーストドリンクを作り終えて銀ちゃんの目の前に差し出すと、乾杯しようぜ。俺この間やっぱり勝ったんだよ、大勝ちだよ20万!と誇らしげに言ってくる。銀ちゃん、やっぱりいざと言う時に強いよなあ…。銀ちゃんが頼んだお酒と同じ物を黒服さんに頼んで、カチッとグラスを合わせる。あー…懐かしいなこの感じ。まさか漫画のキャラとこういうお店でお酒を酌み交わすなんて、私想像もしてなかった。
「ん〜、久しぶりのお酒だぁ…染み渡る…」
「俺も久々だなあ、こうやって夜のかぶき町に繰り出したの。専ら名前が絡んでねェともう酒も不味くてしゃーねーよ」
「……そんなこと言われたら本気にしちゃうよ?今日は私はキャストとしてだけど、また銀ちゃんと居酒屋とか飲みに行きたいなあ」
「行くに決まってんじゃん、…銀さんがお前の頼み断るわけねーだろ?こんなに惚れてんだから。いつになったら振り向いてくれるんですかねェ、この別嬪さんは」
ソファの背もたれに腕をかけて、どんどん私との距離を縮めていく銀ちゃん。…お酒の力もあってかいつになく積極的に口説かれてる気がするんだけど。他のお客さんの目もあるからまずいよね、これは。誤魔化すように銀ちゃんの肩をやんわり制止し、半分以下になったグラスにお酒を注いでいく。パチンコで当たったとはいえ無理させたくないし、もし次のお客様が来たらやんわり帰ってもらうように促そう。二人にお給料は払ってきたのかな…?
「お話中失礼します。名前ちゃん、お客様のご対応お願いします。 」
「あー?今日の名前はっつーか名前の公私共々俺が永久指名ですけどー?他の客とかつかせないでくれますゥ、ドンペリでもアルマンドでも何でも入れてやっからよー」
「かしこまりました。アルマンドをお持ちし、名前ちゃんもお借りします。」
「オイテメコラ話聞けや腐れジジイ!!しかも酒ちゃっかり高い方チョイスしてんじゃねェよ!!!」
「ぎ、銀ちゃんそんないきなり痛客ムーブやめて!?指名じゃないし、すぐ戻って来れると思うから…」
急にマジでその辺の痛いオッサンと変わらない言動を繰り広げる銀ちゃんをヘルプの子に嗜めてもらってる間に、私は接客を任された卓へと急いだ。三人組って言ってたけど、いきなり私一人で大丈夫なのかなあ。大人数を巻き込む接客はスナックで働いてた私の得意分野だけど。「お待たせしました、初めまして名前で___」そう告げて顔を上げた時に、私は思わず目を見開いて静止してしまう。
「………え」
「おま……何やってんだ……!?」
「………なんかコソコソ家出したと思ったらこれかィ」
「ぐすっ…ひっ……エエェェェェ!?!?名前!?!?」
そう、まさに私が今からつこうとしていた卓のお客様は、土方さん、総悟、近藤さんのトリプルパンチ。
……果たして本日限定出勤、スナックすまいるホステス名前の行く末。
どうなってしまうのであろーか。
続。
(アッ!名前居た……って税金泥棒共じゃねーか、お前らこんな所まで心配でノコノコ飲みに来たわけ?ほんっと過保護だなァ、仮にも名前は成人女性、酒も男の味も知らねェ筈ねェだろ)
(旦那ァ、俺達がここに居る理由はそこのゴリラが深く関わってやしてね。名前の奴も俺達には一切内緒で出てったんで、偶然の邂逅というわけでさァ)
(……ったく、目離した隙にコレだ。前から思ってたが…テメーは一丁前に夜遊びが好きなんだな?)
(ご、誤解です……!ちゃんと説明しますから、とりあえず4人相席でも良いですか?)
(お妙さん……ッゥウゥ、ウホォォォ!!!)
(あっすみません黒服さん、ウホォォォってことなので、こちらの4名様お知り合い同士、相席で)
(((勝手に決めんじゃねェ!!!!!)))