もっと短編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「あー・・・今日も俺よく頑張ったわー・・・。」
「お疲れ様~克巳君!」
「名無~!」
神心会ビルの一番下。受付の付近にある椅子で名無は克巳をずっと待っていた。
外はすっかり暗くなっており、今日も館長の仕事が忙しかったのか克巳の顔には疲れが出ている。
けれどそんな顔も恋人の顔を見ればすぐさま明るくなる訳で。疲れているはずなのに小走りで駆けてくる元気はあるらしい。
「ワリィワリィ。待たせちまったか?」
「ううん、さっき買い物してからこっち来たの。だからそんなに待ってないよ。」
「今日の晩飯は何すんだ?」
「へへー・・・当ててみて?」
「どれどれ・・・。」
受付の椅子でひとしきりイチャイチャをかました後、晩ご飯当てゲームや他愛のない日常の話をして克巳の家に向かう。
克巳は一人暮らしでまだ名無と同居はしていない。今日は名無が泊まりに来る日だったので、ついでに晩ご飯も。という訳だ。
「___いやあ、旨かった・・・。ごちそうさんッ!
ああ、満腹なったら早速眠くなってきた・・・。」
「今日はきっと疲れてるんだよ。早いとこお風呂入って寝ちゃおっか。」
「そうだなー・・・・。名無、背中流してくんねー・・・・?」
「ふふっ。洗い物終わったらすぐ行くね♪」
今日の克巳はなんだかいつもより甘えたがりモードらしい。男前を自負する克巳だが、時にこんなカッコつける以前の状態もある。
いくら男前と言っても四六時中はいられない。流石に外では神心会代表としての顔立てもある為、街中でもそんな一面は全く見せない。
でも家に帰れば別。恋人の名無は幼馴染でもある為、余計に素の克巳を知っている。
だから疲れた時こそ共にいたい。そんな一面も堂々と見せれるのだから愚地克巳という漢は"ある意味あざとい"漢なのだ。
「ふわあ・・・。なんだか私まで眠くなってきちゃった・・・。もうこんな時間だししょうがないか・・・・。」
「だな・・・。とにかく寝るか・・・・。」
二人共寝間着姿で眠い目を擦りながら寝室へ向かう。あちこちの電気を消したかどうかの確認は克巳の代わりにとりあえず名無が担当する。
寝室に入るなり大の字でシーツに転がり込む克巳。それを見て名無は"子供みたいで可愛い・・・・"とか思ったりして。
シーツと一緒に下敷きになった掛け布団を引っ張り出そうと軽く克巳に声をかける。
「あー・・・もう今日ホンット眠ぃ・・・・。」
「電気消すねー。」
「名無ー・・・ん。」
戻ると眠そうな目で枕の上に太い腕を差し出す克巳が。
今日はこんなに疲れているというのにいつも通りな行動に少し戸惑ってしまう。
「克巳君・・・今日疲れてるんでしょう?腕枕しなくていいよ。大丈夫。」
「ヤダ。来い。」
「・・・腕痺れるよ・・・?」
「いいから、ほらよ。」
駄々をこねるようにさっさと転がれ、と命じるので仕方なく腕枕に甘えさせてもらう。
少しゴツゴツとしていて、それでもどこかふわりと克巳の香りがする。名無の安心出来る居場所だ。
「・・・・なんで腕枕してくれるの・・・?」
「え?だって名無の顔近くで見ると癒やされるし・・・・。それに俺だって甘えてーのッ。」
「ひゃわっ!?」
急に克巳の顔が息がかかる程近くに来たのでビックリして変な声を上げてしまう。
腕を曲げて一気に距離を縮めたらしい。本人は名無のおでこにキスを落として、満足気に微笑んだ。
「・・・・そっか・・・。私も腕枕気持ち良いし・・・お互い様だね。」
「そうだ。だから良いんだよ、これでー・・・。」
「うん・・・。おやすみ・・・克巳君・・・。」
「ああ・・・・おやすみ、名無・・・・。」
理由が分かって安心しきると徐々に眠気が増してくる。克巳の腕と、抱き締められている温度で名無の瞼は次第に閉じていく。
一足先に眠りの国へ行ってしまった克巳は、眠っていても嬉しそうに口角を上げたままだった。