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メイドパニック!

②出雲ハルキ




「すまないが、アラタは俺のものだ。」


そう言うとハルキはその腕を掴んだまま、教室から走り出した。


「ちょ、ハルキ!?」


当然だが、掴まれたままのアラタも同じように走らされるわけであり、困惑しつつ付き合うしかなかった。


「ハルキ、ちょっと待てよ!」


「すまない。だが、もう少し我慢してくれ。」


アラタの言葉に一言謝罪しつつもハルキは走るのを止めない。
仕方ないので、これ以上言わないでおき、引っ張られたまま彼の行くところまで渋々付いていく。


(けど・・・)


何色にも染められていない黒い髪が、窓から差し込む光で輝き、自分とは違う広くどこか男らしい背中を見ながらアラタは内心で思う。


(ハルキは・・・やっぱりカッコいいな)


『へへっ』と思わず笑みを浮かべれば、それに気付いたハルキが振り向き『どうした?』と聞いてくる。
それに『何でもない』と答えればすぐにハルキは前を向いた。












やがて着いたのは1つの空き教室。
走り疲れた2人はその場に座り込んだ。


「はぁ、はぁ・・・大丈夫かアラタ?」


「あぁ、何とか・・・ハルキは?」


「俺も平気だ。急に走り出してすまないな。」


「いいや全然平気。それより、どうして走り出したんだ?」


不意に問えば、ハルキは若干顔を赤らめつつ言いづらそうにだが答えた。


「いや、その・・・これ以上、お前の姿をあいつらにさらしたくなかったんだ・・・」


その答えに一瞬キョトンとしたアラタだが、すぐに気付き、おもむろにスカートの裾を上げながら苦笑いをする。


「あぁ、この服装だもんな。似合わないし、そもそも男がメイド服なんて・・・」


「そんな事無い!」


「!?」


言葉を否定すると共にハルキは、驚くアラタを見ながら優しく微笑んだ。


「とても・・・よく似合っている。」


「ハルキ・・・」


自分とは違う端正で整った顔立ちに微笑まれながらそんな事を言われたアラタは、先程の彼同様に顔を赤に染める。
そして照れくさそうに笑った。


「へへっ、この格好で周りのやつらにそんな事言われてもあまり嬉しくないけど、でも、ハルキだから。ハルキならそう言われても全然嬉しい。」


「アラタ。」


「ありがとうなハルキ。大好きだ!」


「!?あぁ俺も・・・愛してるよアラタ。」


ハルキは優しくアラタを抱き寄せる。
アラタは抵抗せず、そのまま彼の胸の中で目を閉じ身を任せた。












数十分後。
心配して探しに来た第1小隊の2人が見たのは、抱き寄せられたまま幸せそうに眠るアラタと、彼の肩の上に頭を乗せながら同じく穏やかに眠るハルキの姿。

その2人の姿にヒカルとサクヤは呆れたり、苦笑いを浮かべるが、起こすのも可哀想なので暫くそのままして、この場を去っ
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