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《其ノ拾》ムード作りはデートの待ち合わせから始まっている
❀
______今日の総悟は、とにかく変だ。
総悟がわざわざ時間を作って、真面目に私の話を聞いてくれるなんて何かの間違いだ。そう思っていたのに、“今回はおふざけ無し”だなんて言うから。総悟と話してて、意地悪や悪口を言われなかった、酷い目に遭わされずに済んだのは今回が初めてだった。夕方頃から「ごたついて9時過ぎる」と総悟からメールは貰っていたので、時間をもてあました私はお風呂やスキンケアを済ませてあとは寝るだけになってしまった。時計を見てみると、時刻はちょうど9時。そろそろテレビもつまらなくなって来て、テーブルに頬杖をつきながら段々とウトウトし出してきたとき。
突然ふすまがスパーンと乱雑に開けられた。
「悪ぃ遅くなりやした」
「あれ…総悟もお風呂入ったの?」
「…松平のとっつぁんに捕まって銭湯付き合わされた」
「あはは、それはお疲れ様」
羽織を脱ぎ捨て、いつも通り私の膝の上に寝っ転がって来る総悟。こーいうところは歳下らしくて弟みたいで可愛いんだよなあ。さらさらの栗色の髪を撫でたい衝動といつも闘ってるけど、前回やった時物凄い力で指を握り潰されそうになってからは控えている。上から見下ろす総悟もやっぱり綺麗な顔立ちで、眼福眼福。それにもぞもぞと最適ポジションを探るように頭を動かされてちょっと擽ったい。
「風呂くらいひとりでゆっくり入らせてほしいんだがなァ」
「逆らったら1数えて発砲でしょ?」
「おう、良く分かってんじゃねーか」
「あっちの世界からずっと真選組のファンだからね!」
そうかィと聞いてるんだか聞いてないんだか分からない相槌をうって、首にぶら下げていたアイマスクを所定の位置に装着した総悟。……え、まさかコイツ寝んの?睡眠防止のために遊び半分で髪の間に指を通してみたり耳に掛けたりしてみたけど何も言わない。総悟、やっぱりなんか変だ。異常に優しすぎる。いつもはすぐすぴー、と寝息が聞こえてくるもんだけど、まだ聞こえて来ないってことは寝てないの?え、コイツ寝てないの?
「そーご…寝ちゃうの?」
「…あの犬の餌マニアと何があったんですかィ」
「あっなんだ起きてたし忘れてなかったの」
人の話を聞いてくれるような態度では全くないのに、一応聞く気はあるみたい。てか分かった待ってるねなんて言っちゃったけど、あの言い争いになるまでの経緯は総悟とのあの宴会の事件から話さなきゃいけなくなるわけで、それはちょっと気まずいし照れくさいと言うか…つーか今更だけど何でそんなことしといていつも通り私と接せんのコイツ!?何で土方さんの方が勝手に気まずい感じ醸し出してきてんの!?
…いやいかんいかん、早く話さないと総悟が寝てしまう。コホン、と軽く咳払いをして私は一から十まで説明を始めた。宴会の事件から土方さんとろくに口をきいてないこと、銀ちゃんに嫁…じゃなくて万事屋に勧誘されたこと。そんな優しいお誘いを丁重にお断りしてまで真選組が居場所だと思って帰って来たのに、土方さんに朝帰りというか銀ちゃんと遊んでたことをガミガミ言われてムカついて喧嘩になってしまったこと。
「___朝帰りしたことならまだしも、銀ちゃんのこと悪く言われてカッチーン来て…、そこまで言うことなくない?って思っちゃって、」
「………」
「え?……聞いてる?そんな話長かった?」
またしても応答がない。ほんとに聞く気あんのかコイツ………やっぱりただ単に土方さんの新たな弱みを握りたいがために、私に話を聞いただけなんじゃないのか。いやでも総悟のあんな真剣な表情はシリアス篇でしか見た事なかったから。だから本気で善意として、相談に乗ってくれるものだと思ってるけど___やっぱり勘違いなのかな。腕と足を組み、私の膝の上に頭を乗せたままピクリとも動かない。アイマスクの下に隠れた瞳のせいで、表情はまるで分かる筈もない。ねえ総悟、一体どういうつもりなの……?
