闇の中の光 まとめ読み
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「着いたよお嬢ちゃん。1500ルーブルだ」
「ありがとうございました」
タクシー運転手にぴったりの賃金を払い、足早にタクシーから降りた
ユーロはすでにルーブルに換金済みだ
(ルーブルはロシアの通貨単位のことね)
タクシーは次の乗り手を求め、去っていった
エンジン音が遠ざかる
さてと、とりあえず向かう先は喫茶店……なんて洒落たところなんかではなく市場
露店がたくさん並んでいる、あの市場のことだ
そう決めて市場に向かってひとしきり歩いたら、ガヤガヤという音が近づいてきた
おーやってるやってる
賑わってるなぁ
町全体は近代化していると思ったけど、この市場はあんまり変わってない
キュルルル
一晩中起きて気を張っていたせいでお腹が空いた
情けない音がお腹から鳴った
早く胃に何か入れないと
ふと思い出す
昔はここでよく窃盗を繰り返したっけ
モンティーユ村から最も近くにある発展した町
職を求めてやって来た人が多くいる一方で、家がない人たちが多く路頭にさ迷う町でもある
あまり治安がいいとは言えなかった
無論、私もその原因物質だったわけだけど
うん、あのときはお金もなかったし仕方ない
なんて自分を正当化していると、見知った店を見つけた
そうだ、この店で1番多くの盗みを働いていたんだ
店主は……相変わらず健在しているようだ
変わったことといえば、顔や手のシワが増えたことだ
よし、行ってみよう
「すみません」
「はーい、お客さん。何をお求めで?」
「リンゴ2つ」
「あいよー、46ルーブルだよ」
この果物屋の配置は今も昔も変わらずだった
リンゴが1番手前にあるから1番盗みやすかった
だからなんとなく、リンゴを買ってみる
「ところで嬢ちゃん、今いくつだ?」
「……14ですが」
「そうかそうか。あんたくらいの年齢の子を見るといつも思い出すよ。10年ほど前、盗みを頻繁に働いたガキがいてな」
すみません、それ、多分私のことです
「まぁ逃げ足が速いのなんのって!盗みを働いたやつは老若男女問わずわんさかいたが、そいつだけは捕まえられなかったのさ。警察ですら、な」
警察も動いていたのか
当時はむやみやたらに能力を使っていたから捕まえられなくて当然だ
「それで、その子は結局どうなったんですか?」
もちろん、聞かなくても分かりきっている
「1ヶ月ほどで姿を消したよ。あんなんだったから、今ごろどこかでのたれ死んで骨になってるんじゃねぇかな。まぁ、今となってはある種の伝説だがな」
そんな風に思われていたのか
残念ながら骨にはなってません
今この瞬間、あなたの目の前にいます
ていうか、ある種の伝説って……
殺しとはまた別の悪名高さが残っていたのね
あ、違うお客さんが来た
店主も忙しそう
早いとこ撤退した方がよさげだ
でも、どうせここから去るなら、伝説でも蘇らせてからにようかな
「おじさん、リンゴもう1つ貰っていくよ」
「23ルーブルだ」
私はリンゴを1つ手に取った
━能力発動 青
その瞬間、私は凄い勢いで市場を駆け抜けた
店主がきょとんとした顔が目に浮かぶ
生まれつきのこの能力と、10年で成長した私の身体能力が生み出した賜物だ
昔よりだいぶ速いんじゃないかな?
