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本日はギルドの依頼で、賊の蹴散らしである。
「よ!は!オラオラ、どしたァ!!!
この程度でオレらブレイブ・ヴェスペリアに逆らおうってのがお門違いだぜ!」
「ちょっとユーリ突っ込み過ぎ!煽らないで!回復する私の苦労も考えてよ!」
猪突猛進で先陣切って、敵陣に斬り込みにいく我が彼氏であるユーリは今日も絶好調である。
私やカロルくん、ジュディはユーリの取りこぼした敵の薙ぎ払い役だ。
「ほんとだよ。ユーリ、少しは彼女の言うこと聞いたら?」
「うふふ。でもアレが彼のアイデンティティなんじゃないかしら?
それにちゃんとガス抜きしておかないと、後で困るのは貴女ではなくて?」
「うぐ!そ、それは…(否定できないけれどさ)」
「??何で困るのさ」
「あら。カロルにはまだ早い話題だったわね^^」
「な、なんだよ~。僕だって一人前の頭領(ドン)なんだからね!・・あ、後ろ!!」
「へ!?」
「オラァ!!!」
飛び蹴りで賊を吹っ飛ばすユーリに唖然となる。一体いつの間に!?
起き上がろうとした奴はユーリにゲシゲシと踏みつけられ、呻き声が。
「オレの女に手ぇ出すとはいい覚悟だなァ?」
剣をしまい、ボキボキと両手鳴らし、ドスの入った声で睨みつける。
ドカ!バシ!ボカッ!バキィ!と聞くのも耐えない暴力が場を支配する。
「う、うわぁー…ユーリ、マジギレしてる」
カロルくんのドン引きする声にハッと現実に返る。
すぐにユーリの傍に駆けていき、全力で抱き着いて止める。
「ユーリ!ユーリったら!!
殺しちゃったら報酬がもらえなくなっちゃうし、ギルドの信頼も落ちちゃう!
何より掟に背く気!?ったく、もう!眼ぇ覚ましなさい!!!」
パァーンとユーリの頬を力一杯引っ叩いた。しーんと静寂が訪れる。
「あ。オレ…」
「ありがとう、もう充分だから。頬、叩いてゴメンね」
眼に光が戻ってきたのを確認した私は、ユーリの手を取ってヒールをかける。
殴る方だって痛いのに。手が血だらけじゃない。どうして、この人は無茶ばかりするんだ。
「あらあら。真のMVPは彼女かしらね?」
「ほんとだね。彼女がいなかったらユーリがユーリじゃなくなっちゃうよ」
カロルくんとジュディの声が背中から聴こえたが、それは違う。
私もだ。ユーリがいなくなっちゃったら、きっと私は私じゃなくなる。
お互いに依存を越えた半身。唯一無二の伴侶なんだから。
ギルドの依頼を無事に終えてホッとするのであった。
依頼を終えた後。私達メンバーはギルドの巣窟ダングレストに戻ってきた。
誰一人殺さず生かして捕縛という、難易度の高い依頼をなんとか達成。
「じゃあ僕はクライアントに報告しとくから。ユーリ、宿の手配よろしくね。皆、お疲れ様」
カロルくんが着いて早々に駆けだす。
相変わらず頭領(ドン)はせっせと自ら動いてしまう。将来が楽しみである。
「じゃあ私はジュディと一緒の部屋で。ユーリはカロルくんと。いいよね?」
「いや…」
ユーリに確認のため聞いたら、ユーリは珍しく首を横に振った。
「あら。じゃあ皆個室?私は歓迎だけれど…ねえ?」
「こちらを見ないで。ジュディ」
意味あり気にニヤリとしないで。
「おら、行くぞ」
「ちょ!ユーリ引っ張らないで~」
「あらら。ユーリったら。…珍しく落ち込んでるのかしら?」
ドナドナされてく私に少し遅れて、ジュディも付いてくる。
「(それ私も思った。ユーリ、どうしたの?)」
それぞれが個室に移り、数時間後。私はやはり気になってユーリの部屋を訪ねる。
「ユーリ、いる?私だけど入っていい?」
ノックをしたら「おーう」と返事があったのでドアを開けて入ったら。
風呂上がりだったのか、部屋着は着崩れ胸元は剥き出し。さらに視線を上げれば…
「ポニテ!!?(…うわ、いつもより若く見える)」
「おい。聴こえてるぞ。誰がいつも年増だって?」
「いやー本日は項が色っぽいですね!よっ!美人」
「あんたホントに何しに来たんだ。嫌味言いに来ただけなら戻れ」
ジト目で見返され、私は本来の目的を思い出した。やべ、不機嫌になった。
「待って待って。やっぱユーリ変よ。いつもよりカリカリして。どうしたの?」
「あー…。(前髪をぐしゃぐしゃ搔きながら) 悪ぃ。今のは八つ当たりだな」
「いいけど…(ソファを指さして) とりあえず座っていい?」
ユーリが頷いてので座らせてもらう。
「で?ポニテの本当の意味は?普段の貴方なら絶対にしないでしょう?」
ズバリと切り込む。ポニテは騎士団の正装姿の頃の象徴だ。騎士が嫌で辞めたのに…。
「はぁ~…。ったく、嫌なとこ突いてきやがって」
ユーリは溜息をつき、私の隣にドサッと座り込んだ。
「悪いけど引かないからね。ユーリが嫌がったって聞き出すから」
「はいはい。あんたを怒らせると怖いのは身に染みて分かってるさ」
さっきもぶん殴られたし、と言われ。え?…あ、平手打ち?謝ったじゃん。
「…まぁ猛省というか。初志貫徹というか。あんたにも迷惑かけたしな」
だから規律に縛られた頃に戻したんだよ。と、そっぽを向く彼に。私はポカンとユーリを見た。
「え。だから態々ポニテ?」
「悪いかよ」
「ううん。むしろ久々に見れて私は嬉しいよ^^」
にっこり笑ってユーリのポニテに手を伸ばす。
さらさらと揺れ流れる黒髪の手触りに満足し、彼に爆弾を落としてやる。
ユーリには早く元気になってもらわないと皆が困るんだから。
「私の告白をOKしてくれたユーリだなぁと思って。あの時はホントにドキドキしたんだよ?