暫しの沈黙の後、痺れを切らした私は総悟の目元を覆う布をそっと持ち上げようと手をかけた。こんなに気まずい空気が流れるのなら、いつもの調子でからかってくれた方がまだ返す言葉も思い付くのに。___だけどその手は、思った通りの結果にはならず、私よりもひと回り大きく皮の分厚い総悟の手のひらで阻止される事になる。
「…、総____っ!?」
「_____おい姉ちゃん。あんまり鈍いようだから流石の俺でも熟考しやしたぜ。この真選組きってのNO.1バカにどう事実を分かりやすく教えてやろうかって」
気付けば、私の視線の先には殺風景な木目の天井と総悟がいた。バカだけどわかる。私が今、目の前の奴に組み敷かれているということくらい。…やっぱり私ってバカだからこの流れ、総悟にまた悪戯される流れなのかなコレ。やっぱり真剣に話聞く気なかったのかな。脱ごうとしたパンツが足の指につっかえて足首でステイしちゃった時みたいに、センシティブなるものにゴリゴリ引っかかる悪戯をされちゃうんじゃないかなコレ。
「…おっしゃる通り、私のようなバカに分かるように説明してくださいませバカイザー様、この状況は一体何でしょうか、いつものおふざけですか?ちょっとそろそろ総悟に対してだけは適応障害になっちゃうかなぁ、うん」
「寧ろ今までの反応で俺に着いて来れてると思われてたことが心外でさァ。毛ほども適応出来てねェよもっと柔軟な頭で考えろよ。あ、バカだから無理か名前バ閣下1世」
「…よくもまあそんなに息を吐くように。disボキャブラリーが豊富で何よりですわ、ドS沖田ゲス野郎」
「俺がゲス野郎でもゲソ野郎でも、ヒラメ野郎でも何でもいいんですが。……本当に分かんねーのかィ?土方さんが真剣持ち出してまでイカれちまった理由」
いやヒラメ野郎はねーだろ。上司の顔色気にするどころか上司の顔に泥塗ったくってんじゃねーか。喉まで出かかったツッコミを飲み込んだのは、総悟があまりにも意味深なことを言うから。…真剣出してまでって、まあ確かにあれはやり過ぎだとは思うけど、…普通に虫の居所悪かったんじゃないの?総悟がその日、土方さんのマヨストックに穴開けてパーにしたからとかじゃないの?…やっと相見えた総悟の表情は一貫して無で、本当に何を考えているか分からない。…やっぱりバカなのかな私って、認めざるを得ないのかな、バカって。
「…分かんないよ、そんなの…私土方さんじゃないもん、土方さんにしか分かんないじゃん…」
「あれほど全部真逆のことしてんのに、顔と態度にテメーの気持ちがマッキーの太字で書いてあるようなぶっきらぼーの代表格な男、俺は他に知らねェけどな」
「………どういう意味?」
「ま、教えて欲しいのは分かりやすが、こーいう取引の掟は対価交換であること。これが絶対条件でィ」
「条件って___?
