「40度あります。しっかり休めば治るでしょう」

「やっぱりすごい熱ね。でも病気じゃなくてよかったわ」

「大変な事ってこれかよ」


医務室には専属の医者と幹部3人がいた。
幹部の内の1人はベッドで横になっている。


「熱もすごいのですが、お腹の打撲は……」

「だ、大丈夫よ」

「(ぜってーこいつの仕業だ)」


ベルは何故自分が医務室まで来なければなければならなかったのか理解できなかった。
そして今から起こる出来事にはもっと理解できなかった。


「ベルちゃん、悪いんだけどエルザちゃんの近くにいてあげて」

「はぁ？なんでオレが」

「私、今から任務が入ってるのよ。頭のタオルを定期的に取り替えて」

「医者にやらせりゃいいじゃん」

「あ、あと手でも握っといてあげたら？ま、頼んだわよ」

「無視かよ」


半ば強引にこの場を任されてしまった。
ルッスーリアが出ていった数分後、ベルも出ていこうとした。
しかし、それをせき止めるものがあった。


「や…待って……、独り……いや」


エルザがうなされていたのだ。


「助、けて……おか、さ……おにい…ちゃ………怖い、よ……」


息を荒くしながら何かに囚われているエルザ。
何故かは分からないがほっておけなかった。


『手でも握っといてあげたら？』


ベルの頭にこの言葉が頭に浮かんだ。