闇の中の光 まとめ読み
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昼食は目についた喫茶店で済ませ、相変わらず店を巡っていたらもう夕方になっていた。
空は赤く染まり、人通りも落ち着いてきた。
さすがにもう行く場所もないので帰ろうとした時、公園からちょっとした喧嘩の声が聞こえてきた。
「殺せるもんなら殺してみろよーだ」
「なんだと!?」
他愛ない子どもの喧嘩だ。
遠くからでもその声は聞こえる。良く響く声してる。
元気だなぁ。
それにしても裏の世界ならこんな冗談は決して言えない。
あの調子だったら遅くても明日にでも仲直りするだろうな。
そう思って再び前を向いた瞬間、もう一人の声が耳を貫いた。
「ししし、じゃあ殺してやるよ」
聞き覚えのありすぎる声と独特な笑い方。
反射的に振り向くと想像通りの人物がいた。
ニッタリ笑う彼の手には数本のナイフ。
ここから止めに入ったんじゃ間に合わない。
……アレは結構力を持っていかれる上に、こんなに離れていたら余計に力を持っていかれる。
でも緊急事態だし仕方ないか。
━能力発動 緑
「バイバイ」
ベルの手から放たれたナイフは真っ直ぐ飛んでいき、子どもに届く前に何かに引き寄せられたように地面に急降下した。
唖然としているベルをよそに子どもの元へ駆け寄った。
「じゃじゃーん!びっくりしたでしょ?暗くなる前にお家に帰りな。ね?」
「えー?今のどうやったの」
「手品は人に明かさないものなの。さ、きっとお母さんが心配してるよ。バイバイ」
無理やり子どもたちを家に帰させた。
そして作った笑顔をすぐに解いた。
「何で邪魔したんだよエルザ」
「何の罪もない小さな子どもを殺すつもり?しかもこんな人目につく場所で」
「ま、それはどうでもいいけどさ。それよりこのナイフにどうしたわけ?」
やや地面にめり込んでいるナイフを指さして聞いてきた。
地面にめり込んだのは咄嗟のことだから加減が分からなかったせいだ。
もちろんどのようにしたのかはベルには言うつもりはない。
何事もなかったかのように帰ろうとした。
「っ!」
少しだけ足がふらついた。
元々あの能力はある意味地球を操るようなもんだから使うとほんの少しだけ疲れる。
しかも今回は結構距離があったからなおさらだ。
重力を軽くしたり重くしたりと便利なものなのだが、不都合なことが多い。
半径一メートル程なら何の疲労も感じないのだけが唯一の救いだ
「なーにふらついてんだよ。帰んぞ」
ベルが肩を支えてくれた。
今日、街に行って分かったことが二つある。
それは私はもう表の世界に戻れないこと。
もう一つは、私が知っているヒーローとベルは違う。
そもそも、あんなに簡単に人を殺そうとするヒーローなどいやしない。
けど、ちょくちょく見せるさりげない優しさというか気遣いはなんだろうか。
よく分からない。
ただ分かるのはこれが今の私にとっての「日常」だということだけだ。
空は赤く染まり、人通りも落ち着いてきた。
さすがにもう行く場所もないので帰ろうとした時、公園からちょっとした喧嘩の声が聞こえてきた。
「殺せるもんなら殺してみろよーだ」
「なんだと!?」
他愛ない子どもの喧嘩だ。
遠くからでもその声は聞こえる。良く響く声してる。
元気だなぁ。
それにしても裏の世界ならこんな冗談は決して言えない。
あの調子だったら遅くても明日にでも仲直りするだろうな。
そう思って再び前を向いた瞬間、もう一人の声が耳を貫いた。
「ししし、じゃあ殺してやるよ」
聞き覚えのありすぎる声と独特な笑い方。
反射的に振り向くと想像通りの人物がいた。
ニッタリ笑う彼の手には数本のナイフ。
ここから止めに入ったんじゃ間に合わない。
……アレは結構力を持っていかれる上に、こんなに離れていたら余計に力を持っていかれる。
でも緊急事態だし仕方ないか。
━能力発動 緑
「バイバイ」
ベルの手から放たれたナイフは真っ直ぐ飛んでいき、子どもに届く前に何かに引き寄せられたように地面に急降下した。
唖然としているベルをよそに子どもの元へ駆け寄った。
「じゃじゃーん!びっくりしたでしょ?暗くなる前にお家に帰りな。ね?」
「えー?今のどうやったの」
「手品は人に明かさないものなの。さ、きっとお母さんが心配してるよ。バイバイ」
無理やり子どもたちを家に帰させた。
そして作った笑顔をすぐに解いた。
「何で邪魔したんだよエルザ」
「何の罪もない小さな子どもを殺すつもり?しかもこんな人目につく場所で」
「ま、それはどうでもいいけどさ。それよりこのナイフにどうしたわけ?」
やや地面にめり込んでいるナイフを指さして聞いてきた。
地面にめり込んだのは咄嗟のことだから加減が分からなかったせいだ。
もちろんどのようにしたのかはベルには言うつもりはない。
何事もなかったかのように帰ろうとした。
「っ!」
少しだけ足がふらついた。
元々あの能力はある意味地球を操るようなもんだから使うとほんの少しだけ疲れる。
しかも今回は結構距離があったからなおさらだ。
重力を軽くしたり重くしたりと便利なものなのだが、不都合なことが多い。
半径一メートル程なら何の疲労も感じないのだけが唯一の救いだ
「なーにふらついてんだよ。帰んぞ」
ベルが肩を支えてくれた。
今日、街に行って分かったことが二つある。
それは私はもう表の世界に戻れないこと。
もう一つは、私が知っているヒーローとベルは違う。
そもそも、あんなに簡単に人を殺そうとするヒーローなどいやしない。
けど、ちょくちょく見せるさりげない優しさというか気遣いはなんだろうか。
よく分からない。
ただ分かるのはこれが今の私にとっての「日常」だということだけだ。