っ!?や………っ!」
私の質問にニヤリと笑った総悟は、私から視線を剥がさないままするりと着物の間に手を入れて、私の太股を撫でる。ホラやっぱりセンシティブだったよ、期待を裏切らないよこの男!!口を開けばブスとか貧相とか色気なしだとかいつもバカにしてくるくせに、なんでコイツは二度も三度も私の体を…!計り知れない擽ったさに身を捩りながら、必死に抵抗してみても力づくで跳ね返される。そして上へ上へと辿ってきた総悟の手は、とん。と私の下着の上。普段は他人には見せることのない、隠された秘密の花園。彼はそこを指すように指を置いて呟いた。
「っひ……、!」
「___ココ。お前の穴に俺のを一発ぶち込む。これが俺の求める条件でさァ」
「〜〜〜〜〜ふ、ざけないでっ、…!」
「俺がいつふざけたってんです?おふざけナシ、至って公正な意見として言わせてもらいやした」
「明らかに総悟のが得…いや、どっちが得するとかよく分かんなくなってるけど、違くて…私の損の方が圧倒的にデカイじゃん、何そのめちゃくちゃな条件、っ!」
やっぱり総悟は変なものでも食べたんだ、やっぱりおかしいんだ。なのに「おふざけナシ」その声の力強さ、突き刺さる総悟の真っ直ぐな視線からむんむんと香る本気臭が、私の顔をみるみる赤くさせていく。いやそんなはずないって、本気なわけないって、なんで動揺してるの私ってば。いい加減にして有り得ないから、そう言いながら身体を起こそうと総悟の肩をぐいぐい押しても、また元の場所に押し戻される。
「あーあ、ただの鈍感もここまで来りゃ傑作でさァ」
「意味わかんないったら、…っもう何、どいて…!早く出てって!そんな条件受け入れられませんっ…」
「………………嫌でィ」
「私も嫌っ!!もうものすっっごく」
「……おいそろそろそのうるせェ口塞いじまうぞ。
俺を煽った罪は重いですぜ、___名前」
その時。総悟の顔が首筋に埋められ、ちりっとした痛みが全身を駆け巡った。…この痛みの経験が無いわけじゃない、ただ久しぶりの感覚で理解するのに少しだけ時間がかかった。…なんで、総悟はこんなことするの、なんで、………
は、っと小さく吐息を漏らして総悟の唇が離れると、彼は私の襟を引っ張るように引き上げて、今回こそ…かぷりと下唇を甘噛みされた。___キスなのかなんなのか、分からないこの行為が、心臓の鼓動を信じられないほど高鳴らせた。
「…っ………、そー、ご」
「………なんつー顔で見るんでィ、……っ」
「!……待っ、……んンっ……!!」
そのまま総悟の唇が勢い良く私の唇に重なって、口内をこじ開けるように熱い舌が入ってきた。あまりの刺激に引っ込めてしまうそれをねっとり、絡みとるように追いかけられて、息がもう出来なくなる。ちょっと待って、ホントにこんなキス、知らない……__総悟の甘くて強引で妖艶な唇にすっかり蕩けさせられてしまい、抵抗する力も失った私の顔は、今どんなに恥ずかしいものなのだろう。酸素を求めるようにどうにか顔を逸らそうとするけど、逃がすまいと総悟の両手が私の頬をホールドしてしまい、完全に身動きがとれないまま。永遠とも思えるほどの長いキスが繰り返された。
「……っ、そ、……ご……っんぁ……っ」
「っ…………ッ…はぁ、」
「ま、………って、!……っふ、…んんンっ!」
いよいよ総悟の息も続かなくなり、ふやけてしまったお互いの唇が離れた。荒い息を整えながら唾液でてらてらと光るそこを拭い、総悟は射るような目で私を捕える。その視線だけでもう全身を抱き締められたような、そんな気分になってしまう。
「…流石に屯所を震わす随一のバカのお前でも分かったろィ?」
「…………っ」
「……言うつもりなんてなかったが、もうしょうがねェ。遅かれ早かれ必ず分かることだったんでさァ。…俺がテメェに惚れちまってる事実はな」
「そう、ご」
「…………好きだ、
俺じゃない誰かのせいで沈んだテメーのこと、…放っておけるほど俺は余裕のある人間じゃねーんで」
最後にとんでもない爆弾を置いていきやがった一番隊の長は、去り際に私の髪に口付けてそっと部屋を出ていった。
