君に捧げる薔薇の告白
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テセアラの神子邸、静かな中庭。
穏やかな日差しの中で紅茶を楽しんでいたセレスは、
目の前で「鼻歌まじりに庭の手入れ(という名の薔薇の剪定)」をしている兄を、
冷ややかな、けれど鋭い視線で眺めていた。
「……お兄様。いい加減になさったら?」
「ん~? 何がぁ、可愛いセレスちゃん?」
ゼロスは振り返りもせず、上機嫌に答える。
その手元にあるのは、あの日ハニーに贈ったものと同じ、鮮やかなオレンジ色の薔薇だ。
「何が、ではありませんわ。その、締まりのないお顔のことです。
先ほどからハニー様のお名前を呟きながらニヤニヤされて…見ていてこちらが恥ずかしくなりますわ」
「おっと、聞こえてた? いやぁ、あの日以来さ、ハニーが俺様を見る目がちょっと熱いっていうか。
……あ、もしかしてセレスちゃん、嫉妬しちゃった?」
いつもの軽薄な調子で笑うゼロス。
だが、セレスは手に持ったティーカップをソーサーに置くと、フンと鼻を鳴らした。
「嫉妬など。……ただ、お兄様がようやく『お飾り』ではない、
本物の服を選べるようになったのだなと、感心していただけですわ」
「お飾り、ねぇ……」
「ええ。あの日、彼女が着ていたお洋服。
お兄様、あの方のサイズだけでなく、彼女が歩く時の癖や、
照れた時に俯く角度まで計算して選ばれましたでしょう? 趣味が悪いですわ。
……まるで、籠の鳥に贈る装束のようですもの」
ゼロスの手が、ピタリと止まる。
セレスの指摘は、鋭い。
24歳になった彼が彼女に贈ったのは、単なるプレゼントではない。
「俺様以外に見せるな」という、目に見えない独占欲の鎖だったのだ。
「……さすが俺様の妹。目利きが厳しいねぇ」
ゼロスは観念したように肩をすくめ、一輪の薔薇をセレスのテーブルに置いた。
「でもさ。あの『鳥』、意外と力が強くてね。
籠の格子をぶち壊して、俺様の心臓まで掴みに来るんだよ。……参っちゃうよね、本当に」
そう言って、自嘲気味に、けれど愛しくて堪らないという顔で笑う兄。
その表情に、セレスは少しだけ目を見開いた。
かつて、裏切りと孤独の中で空っぽな瞳をしていた兄が、
今は一人の女性に振り回されることを心から楽しんでいる。
「……そうですわね。お兄様のような『卑怯者』には、あの方くらい芯の強い方がお似合いですわ」
「ひっどいなぁ! でも、否定はしないよ」
「……お幸せに。ハニー様に愛想を尽かされないよう、精々お気をつけることですわね」
セレスは再び紅茶を口にし、そっぽを向いた。
兄の独占欲を「趣味が悪い」と切り捨てながらも、
その独占欲がたった一人の女性によって幸福に満たされていることを、
妹として少しだけ、安堵しているようだった。
穏やかな日差しの中で紅茶を楽しんでいたセレスは、
目の前で「鼻歌まじりに庭の手入れ(という名の薔薇の剪定)」をしている兄を、
冷ややかな、けれど鋭い視線で眺めていた。
「……お兄様。いい加減になさったら?」
「ん~? 何がぁ、可愛いセレスちゃん?」
ゼロスは振り返りもせず、上機嫌に答える。
その手元にあるのは、あの日ハニーに贈ったものと同じ、鮮やかなオレンジ色の薔薇だ。
「何が、ではありませんわ。その、締まりのないお顔のことです。
先ほどからハニー様のお名前を呟きながらニヤニヤされて…見ていてこちらが恥ずかしくなりますわ」
「おっと、聞こえてた? いやぁ、あの日以来さ、ハニーが俺様を見る目がちょっと熱いっていうか。
……あ、もしかしてセレスちゃん、嫉妬しちゃった?」
いつもの軽薄な調子で笑うゼロス。
だが、セレスは手に持ったティーカップをソーサーに置くと、フンと鼻を鳴らした。
「嫉妬など。……ただ、お兄様がようやく『お飾り』ではない、
本物の服を選べるようになったのだなと、感心していただけですわ」
「お飾り、ねぇ……」
「ええ。あの日、彼女が着ていたお洋服。
お兄様、あの方のサイズだけでなく、彼女が歩く時の癖や、
照れた時に俯く角度まで計算して選ばれましたでしょう? 趣味が悪いですわ。
……まるで、籠の鳥に贈る装束のようですもの」
ゼロスの手が、ピタリと止まる。
セレスの指摘は、鋭い。
24歳になった彼が彼女に贈ったのは、単なるプレゼントではない。
「俺様以外に見せるな」という、目に見えない独占欲の鎖だったのだ。
「……さすが俺様の妹。目利きが厳しいねぇ」
ゼロスは観念したように肩をすくめ、一輪の薔薇をセレスのテーブルに置いた。
「でもさ。あの『鳥』、意外と力が強くてね。
籠の格子をぶち壊して、俺様の心臓まで掴みに来るんだよ。……参っちゃうよね、本当に」
そう言って、自嘲気味に、けれど愛しくて堪らないという顔で笑う兄。
その表情に、セレスは少しだけ目を見開いた。
かつて、裏切りと孤独の中で空っぽな瞳をしていた兄が、
今は一人の女性に振り回されることを心から楽しんでいる。
「……そうですわね。お兄様のような『卑怯者』には、あの方くらい芯の強い方がお似合いですわ」
「ひっどいなぁ! でも、否定はしないよ」
「……お幸せに。ハニー様に愛想を尽かされないよう、精々お気をつけることですわね」
セレスは再び紅茶を口にし、そっぽを向いた。
兄の独占欲を「趣味が悪い」と切り捨てながらも、
その独占欲がたった一人の女性によって幸福に満たされていることを、
妹として少しだけ、安堵しているようだった。