闇の中の光 まとめ読み
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「って、そんだけ?」
「昨日いきなり言われて、すぐにきちんとしたデータを用意する方が至難の技だよ」
「高い金払ってんだからもっと詳しく調べろよ」
「“黒の狂犬”については情報が多くないんだ。それに、詳しく調べるならもうちょっと時間がかかる」
「どうせエルザが生まれた村についてはとっくに調べ済みだろ?黒の狂犬のデータが今手元にないなら、そっちを言えっつーの」
「まったく、ホント人使いが荒いねベルは。それに、何故“黒の狂犬”という通り名がついたのかも分かったよ」
ぶちくさ言いながらマーモンはヘの字に曲がった口を開き、通り名の所以から話し始めた
その通り名は、暴走時のエルザ(当時はローズだっけ?)を目撃して、尚且つ生き残れたやつが付けたらしい
その広まった名こそ「黒の狂犬」
暴走時のエルザは犬みたいに四足歩行で、狂ったように血や獲物を求めていたらしい
全身に黒いオーラを纏いながら……
ま、詳細はよく分かんねーけど
「僕がその光景を見ていたなら、狂犬よりも地獄の番犬ケルベロスをイメージしていただろうね。詳細はよく分からないけど」
「ふーん。ま、所以はもういいから次」
「はいはい」
それからマーモンの話を10分近く黙って聞いた
その話をまとめるとこんな感じか?
エルザが生まれたモンティーユ村には不思議な遺伝子があり、その血が少しでも受け継がれると1人につき1種類の特殊能力みたいなのが備わる
大原則としては1人につき1種類
けど、10年に1度、全ての能力を兼ね備えた呪われた子が生まれてくる
その呪われた子は、呪われていると分かった時点で殺される
力が強大すぎて、成長したら止められないから
で、その呪われた子であるエルザは何故か生き延びてここにいる
「もう1つ興味深いことが分かったよ」
「さっさと言えよ」
「その村の平均寿命が大体45歳くらいなんだ」
「医療制度とか整ってねーだけじゃね?」
「いや、近くには大きな町もある。治療しようと思えばいくらでもできる。お金がないわけでもなさそうだし」
「じゃあどういうことだよ」
「ここからは僕の推測だけど、その能力っていうのは命と引き換えに成り立っているじゃないかな」
「つーことは、能力を使う度寿命が縮むってこと?」
「そう。しかも普通の生活でそれだから、殺し屋としてその能力を乱用しているであろうエルザの場合、40、いや、30まで持つか分からないよ」
「元々4歳で殺されるはずだった。30まで生きられるなら十分過ぎる」
ふいにエルザの声が聞こえた
振り向くとエルザがドアにもたれ掛かっている姿が見えた
いつの間に入って来たんだよ
つーか昨日ぶっ倒れてたけど、もう動いても平気なのか?
相変わらず無表情貫いてるから苦しいのか辛いのか、それとも勝手に素性を調べられて怒ってんのか、よく分からねぇ
でも、どことなく寂しそうに見える
「エルザはさ、呪いを解く努力とかしたことあるかい?」
うわ、淡々とした口調だけどスッゲー喧嘩腰じゃんマーモンのやつ
エルザ、キレて暴れたりしねーかな?
もしかしたらマーモンもそれに応戦したりして……
呪われた無表情同士の特殊な力を使った戦い、見ものだけどオレは2人の間に挟まれている
巻き添えだけはマジ勘弁
被害はマーモンの自室だけにしてほしい
「何百年も続く負の連鎖が今日明日に解けるとは思えない。呪いから逃れるには死ぬしかない」
「ああ、遺伝子に組み込まれてるっつってたもんな」
「……マーモンに調査を依頼したのはベルね?そんなに私の過去が知りたいのなら教えてあげるよ」
「それなら僕も気になるから教えてよ」
「2人は48時間以内に任務ある?」
「オレはない」
「僕はある」
「じゃあマーモンは無理だね。ベル、ついてきて」
そう言うとエルザは部屋から出ていった
どゆこと?
48時間も必要ってこと?
行かなきゃなんねーの?
マーモンをチラッと見ると、教えてもらったら僕にも情報よこしてね、というような顔をしていた
チッ、行くっきゃねーか
エルザの過去気になるし
オレはすぐに追いかけた
で、エルザが立ち止まっていた先は……オレの部屋?
その手には香水の瓶が握られていた
いつかルッスーリアと一緒に行ったときに買っていた、あのラベンダーのやつじゃなさそうだ
「これを使うと激しい頭痛に襲われるけど、それでもいい?」
「本当にお前の過去が分かるんならな」
「そう、じゃあ手を出して。香りを嗅いだらすぐ部屋に入ってね」
そう言われたから右手を差し出した
そして手首に香水をかけられた
別に匂いなんてしない
本当に香水かよ?
そう思ったとき、脳にある画像が浮かんだ
男……?
右の頬に付けられたばかりの3本の傷痕がある男だ
昨日見た死体に残されていた爪痕をもっと小さくしたような……
それから次々にいろんな映像が流れ込んできた
何かから逃げていたり、人を殺していたり
更には悲しい、怖い、憎い、寂しいなんていう色んな感情がぐるぐるとオレの脳内を犯す
客観的な映像じゃなく、主体的な映像
オレはなんとか部屋に入ってベッドに倒れ込んだ
これって、エルザの記憶?