未だにパニックで何が起きていたのか、どんな話をしたのか、整理がつかない。ただ確かなことは首筋の痛みと未だに残る彼の唇の感触。放心状態だった体を無理くり起こして勢い良く布団にダイブし、枕に顔を埋めて熱を鎮める。まさかまさか。あの総悟が…憎まれ口しか言わないあの総悟が、私のこと。その言葉を聞いて、今までのちょっかいやイタズラの意味がなんだったのか、ようやく腑に落ちた気がした。…そして私は夢にも思わなかった相手からの赤裸々な想いに、ざわつく胸の痛みを感じていた。その正体が何なのかは…まだ分からなくていい気がする。
完。
(………あーあこれはやっちまったねィ俺。別に後悔はしてねェけど余りにも大誤算でさァ)
(っどうしよう、…明日から、総悟の顔まで見れなくなる)
❀
______今日の総悟は、とにかく変だ。
総悟がわざわざ時間を作って、真面目に私の話を聞いてくれるなんて何かの間違いだ。そう思っていたのに、“今回はおふざけ無し”だなんて言うから。総悟と話してて、意地悪や悪口を言われなかった、酷い目に遭わされずに済んだのは今回が初めてだった。夕方頃から「ごたついて9時過ぎる」と総悟からメールは貰っていたので、時間をもてあました私はお風呂やスキンケアを済ませてあとは寝るだけになってしまった。時計を見てみると、時刻はちょうど9時。そろそろテレビもつまらなくなって来て、テーブルに頬杖をつきながら段々とウトウトし出してきたとき。
突然ふすまがスパーンと乱雑に開けられた。
「悪ぃ遅くなりやした」
「あれ…総悟もお風呂入ったの?」
「…松平のとっつぁんに捕まって銭湯付き合わされた」
「あはは、それはお疲れ様」
羽織を脱ぎ捨て、いつも通り私の膝の上に寝っ転がって来る総悟。こーいうところは歳下らしくて弟みたいで可愛いんだよなあ。さらさらの栗色の髪を撫でたい衝動といつも闘ってるけど、前回やった時物凄い力で指を握り潰されそうになってからは控えている。上から見下ろす総悟もやっぱり綺麗な顔立ちで、眼福眼福。それにもぞもぞと最適ポジションを探るように頭を動かされてちょっと擽ったい。
「風呂くらいひとりでゆっくり入らせてほしいんだがなァ」
「逆らったら1数えて発砲でしょ?」
「おう、良く分かってんじゃねーか」
「あっちの世界からずっと真選組のファンだからね!」
そうかィと聞いてるんだか聞いてないんだか分からない相槌をうって、首にぶら下げていたアイマスクを所定の位置に装着した総悟。……え、まさかコイツ寝んの?睡眠防止のために遊び半分で髪の間に指を通してみたり耳に掛けたりしてみたけど何も言わない。総悟、やっぱりなんか変だ。異常に優しすぎる。いつもはすぐすぴー、と寝息が聞こえてくるもんだけど、まだ聞こえて来ないってことは寝てないの?え、コイツ寝てないの?
「そーご…寝ちゃうの?」
「…あの犬の餌マニアと何があったんですかィ」
「あっなんだ起きてたし忘れてなかったの」
人の話を聞いてくれるような態度では全くないのに、一応聞く気はあるみたい。てか分かった待ってるねなんて言っちゃったけど、あの言い争いになるまでの経緯は総悟とのあの宴会の事件から話さなきゃいけなくなるわけで、それはちょっと気まずいし照れくさいと言うか…つーか今更だけど何でそんなことしといていつも通り私と接せんのコイツ!?何で土方さんの方が勝手に気まずい感じ醸し出してきてんの!?
…いやいかんいかん、早く話さないと総悟が寝てしまう。コホン、と軽く咳払いをして私は一から十まで説明を始めた。宴会の事件から土方さんとろくに口をきいてないこと、銀ちゃんに嫁…じゃなくて万事屋に勧誘されたこと。そんな優しいお誘いを丁重にお断りしてまで真選組が居場所だと思って帰って来たのに、土方さんに朝帰りというか銀ちゃんと遊んでたことをガミガミ言われてムカついて喧嘩になってしまったこと。
「___朝帰りしたことならまだしも、銀ちゃんのこと悪く言われてカッチーン来て…、そこまで言うことなくない?って思っちゃって、」
「………」
「え?……聞いてる?そんな話長かった?」
またしても応答がない。ほんとに聞く気あんのかコイツ………やっぱりただ単に土方さんの新たな弱みを握りたいがために、私に話を聞いただけなんじゃないのか。いやでも総悟のあんな真剣な表情はシリアス篇でしか見た事なかったから。だから本気で善意として、相談に乗ってくれるものだと思ってるけど___やっぱり勘違いなのかな。腕と足を組み、私の膝の上に頭を乗せたままピクリとも動かない。アイマスクの下に隠れた瞳のせいで、表情はまるで分かる筈もない。ねえ総悟、一体どういうつもりなの……?
