闇の中の光 まとめ読み
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町を出た
そして私の予測より早く目的地に着いた
ここは「エルザ」が生まれた場所──……
ここで今のボスに出会ったんだ
私は崖の先端に行き、木の十字架にラベンダーを添えた
正確な日付は分からないけど、そろそろお母さんたちの命日だ
大量のラベンダーを置いた後、私は数メートル後ろに下がった
そして、その場でしゃがみこみ、首にぶら下がるペンダントを見た
今、ここに残る、たった1つの繋がり
ファミリーとは違う、本物の家族
私は一体どこで間違えたんだろう
生まれてきたことが間違いだったんだろうか
答えなんてないということは分かっているつもりだけど、知りたい
誰か答えを教えてよ……
見渡す限り黒、黒、黒
漆黒の世界だ
──ここはどこ?どこかで見たことがある気がする
あぁ落ちる、落ちている
いつまで落ち続けるのだろう
助かりたくて手を伸ばしても、引き上げてくれる手は現れない
その代わりに、下からは数多くの手が私を引きずり下ろそうとしている
死人の青白い手が
私が殺した数だけの手が蠢いている
──そうだ、これは何回も見たことがある夢だ
久しぶりに見た
最後にこの夢を見たときは光の手が現れて、あと少しで届くというところで目が覚めたんだっけ
お願い、今回はちゃんと私を助けて……
「──っ!」
夢、悪夢……
目が覚めてよかった
たまに、このまま永遠にあの世界にいなければならないのでは、という錯覚に陥る
どくんどくんとうるさい心臓を落ち着かせ、深いため息をついた
それはもちろん、不幸だからではなく、安堵からくるため息だった
今回はあの光の手は出てこなかった
でも、青白い手が私を引きずりこもうともしなかった
「やーっと起きた」
……!
声の大きさからして相手は相当近くにいる
不覚
寝ているときにこんなにも近寄られるなんて
しかも、その人物は……
「……ベル、どうしてここに?」
「んー?成り行きと興味本意。つーか産み親と兄の墓参りとか。考えらんねぇ」
「ストップ。それ以上寄ったら殺す」
ベルがゆっくりとこっちに近づいてくる
特別な理由でもない限り、何人たりともここから先には通さない
私は戦闘体勢に入り、殺気を放った
ベルは心地よさそうにその殺気を感じている
……ちょっと待って
今更だけど、さっきのベルの言葉に違和感を感じる
何かがおかしい
成り行き……?
これはきっとルッスーリアが絡んでいるにちがいない
私がヴァリアー本部を出発する前日、ベルとルッスーリアがなんか揉めてたし
興味本意……?
きっと、揉めていたときにルッスーリアが言ったこと(何て言ったかは分からないけど)にベルが従ったんだろう
産みの親と兄……?
これだ!私が感じた違和感は
何でここに埋まっているのが私のお母さんとお兄ちゃんって分かったの?
「なぁ、お前に近づいたら遊んでくれんの?」
「……そんなに遊びたいなら場所を変えてから。それなら相手するけど」
「……やっぱやーめた。なんか萎えた」
ベルはそう言うと、手に隠し持っていたナイフを数本地面に落とした
私は彼の行動に呆気にとられた
彼の言う「遊び」とは「殺し」のこと、そして彼の趣味の一環でもある
ナイフ、容赦なく投げてくるかと思ったのに地面に落とすなんて
「てかさー、近寄るなとか言ってもお前がここにいないとき、一般人とか普通に入って来れるじゃん」
「ここはそこらの一般人が入って来るには難しい場所なの」
「一般人だけ、とは限らないじゃん」
「大丈夫、狂気に満ちた番犬がいる。それを恐れて誰も入らないよこんな山」
「……」
「それより、ベルはいつまでここにいるつもり?私はあと1週間はいるけど」
「げっ、マジで?」
成り行きと興味本意って言ってたけど、何しに来たんだろうこの人は
とりあえず、これ以上私の聖地にいさせるわけにもいかないからここから遠ざけないと
「私はまだ帰らない。宿に泊まるつもりもない。ベルは帰った方がいいよ。ここにいたって何にも楽しくないでしょ?」
「言われなくても帰るって。の前に1つだけ。さっき言ってたのって“黒の狂犬”のこと?」
「……そう。黒の狂犬がフリーの殺し屋のとき、ここを寝床にしていたの。最後に目撃されたのが、この山に入っていく姿」
世間ではそういうことになっているらしい
ベルは、へーとかふーんとか適当に相づちを打っている
どうやらそこまでの興味はないらしい
「つか、オレもう帰るから道教えて」
「普通に坂道下ればいいじゃん」
「楽なルートとかあるだろ。ぐだぐだ言ってんとその墓壊すぞ」
本人は冗談のつもりかもしれないがシャレでもない
いつの間にか手にはしっかりナイフが準備されてる
分かったよ、案内すればいいんでしょ
この山は私の庭といっても過言じゃないし、楽で安全なルートくらい手にとるように分かる
私は森へ足を進めた
ベルは傍若無人だけど、何故か私の心を少し満たしてくれる
やっぱり私の居場所はヴァリアー……なのかな?
そうだったらいいな
《愚かな。お前に居場所などない》
「え?ベル、何か言った?」
「は?何言ってんの」
「あ……いや、なんでもない」
幻聴?
それにしてはやけにはっきりと聞こえた
なんというか、耳から入ってきたというより、脳に直接響いた感じがする
疲れてるのかな?