「おっちゃーん、早く勘定してよ。どうしたんだ?身を乗り出したりなんかして」
「いや、今の嬢ちゃん……」
「ん?嬢ちゃん?あ、こんなところに23ルーブル忘れていってらぁ」
「は?」
この休暇中、盗みはできない
いや、しないと決めた
ちゃんと代金は払ったし問題ないよね
━能力解除
それにしても、私も変わったなぁ
以前ならわざわざこんな真似しなかったのに
とりあえず、空腹を凌ぐためリンゴを一口かじった
「ありがとうございました」
タクシー運転手にぴったりの賃金を払い、足早にタクシーから降りた
ユーロはすでにルーブルに換金済みだ
(ルーブルはロシアの通貨単位のことね)
タクシーは次の乗り手を求め、去っていった
エンジン音が遠ざかる
さてと、とりあえず向かう先は喫茶店……なんて洒落たところなんかではなく市場
露店がたくさん並んでいる、あの市場のことだ
そう決めて市場に向かってひとしきり歩いたら、ガヤガヤという音が近づいてきた
おーやってるやってる
賑わってるなぁ
町全体は近代化していると思ったけど、この市場はあんまり変わってない
キュルルル
一晩中起きて気を張っていたせいでお腹が空いた
情けない音がお腹から鳴った
早く胃に何か入れないと
ふと思い出す
昔はここでよく窃盗を繰り返したっけ
モンティーユ村から最も近くにある発展した町
職を求めてやって来た人が多くいる一方で、家がない人たちが多く路頭にさ迷う町でもある
あまり治安がいいとは言えなかった
無論、私もその原因物質だったわけだけど
うん、あのときはお金もなかったし仕方ない
なんて自分を正当化していると、見知った店を見つけた
そうだ、この店で1番多くの盗みを働いていたんだ
店主は……相変わらず健在しているようだ
変わったことといえば、顔や手のシワが増えたことだ
よし、行ってみよう
「すみません」
「はーい、お客さん。何をお求めで?」
「リンゴ2つ」
「あいよー、46ルーブルだよ」
この果物屋の配置は今も昔も変わらずだった
リンゴが1番手前にあるから1番盗みやすかった
だからなんとなく、リンゴを買ってみる
「ところで嬢ちゃん、今いくつだ?」
「……14ですが」
「そうかそうか。あんたくらいの年齢の子を見るといつも思い出すよ。10年ほど前、盗みを頻繁に働いたガキがいてな」
すみません、それ、多分私のことです
「まぁ逃げ足が速いのなんのって!盗みを働いたやつは老若男女問わずわんさかいたが、そいつだけは捕まえられなかったのさ。警察ですら、な」
警察も動いていたのか
当時はむやみやたらに能力を使っていたから捕まえられなくて当然だ
「それで、その子は結局どうなったんですか?」
もちろん、聞かなくても分かりきっている
「1ヶ月ほどで姿を消したよ。あんなんだったから、今ごろどこかでのたれ死んで骨になってるんじゃねぇかな。まぁ、今となってはある種の伝説だがな」
そんな風に思われていたのか
残念ながら骨にはなってません
今この瞬間、あなたの目の前にいます
ていうか、ある種の伝説って……
殺しとはまた別の悪名高さが残っていたのね
あ、違うお客さんが来た
店主も忙しそう
早いとこ撤退した方がよさげだ
でも、どうせここから去るなら、伝説でも蘇らせてからにようかな
「おじさん、リンゴもう1つ貰っていくよ」
「23ルーブルだ」
私はリンゴを1つ手に取った
━能力発動 青
その瞬間、私は凄い勢いで市場を駆け抜けた
店主がきょとんとした顔が目に浮かぶ
生まれつきのこの能力と、10年で成長した私の身体能力が生み出した賜物だ
昔よりだいぶ速いんじゃないかな?
「おっちゃーん、早く勘定してよ。どうしたんだ?身を乗り出したりなんかして」
「いや、今の嬢ちゃん……」
「ん?嬢ちゃん?あ、こんなところに23ルーブル忘れていってらぁ」
「は?」
この休暇中、盗みはできない
いや、しないと決めた
ちゃんと代金は払ったし問題ないよね
━能力解除
それにしても、私も変わったなぁ
以前ならわざわざこんな真似しなかったのに
とりあえず、空腹を凌ぐためリンゴを一口かじった