暫しの沈黙の後、痺れを切らした私は総悟の目元を覆う布をそっと持ち上げようと手をかけた。こんなに気まずい空気が流れるのなら、いつもの調子でからかってくれた方がまだ返す言葉も思い付くのに。___だけどその手は、思った通りの結果にはならず、私よりもひと回り大きく皮の分厚い総悟の手のひらで阻止される事になる。
「…、総____っ!?」
「_____おい姉ちゃん。あんまり鈍いようだから流石の俺でも熟考しやしたぜ。この真選組きってのNO.1バカにどう事実を分かりやすく教えてやろうかって」
気付けば、私の視線の先には殺風景な木目の天井と総悟がいた。バカだけどわかる。私が今、目の前の奴に組み敷かれているということくらい。…やっぱり私ってバカだからこの流れ、総悟にまた悪戯される流れなのかなコレ。やっぱり真剣に話聞く気なかったのかな。脱ごうとしたパンツが足の指につっかえて足首でステイしちゃった時みたいに、センシティブなるものにゴリゴリ引っかかる悪戯をされちゃうんじゃないかなコレ。
「…おっしゃる通り、私のようなバカに分かるように説明してくださいませバカイザー様、この状況は一体何でしょうか、いつものおふざけですか?ちょっとそろそろ総悟に対してだけは適応障害になっちゃうかなぁ、うん」
「寧ろ今までの反応で俺に着いて来れてると思われてたことが心外でさァ。毛ほども適応出来てねェよもっと柔軟な頭で考えろよ。あ、バカだから無理か名前バ閣下1世」
「…よくもまあそんなに息を吐くように。disボキャブラリーが豊富で何よりですわ、ドS沖田ゲス野郎」
「俺がゲス野郎でもゲソ野郎でも、ヒラメ野郎でも何でもいいんですが。……本当に分かんねーのかィ?土方さんが真剣持ち出してまでイカれちまった理由」
いやヒラメ野郎はねーだろ。上司の顔色気にするどころか上司の顔に泥塗ったくってんじゃねーか。喉まで出かかったツッコミを飲み込んだのは、総悟があまりにも意味深なことを言うから。…真剣出してまでって、まあ確かにあれはやり過ぎだとは思うけど、…普通に虫の居所悪かったんじゃないの?総悟がその日、土方さんのマヨストックに穴開けてパーにしたからとかじゃないの?…やっと相見えた総悟の表情は一貫して無で、本当に何を考えているか分からない。…やっぱりバカなのかな私って、認めざるを得ないのかな、バカって。
「…分かんないよ、そんなの…私土方さんじゃないもん、土方さんにしか分かんないじゃん…」
「あれほど全部真逆のことしてんのに、顔と態度にテメーの気持ちがマッキーの太字で書いてあるようなぶっきらぼーの代表格な男、俺は他に知らねェけどな」
「………どういう意味?」
「ま、教えて欲しいのは分かりやすが、こーいう取引の掟は対価交換であること。これが絶対条件でィ」
「条件って___?