この時私は気付かなかった
これが前兆だということに……
そして私の予測より早く目的地に着いた
ここは「エルザ」が生まれた場所──……
ここで今のボスに出会ったんだ
私は崖の先端に行き、木の十字架にラベンダーを添えた
正確な日付は分からないけど、そろそろお母さんたちの命日だ
大量のラベンダーを置いた後、私は数メートル後ろに下がった
そして、その場でしゃがみこみ、首にぶら下がるペンダントを見た
今、ここに残る、たった1つの繋がり
ファミリーとは違う、本物の家族
私は一体どこで間違えたんだろう
生まれてきたことが間違いだったんだろうか
答えなんてないということは分かっているつもりだけど、知りたい
誰か答えを教えてよ……
見渡す限り黒、黒、黒
漆黒の世界だ
──ここはどこ?どこかで見たことがある気がする
あぁ落ちる、落ちている
いつまで落ち続けるのだろう
助かりたくて手を伸ばしても、引き上げてくれる手は現れない
その代わりに、下からは数多くの手が私を引きずり下ろそうとしている
死人の青白い手が
私が殺した数だけの手が蠢いている
──そうだ、これは何回も見たことがある夢だ
久しぶりに見た
最後にこの夢を見たときは光の手が現れて、あと少しで届くというところで目が覚めたんだっけ
お願い、今回はちゃんと私を助けて……
「──っ!」
夢、悪夢……
目が覚めてよかった
たまに、このまま永遠にあの世界にいなければならないのでは、という錯覚に陥る
どくんどくんとうるさい心臓を落ち着かせ、深いため息をついた
それはもちろん、不幸だからではなく、安堵からくるため息だった
今回はあの光の手は出てこなかった
でも、青白い手が私を引きずりこもうともしなかった
「やーっと起きた」
……!
声の大きさからして相手は相当近くにいる
不覚
寝ているときにこんなにも近寄られるなんて
しかも、その人物は……
「……ベル、どうしてここに?」
「んー?成り行きと興味本意。つーか産み親と兄の墓参りとか。考えらんねぇ」
「ストップ。それ以上寄ったら殺す」
ベルがゆっくりとこっちに近づいてくる
特別な理由でもない限り、何人たりともここから先には通さない
私は戦闘体勢に入り、殺気を放った
ベルは心地よさそうにその殺気を感じている
……ちょっと待って
今更だけど、さっきのベルの言葉に違和感を感じる
何かがおかしい
成り行き……?
これはきっとルッスーリアが絡んでいるにちがいない
私がヴァリアー本部を出発する前日、ベルとルッスーリアがなんか揉めてたし
興味本意……?
きっと、揉めていたときにルッスーリアが言ったこと(何て言ったかは分からないけど)にベルが従ったんだろう
産みの親と兄……?
これだ!私が感じた違和感は
何でここに埋まっているのが私のお母さんとお兄ちゃんって分かったの?
「なぁ、お前に近づいたら遊んでくれんの?」
「……そんなに遊びたいなら場所を変えてから。それなら相手するけど」
「……やっぱやーめた。なんか萎えた」
ベルはそう言うと、手に隠し持っていたナイフを数本地面に落とした
私は彼の行動に呆気にとられた
彼の言う「遊び」とは「殺し」のこと、そして彼の趣味の一環でもある
ナイフ、容赦なく投げてくるかと思ったのに地面に落とすなんて
「てかさー、近寄るなとか言ってもお前がここにいないとき、一般人とか普通に入って来れるじゃん」
「ここはそこらの一般人が入って来るには難しい場所なの」
「一般人だけ、とは限らないじゃん」
「大丈夫、狂気に満ちた番犬がいる。それを恐れて誰も入らないよこんな山」
「……」
「それより、ベルはいつまでここにいるつもり?私はあと1週間はいるけど」
「げっ、マジで?」
成り行きと興味本意って言ってたけど、何しに来たんだろうこの人は
とりあえず、これ以上私の聖地にいさせるわけにもいかないからここから遠ざけないと
「私はまだ帰らない。宿に泊まるつもりもない。ベルは帰った方がいいよ。ここにいたって何にも楽しくないでしょ?」
「言われなくても帰るって。の前に1つだけ。さっき言ってたのって“黒の狂犬”のこと?」
「……そう。黒の狂犬がフリーの殺し屋のとき、ここを寝床にしていたの。最後に目撃されたのが、この山に入っていく姿」
世間ではそういうことになっているらしい
ベルは、へーとかふーんとか適当に相づちを打っている
どうやらそこまでの興味はないらしい
「つか、オレもう帰るから道教えて」
「普通に坂道下ればいいじゃん」
「楽なルートとかあるだろ。ぐだぐだ言ってんとその墓壊すぞ」
本人は冗談のつもりかもしれないがシャレでもない
いつの間にか手にはしっかりナイフが準備されてる
分かったよ、案内すればいいんでしょ
この山は私の庭といっても過言じゃないし、楽で安全なルートくらい手にとるように分かる
私は森へ足を進めた
ベルは傍若無人だけど、何故か私の心を少し満たしてくれる
やっぱり私の居場所はヴァリアー……なのかな?
そうだったらいいな
《愚かな。お前に居場所などない》
「え?ベル、何か言った?」
「は?何言ってんの」
「あ……いや、なんでもない」
幻聴?
それにしてはやけにはっきりと聞こえた
なんというか、耳から入ってきたというより、脳に直接響いた感じがする
疲れてるのかな?
この時私は気付かなかった
これが前兆だということに……