ユーリは嫌かもしれないけど、私はポニテも大好き。今は私だけの聖騎士様かな」
ポニテの毛先を自分の指に絡ませて引き寄せ、口付ける。するとユーリは絶句していた。
「…あんた、ほんっっとうにマジでいい加減にしろ。性質悪ぃ。
(“あの日”を思い出しちまっただろが。あんたの正装姿だって充分な破壊力なんだぜ?)」
こっちを見て盛大に溜息をつかれた。何よ?もう。
「どっちがよ。その項がチラチラ覗く度に私のトキメキを返せ。(フェロモン撒き散らすな!)」
ペイっとユーリの髪を放った。さらっと流れる黒の濡れ羽色に少し嫉妬。
「ぷっ、ははは。トキメキって。今のあんたがそんなたまかよ。
(ずぶずぶにハマっちまってるオレ達だぜ?)」
「何ですって!?(むっかー!何この余裕!)」
流石にカチンときた。元気になった途端これだ。ソファから立ち上がる。
「機嫌は直ったようなのでお邪魔しました!」
「おい。誰が帰すと言った。散々オレを煽ったツケを払え」
「お断りします。今夜はせっせと抜いてれば?おかずは許す。だから寄るなー!」
シャーと毛を逆立てた猫のように、私は傍にあったクッションをユーリに投げつけた。
「こ、の…!暴れ猫っ大人しく、しろ!!」
「ぎゃにゃああ」
「おし。捕獲ーっと」
またしてもドナドナされ、ベッドへと放り投げられた。
「ぎゃ!もっと優しくしなさいよ!聖騎士様でしょ!!?」
「おう。あんただけの聖騎士様だ。だが前提にオレはあんたの雄なんでな」
ニヤリと笑いベットに乗り上げてきたユーリに私はぞくりと粟立つ。
(お、雄って…やばい!喰われる!!!)
最後の足掻きに枕を引っ掴み、ユーリの顔面にぎゅうぎゅうと押し付ける。
「ぶっ!んっとに、あんたって奴は。いい加減に機嫌、直せよ。悪かったって」
「うっ…ユーリのバカ。デリカシー無し。私の告白をなんだと思ってるのよ。
(普段しない正装姿に背を押された気がしたんだ、告白するなら今だって)」
枕から手を放し、こみ上げる感情の行き場をユーリにぶつける。
一瞬でも、あの時の本気をからかわれたようで。私は睨みつけた。
「…やっぱり。“あの時”に私からトドメ刺しとけば良かったかしらね?」
「あの時???」
「ソディアに刺された時よ。デュークさんに助けられた私達だったけど。
ユーリにヒール掛けるんじゃなくてジャッジメントでも食らわしておけば…」
そう。ユーリは私によって九死に一生を得ている。
あの回復も自己満だ、と言われてしまえば、それまでだけど。
「すんませんっでした!!!」
ベッドの上で私に土下座。目の前で揺れる黒の尻尾に毒気が抜けてしまった。
私はおもむろに、その尻尾むんずと引っ掴む。無理矢理、顔を上げさせた。
「いい?ユーリ。その繋いだ命、くだらない理由でまた投げ打つようなら…」
「なら?(ごくり)」
「ヤる。今度こそ私の身ごとユーリの心臓、貫くから。
裁きを受けるならまだ許した。一念三千にもついてく。
他人にその命を渡すくらいなら。こんな世界、いらない」
ゴゴゴゴゴゴゴ。と圧をユーリに向ける。
「おっわ(怖ェ…!)」
「それか…そうね。(ユーリの顔を両手で挟んで) 私の口付けで窒息してみる?^^」
「はあ!!?んむっ!」
私からユーリに口付ける。いつもはキスに翻弄されるけど。
今回は許さない。からかった罰はちゃんと受けてよね。
ふふふ。喰われるのはユーリ、貴方のほうになったわね。
ユーリをがっちりホールドして、その唇を貪る。
どれだけ経ったろうか。1時間?2時間?いいえ。答えは、一晩中。
「はあ・・はあ・・はあ。(*´Д`) あんた、バケモンかよ!」
ふっ。これに懲りたら私の本気をからかうんじゃありません!
*この時ユーリが思ったのは。「マジでキスだけで死ねる」らしいです。