それはある日突然やってきた

朝の緊急会議にてヴァリアーの幹部は全員集まった


その仕事内容は彼らが経験したこともないようなことだった

そして大体のことを話終わった彼らのボスの言葉で会議は終了した




「絶対オレの部屋に近づかせるんじゃねぇぞ。昼頃に来るからそれまでに決めとけ」




何を決めるかというと、それは〝世話係〟であった

ことの発展はボンゴレ本部からのお願いだった


ボンゴレ九代目が交友関係を結んでいるファミリーのボスが仕事で席を外している間、大切な一人娘を預かっていてほしいというものだった

そのファミリーのほぼ全ての人間がボスに着いて行かなければならない、特殊な仕事なのだ

そして頼れるボンゴレに頼んだものの、そのボンゴレも多忙なため面倒をみる者がいなかったのだ


いや、人を選ばないとすればたくさん人材はあるのだが、ファミリーのボスの一人娘がいつ命を狙われるか分からない状況で弱輩に面倒をみさせるのはよくない、というわけだ

そのつけがヴァリアーに回ってきたのだ



そして今、ヴァリアー邸の談話室では醜い押し付け合いが行われていた




「王子ぜってー嫌だよ。レヴィがやれよ、ししし」

「断る。スクアーロ、貴様がやれ」

「う"お"ぉい、何でオレなんだぁ！マーモンがやりゃあいいじゃねぇか」

「ベルがお金をくれるなら、やってあげてもいいよ」

「あ？殺すぞハナタレ小僧」

「ちょっと！何で私のことを無視すんのよ！」

「てめぇが１番危険なんだよ。てめぇに任すくらいならレヴィの方がほんっっっの少しだけマシだぜぇ」

「なぬ！それはどういう意味だ！？」




この醜い押し付け合いは開始わずか数分で泥沼化していた


ガキの面倒なんてみるのが嫌だ

そして万が一その子どもがボスの部屋に行ってしまったらボスからの理不尽な仕打ちが待ち構えているに違いない、という考えがあったのだ


そんな最中、静かに扉が開いた

もう子どもが来たのか！？という勘違いは一瞬にして砕かれた


５人は部屋に入ってきた人物を目で追った

その人物はソファーに座り持っていた本を読み始めた


そしてほどなくして５人の視線に気づいたその人物は本を閉じ、こう言った




「どうしたの全員こっち見て。もう世話係決まったの？」




その時、５人の心は１つになっていた




「うしし、バッチリ決まったぜ」

「誰になったの？」

「エルザ、お前だよ」

「文句は言わせねぇぞ。オレたちが真剣に話し合ってたときにどこほっつき歩いてたんだ」

「図書室に行ってただけだよ。ま、別に世話係になってもいいけど」




「真剣に」という単語をわざと強調したスクアーロをよそにエルザは平然と答えた

こんなにあっさりと世話係が見つかるとは誰もが思わなかった

つまり、あの醜い押し付け合いは無駄だったというわけだ