「──といった感じなんだけど」

「守護神辺りが分かんね」

「ああ、それはスルーしても問題ない」

「じゃあ何で話したんだよ」

「『主人って何？』って質問の答えのつもりだったんだけど」

「あっそ。で、皆に迷惑かかるからヴァリアーを抜け出そうとしたってわけ？」

「……」

「１人に壊滅させられるわけねーじゃん。なんなら返り討ちにしてやんよ」




白い歯を見せ、鋭利なナイフを光らせるベル

ああ、ボスと同じだ

みんなもそう思ってくれてるのかな


でも、だからこそ失いたくないと強く思う




「あー、そういえばルッスーリアがエルザが目を覚ましたら教えろってうるさかったから呼んでくる。脱走なんて変なこと考えればサボテンな」




ベルはそう言い残して病室から出ていった


私の力を見込んでここに連れてきてくれたボス

突然幹部に任命された私を快く歓迎してくれたルッスーリア

逆に、最初は全く認めてくれなかったスクアーロとレヴィ

マーモンはあんまり興味なさそうだったなぁ

入隊して間もない頃、得体の知れない年下の私に突っかかってきた隊員たち

そして、ことあるごとに私にちょっかいかけてきたベル


思い出が走馬灯のように駆け抜ける


失うのと手放すのではワケが違う

ヴァリアーになら殺されても、ここで終わりにしてもいいと思う反面……


ここから先を考えることは許されなかった

激しい頭痛とともに、脳内に声が響いたからだ


《お前に選択肢はない》


この声は、ベルがあのお墓に来たときに聞いたような……


《イイ加減ソコヲ退ケ》


っ！