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メイドパニック!

⑩山野バン(+海道ジン、大空ヒロ、仙道ダイキ)※バン総受け有り。








「大丈夫?」


穏やかな声でそう尋ねるのは、LBXプレイヤーならその名前を知らぬものはいないと言う程有名な存在。
LBXの産みの親である山野淳一郎博士の息子で、嘗て起こったイノベイター事件や、ディテクター事件、ミゼルの最適化計画を仲間達と共に解決へと導いた青年。
4年前より伸びた身長と、大人びいた容姿となった彼だが、穏やかで優しい雰囲気と暖かな瞳は変わらずに彼の性格を物語っている。


「や、山野バンさん!?」


アラタの言葉に、他の面々も我に返ったように驚愕の表情を浮かべ、視線を彼にそそぐ。
一方、当の本人であるバンはと言うとニコリと笑みを浮かべながら、掴んでいた腕を放す。


「何かここを通ったら沢山の声が聞こえて気になって入ってみたんだけど・・・もしかして邪魔だったかな?」


少々躊躇いがちに言うバンに『そんなことありません!』とやや興奮気味にアラタは答える。


「ところでどうして学園に?」


「あぁ。ジン、海道ジンに文化祭があるから息抜きに来ないかって誘われてね。」


「じゃあ1人で?」


「いや確か・・・」


「バン君!!」


バンの言葉を遮るように勢いよく現れたのは、バンを誘った張本人、海道ジン。
ジンはバンを見ると、すぐさま両手を取り穏やかな表情を浮かべる。


「来てくれて嬉しいよバン君。」


「ジン、久しぶり。元気にしてた?」


「あぁ。もちろんだよ。そうだ、君に渡したいものがあるんだ。」


「渡したいもの?」


キョトンとした瞳で見ながら首を傾げれば、ジンは『あぁ』と頷くとバンにそれを見せる。
見せられたものに、思わずその場にいた者全員が固まってしまった。

それは・・・


「このバン君に似合う赤いメイド服を受け取ってくれ!」


ジンが見せたのはフリルがふんだんに使われた、アラタが着ているデザインのもとあまり変わらないメイド服。
唯一違うのは赤色であることと、スカートの丈が長いことだろう。


「ジ、ジン・・・18才の男が似合うと思う?」


「バン君なら似合うさ。」


「いやいや!絶対似合わないよ!」


サラリと言うジンに対しバンは思いきり拒絶する。
そんな時、2人の人物が現れる。


「ジンさん!それは立派なセクハラですよ!」


「全く。変わらないな。」


「ヒロ!仙道!」


現れたのはバン同様に有名な大空ヒロと仙道ダイキだ。
ヒロはジンに指を差しながら『いけません!』と怒り、仙道は呆れた表情を浮かべる。
思わぬ2人の登場に、周囲は更に驚愕するが、ジンは忌々しげに睨み付けた。


「どうして君達がいるんだ?僕は《バン君しか》呼んでないはずだけど・・・」


「可愛い妹の文化祭を、兄貴が見に来て何が悪い?」


妹のキヨカがいる仙道の理由にジンは納得するが、問題はヒロ。
ヒロは学園にも生徒達にも何ら関わり合いはないはず。


そんな思いでヒロの方を見ればヒロは自信満々に答えた。



「僕の危険予知が、バンさんがジンさんに迫られる光景を見せてくれたんです。バンさんを守るためにも、ヒーローの僕がここに来て当たり前じゃないですか!」


変わらないヒロのヒーローおたくっぷり。
だが、今はそんなことどうでもよかった。
ジンにとって一番厄介な2人がいる事に変わりはない。


「本当、昔から君たちは僕の邪魔をしてくれるね。」


「はっ、思い違いも良いところだね。けどまぁ、山野バンが好きって言う点は俺も同じだけどな。」


「それなら僕もです!」


「「「・・・」」」


「ちょっと3人とも・・・」


互いに睨み合う3人の周りには、何とも言えない空気が漂い始める。
さすがのバンも『マズイ』と思い止めようとしたが、入り込めない雰囲気に渋々諦める。


そして呆然とするアラタの方を向いた。


「ごめんね、あの3人会うといつもあぁなんだ。」


「は、はぁ・・・でも、バンさんの気持ち、何となく分かりますよ・・・」


「えっ?」


そう言うアラタの目線の先を見れば、先程まで止まっていた筈のムラク、キョウジ、ハルキの3人が再び睨みあっている。
まるで今のジン達同様の雰囲気をかもちだす3人と、自分と同じ立場であろうアラタに対し、バンは静かに同情したのであった。




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