っ!?や………っ!」
私の質問にニヤリと笑った総悟は、私から視線を剥がさないままするりと着物の間に手を入れて、私の太股を撫でる。ホラやっぱりセンシティブだったよ、期待を裏切らないよこの男!!口を開けばブスとか貧相とか色気なしだとかいつもバカにしてくるくせに、なんでコイツは二度も三度も私の体を…!計り知れない擽ったさに身を捩りながら、必死に抵抗してみても力づくで跳ね返される。そして上へ上へと辿ってきた総悟の手は、とん。と私の下着の上。普段は他人には見せることのない、隠された秘密の花園。彼はそこを指すように指を置いて呟いた。
「っひ……、!」
「___ココ。お前の穴に俺のを一発ぶち込む。これが俺の求める条件でさァ」
「〜〜〜〜〜ふ、ざけないでっ、…!」
「俺がいつふざけたってんです?おふざけナシ、至って公正な意見として言わせてもらいやした」
「明らかに総悟のが得…いや、どっちが得するとかよく分かんなくなってるけど、違くて…私の損の方が圧倒的にデカイじゃん、何そのめちゃくちゃな条件、っ!」
やっぱり総悟は変なものでも食べたんだ、やっぱりおかしいんだ。なのに「おふざけナシ」その声の力強さ、突き刺さる総悟の真っ直ぐな視線からむんむんと香る本気臭が、私の顔をみるみる赤くさせていく。いやそんなはずないって、本気なわけないって、なんで動揺してるの私ってば。いい加減にして有り得ないから、そう言いながら身体を起こそうと総悟の肩をぐいぐい押しても、また元の場所に押し戻される。
「あーあ、ただの鈍感もここまで来りゃ傑作でさァ」
「意味わかんないったら、…っもう何、どいて…!早く出てって!そんな条件受け入れられませんっ…」
「………………嫌でィ」
「私も嫌っ!!もうものすっっごく」
「……おいそろそろそのうるせェ口塞いじまうぞ。
俺を煽った罪は重いですぜ、___名前」
その時。総悟の顔が首筋に埋められ、ちりっとした痛みが全身を駆け巡った。…この痛みの経験が無いわけじゃない、ただ久しぶりの感覚で理解するのに少しだけ時間がかかった。…なんで、総悟はこんなことするの、なんで、………
は、っと小さく吐息を漏らして総悟の唇が離れると、彼は私の襟を引っ張るように引き上げて、今回こそ…かぷりと下唇を甘噛みされた。___キスなのかなんなのか、分からないこの行為が、心臓の鼓動を信じられないほど高鳴らせた。
「…っ………、そー、ご」
「………なんつー顔で見るんでィ、……っ」
「!……待っ、……んンっ……!!」
そのまま総悟の唇が勢い良く私の唇に重なって、口内をこじ開けるように熱い舌が入ってきた。あまりの刺激に引っ込めてしまうそれをねっとり、絡みとるように追いかけられて、息がもう出来なくなる。ちょっと待って、ホントにこんなキス、知らない……__総悟の甘くて強引で妖艶な唇にすっかり蕩けさせられてしまい、抵抗する力も失った私の顔は、今どんなに恥ずかしいものなのだろう。酸素を求めるようにどうにか顔を逸らそうとするけど、逃がすまいと総悟の両手が私の頬をホールドしてしまい、完全に身動きがとれないまま。永遠とも思えるほどの長いキスが繰り返された。
「……っ、そ、……ご……っんぁ……っ」
「っ…………ッ…はぁ、」
「ま、………って、!……っふ、…んんンっ!」
いよいよ総悟の息も続かなくなり、ふやけてしまったお互いの唇が離れた。荒い息を整えながら唾液でてらてらと光るそこを拭い、総悟は射るような目で私を捕える。その視線だけでもう全身を抱き締められたような、そんな気分になってしまう。
「…流石に屯所を震わす随一のバカのお前でも分かったろィ?」
「…………っ」
「……言うつもりなんてなかったが、もうしょうがねェ。遅かれ早かれ必ず分かることだったんでさァ。…俺がテメェに惚れちまってる事実はな」
「そう、ご」
「…………好きだ、
俺じゃない誰かのせいで沈んだテメーのこと、…放っておけるほど俺は余裕のある人間じゃねーんで」
最後にとんでもない爆弾を置いていきやがった一番隊の長は、去り際に私の髪に口付けてそっと部屋を出ていった。
未だにパニックで何が起きていたのか、どんな話をしたのか、整理がつかない。ただ確かなことは首筋の痛みと未だに残る彼の唇の感触。放心状態だった体を無理くり起こして勢い良く布団にダイブし、枕に顔を埋めて熱を鎮める。まさかまさか。あの総悟が…憎まれ口しか言わないあの総悟が、私のこと。その言葉を聞いて、今までのちょっかいやイタズラの意味がなんだったのか、ようやく腑に落ちた気がした。…そして私は夢にも思わなかった相手からの赤裸々な想いに、ざわつく胸の痛みを感じていた。その正体が何なのかは…まだ分からなくていい気がする。
完。
(………あーあこれはやっちまったねィ俺。別に後悔はしてねェけど余りにも大誤算でさァ)
(っどうしよう、…明日から、総悟の顔まで見れなくなる)