闇の中の光 まとめ読み
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公衆トイレで着替えを済まし、喫茶店へ向かった
ベルはどこに座っているんだろう
目立つからすぐ見つかると思うけど、っとあそこか
やっぱりあの風貌は目立つ
そう思いながら、黙ったまま彼の前の席に座った
「ふーん、まあまあじゃんその格好。てかそのブランド高かっただろ?」
「知らない。盗んできたやつだから」
「本当に金持ってねーのかよ。少しは持ち歩けって。この間の任務も散々な目にあったじゃん」
わざと高いブランド店に押し込んだのかこの男
ちなみに「王子の隣を歩くのに相応しくない服」は紙袋に入れた
この紙袋もあの店から盗んだものだ
それよりこの間の任務って何のことだっけ?
あ、思い出した
手違いで部屋が1室しか予約されてなかったってやつか
カードしか持ち歩かない人にお金どうこう言われても
ていうか、
「……さっきから何?じろじろ見ないでよ」
「今日は特別王子のおごりな。しし、感謝しろよ」
「そりゃどうも」
「つーか何があったのか聞けよ」
喋りたいのなら自分から話せばいいのに
聞いてほしいのか?
私は音のないため息をついた
「服くらい着てあげればいいじゃん」
「女物だぜ?本当はエルザに着てほしかったらしいけど、サイズが大きすぎたんだってさ」
予感的中
帰ったら私も確実にとばっちりくらう
ほとぼりが冷めるまで帰らないって寸法か
なら別行動でいいじゃん
ベルから視線をそらすとたまたまウェイターと目が合った
あ、こっちに来ちゃった
「ご注文はお決まりでしょうか?」
「んあ?じゃあオレこのパスタ」
「私は何でもいいです」
「え?あの……」
「バッ……、じゃあこのケーキセットで」
かしこまりましたと言ってウェイターは行ってしまった
ベルは何でもいいはないだろ、と言って頬杖をついた
別に食べたいものなんてなかったから何でもいいって言ったんだけどなぁ
しばらくしてパスタと例のケーキセットが運ばれてきた
それらをつつきながら中身がない雑談を続けた
ベルが一方的に喋ってると言った方が正解かな?
それにしても愚痴が多い
スクアーロの声の大きさのせいで休日に目が覚めたとか、マーモンの請求額が酷いとか
何年も一緒にいても、嫌なものは嫌なものなんだろうか
私は彼らのことを、別に何とも思わないけど
逆に何年も一緒にいるからうざったいんだろうか
「つーか話変わるけどさ、エルザの父親って……」
「覚えてない」
「……は?」
「物心がついた頃にはいなかった」
「ふーん……」
ベルはあまり納得していないような顔をしていた
仕方ないっちゃ仕方ないか
私が言ったことは半分本当だけど半分は嘘だし
確かに物心がついた頃には既にいなかった
でも父親の存在は覚えてる
お母さんが言ってた
お父さんは遠いところに行っちゃったのよ、と
誤解が生じると思うけど、死んだわけではない
本当にどこか知らない遠い土地へ行ってしまったんだと思う
お母さんと口喧嘩したのを境に出ていったのだ
その口喧嘩は当時の私がぐっすり寝ているはずの夜の出来事だから記憶は曖昧だけど
あれは本当に現実だったのか、それとも夢だったのか
……分からない
ただ、仮に夢だったとしても、父親がいなかったという真実は変わらない
自分の妻と幼い子どもを残してどこかに行ってしまった男のことなんてどうでもいい
今ごろどこでぬくぬくと生きているのやら
それとももう死んだ?
何にせよ、知ったこっちゃないけど
「エルザ、エルザ!」
「ん?」
「ワリ、変なこと思い出させちまった?」
「いや、全然大丈夫」
ベルが気を遣うなんて珍しい
私はケーキの上に乗っていた苺を食べた
クリームにまみれていても甘酸っぱい
ベルはどこに座っているんだろう
目立つからすぐ見つかると思うけど、っとあそこか
やっぱりあの風貌は目立つ
そう思いながら、黙ったまま彼の前の席に座った
「ふーん、まあまあじゃんその格好。てかそのブランド高かっただろ?」
「知らない。盗んできたやつだから」
「本当に金持ってねーのかよ。少しは持ち歩けって。この間の任務も散々な目にあったじゃん」
わざと高いブランド店に押し込んだのかこの男
ちなみに「王子の隣を歩くのに相応しくない服」は紙袋に入れた
この紙袋もあの店から盗んだものだ
それよりこの間の任務って何のことだっけ?
あ、思い出した
手違いで部屋が1室しか予約されてなかったってやつか
カードしか持ち歩かない人にお金どうこう言われても
ていうか、
「……さっきから何?じろじろ見ないでよ」
「今日は特別王子のおごりな。しし、感謝しろよ」
「そりゃどうも」
「つーか何があったのか聞けよ」
喋りたいのなら自分から話せばいいのに
聞いてほしいのか?
私は音のないため息をついた
「服くらい着てあげればいいじゃん」
「女物だぜ?本当はエルザに着てほしかったらしいけど、サイズが大きすぎたんだってさ」
予感的中
帰ったら私も確実にとばっちりくらう
ほとぼりが冷めるまで帰らないって寸法か
なら別行動でいいじゃん
ベルから視線をそらすとたまたまウェイターと目が合った
あ、こっちに来ちゃった
「ご注文はお決まりでしょうか?」
「んあ?じゃあオレこのパスタ」
「私は何でもいいです」
「え?あの……」
「バッ……、じゃあこのケーキセットで」
かしこまりましたと言ってウェイターは行ってしまった
ベルは何でもいいはないだろ、と言って頬杖をついた
別に食べたいものなんてなかったから何でもいいって言ったんだけどなぁ
しばらくしてパスタと例のケーキセットが運ばれてきた
それらをつつきながら中身がない雑談を続けた
ベルが一方的に喋ってると言った方が正解かな?
それにしても愚痴が多い
スクアーロの声の大きさのせいで休日に目が覚めたとか、マーモンの請求額が酷いとか
何年も一緒にいても、嫌なものは嫌なものなんだろうか
私は彼らのことを、別に何とも思わないけど
逆に何年も一緒にいるからうざったいんだろうか
「つーか話変わるけどさ、エルザの父親って……」
「覚えてない」
「……は?」
「物心がついた頃にはいなかった」
「ふーん……」
ベルはあまり納得していないような顔をしていた
仕方ないっちゃ仕方ないか
私が言ったことは半分本当だけど半分は嘘だし
確かに物心がついた頃には既にいなかった
でも父親の存在は覚えてる
お母さんが言ってた
お父さんは遠いところに行っちゃったのよ、と
誤解が生じると思うけど、死んだわけではない
本当にどこか知らない遠い土地へ行ってしまったんだと思う
お母さんと口喧嘩したのを境に出ていったのだ
その口喧嘩は当時の私がぐっすり寝ているはずの夜の出来事だから記憶は曖昧だけど
あれは本当に現実だったのか、それとも夢だったのか
……分からない
ただ、仮に夢だったとしても、父親がいなかったという真実は変わらない
自分の妻と幼い子どもを残してどこかに行ってしまった男のことなんてどうでもいい
今ごろどこでぬくぬくと生きているのやら
それとももう死んだ?
何にせよ、知ったこっちゃないけど
「エルザ、エルザ!」
「ん?」
「ワリ、変なこと思い出させちまった?」
「いや、全然大丈夫」
ベルが気を遣うなんて珍しい
私はケーキの上に乗っていた苺を食べた
クリームにまみれていても甘酸っぱい