何年分の記憶だよ
“48時間”の意味が分かった
頭っ、割れそ……
オレは知らぬ間に意識を失った
意識を取り戻したのは次の朝だった
「昨日いきなり言われて、すぐにきちんとしたデータを用意する方が至難の技だよ」
「高い金払ってんだからもっと詳しく調べろよ」
「“黒の狂犬”については情報が多くないんだ。それに、詳しく調べるならもうちょっと時間がかかる」
「どうせエルザが生まれた村についてはとっくに調べ済みだろ?黒の狂犬のデータが今手元にないなら、そっちを言えっつーの」
「まったく、ホント人使いが荒いねベルは。それに、何故“黒の狂犬”という通り名がついたのかも分かったよ」
ぶちくさ言いながらマーモンはヘの字に曲がった口を開き、通り名の所以から話し始めた
その通り名は、暴走時のエルザ(当時はローズだっけ?)を目撃して、尚且つ生き残れたやつが付けたらしい
その広まった名こそ「黒の狂犬」
暴走時のエルザは犬みたいに四足歩行で、狂ったように血や獲物を求めていたらしい
全身に黒いオーラを纏いながら……
ま、詳細はよく分かんねーけど
「僕がその光景を見ていたなら、狂犬よりも地獄の番犬ケルベロスをイメージしていただろうね。詳細はよく分からないけど」
「ふーん。ま、所以はもういいから次」
「はいはい」
それからマーモンの話を10分近く黙って聞いた
その話をまとめるとこんな感じか?
エルザが生まれたモンティーユ村には不思議な遺伝子があり、その血が少しでも受け継がれると1人につき1種類の特殊能力みたいなのが備わる
大原則としては1人につき1種類
けど、10年に1度、全ての能力を兼ね備えた呪われた子が生まれてくる
その呪われた子は、呪われていると分かった時点で殺される
力が強大すぎて、成長したら止められないから
で、その呪われた子であるエルザは何故か生き延びてここにいる
「もう1つ興味深いことが分かったよ」
「さっさと言えよ」
「その村の平均寿命が大体45歳くらいなんだ」
「医療制度とか整ってねーだけじゃね?」
「いや、近くには大きな町もある。治療しようと思えばいくらでもできる。お金がないわけでもなさそうだし」
「じゃあどういうことだよ」
「ここからは僕の推測だけど、その能力っていうのは命と引き換えに成り立っているじゃないかな」
「つーことは、能力を使う度寿命が縮むってこと?」
「そう。しかも普通の生活でそれだから、殺し屋としてその能力を乱用しているであろうエルザの場合、40、いや、30まで持つか分からないよ」
「元々4歳で殺されるはずだった。30まで生きられるなら十分過ぎる」
ふいにエルザの声が聞こえた
振り向くとエルザがドアにもたれ掛かっている姿が見えた
いつの間に入って来たんだよ
つーか昨日ぶっ倒れてたけど、もう動いても平気なのか?
相変わらず無表情貫いてるから苦しいのか辛いのか、それとも勝手に素性を調べられて怒ってんのか、よく分からねぇ
でも、どことなく寂しそうに見える
「エルザはさ、呪いを解く努力とかしたことあるかい?」
うわ、淡々とした口調だけどスッゲー喧嘩腰じゃんマーモンのやつ
エルザ、キレて暴れたりしねーかな?
もしかしたらマーモンもそれに応戦したりして……
呪われた無表情同士の特殊な力を使った戦い、見ものだけどオレは2人の間に挟まれている
巻き添えだけはマジ勘弁
被害はマーモンの自室だけにしてほしい
「何百年も続く負の連鎖が今日明日に解けるとは思えない。呪いから逃れるには死ぬしかない」
「ああ、遺伝子に組み込まれてるっつってたもんな」
「……マーモンに調査を依頼したのはベルね?そんなに私の過去が知りたいのなら教えてあげるよ」
「それなら僕も気になるから教えてよ」
「2人は48時間以内に任務ある?」
「オレはない」
「僕はある」
「じゃあマーモンは無理だね。ベル、ついてきて」
そう言うとエルザは部屋から出ていった
どゆこと?
48時間も必要ってこと?
行かなきゃなんねーの?
マーモンをチラッと見ると、教えてもらったら僕にも情報よこしてね、というような顔をしていた
チッ、行くっきゃねーか
エルザの過去気になるし
オレはすぐに追いかけた
で、エルザが立ち止まっていた先は……オレの部屋?
その手には香水の瓶が握られていた
いつかルッスーリアと一緒に行ったときに買っていた、あのラベンダーのやつじゃなさそうだ
「これを使うと激しい頭痛に襲われるけど、それでもいい?」
「本当にお前の過去が分かるんならな」
「そう、じゃあ手を出して。香りを嗅いだらすぐ部屋に入ってね」
そう言われたから右手を差し出した
そして手首に香水をかけられた
別に匂いなんてしない
本当に香水かよ?
そう思ったとき、脳にある画像が浮かんだ
男……?
右の頬に付けられたばかりの3本の傷痕がある男だ
昨日見た死体に残されていた爪痕をもっと小さくしたような……
それから次々にいろんな映像が流れ込んできた
何かから逃げていたり、人を殺していたり
更には悲しい、怖い、憎い、寂しいなんていう色んな感情がぐるぐるとオレの脳内を犯す
客観的な映像じゃなく、主体的な映像
オレはなんとか部屋に入ってベッドに倒れ込んだ
これって、エルザの記憶?
何年分の記憶だよ
“48時間”の意味が分かった
頭っ、割れそ……
オレは知らぬ間に意識を失った
意識を取り戻したのは次の朝だった