『……に到着です。お降りのお客様は……』




このアナウンスが夜明けを告げる

結局寝られなかった

昔の癖が中々抜けないなぁ……


ま、今はそんなことはどうでもいいや

それより、目的地に着いたんだから降りなくちゃ

私は部屋から出た


列車から降りると、ホームは賑わっていた

周りの人たちは旅行が目的なのか、はたまた家族や親戚にでも会いに来たのか

私は、どっちかというと後者かな


うーん、と体を伸ばした

列車に乗っただけなのにすっごく長旅に感じた

それに、昨日の夜から何も食べてないからお腹も空いた

でも、食べる前に……




「すみません、駅員さん。タクシー乗り場はどこですか？」




杞憂だけど、心配し過ぎるに越したことはない

見ず知らずの人に標的されているのならば逃げるが勝ちだ

迎え撃つこともできるけど、今回は無視しよう