この手の中に
会場にいた音楽家達の優雅で美しい音に乗りながら、刹那はリボンズと踊り始める。
「左に、次は右に。」
リボンズの指示通りに刹那は足や体を動かせ踊る。
「上手いですねお嬢さん。」
ニコッと笑うリボンズ。
一方の刹那は冷たい目で彼を見、小声で言った。
「教えろ。何故俺がアロウズを探っていることを知っている。」
その問いにリボンズはフフッと軽く笑い、顔を耳元に近付けながら答えた。
「知ってるからだよ。君がCBに入っていることを。お嬢さん。いや、刹那・F・セイエイ。」
「!きさまっ・・・」
刹那の名前とCBの一員である事を知っているリボンズに、刹那は驚きを隠せない。
その瞬間、
『ズルッ』
「くっ・・・」
その言葉に夢中になり、リズムのテンポがずれ、足が動かなくなる。
「危ないよ。」
リボンズはリズムがずれた刹那を上手く合わせて、元に戻すと再びリードする。
「次は左に動いて、そして次はゆっくりと回る。」
リボンズの右手が刹那の腰に回され、それと同時に半回転をする。
「そう上手い上手い。」
「っう。」
「話しはこのダンスを踊ってから別の場所で。いいね。」
その言葉に刹那は『あぁ』と一言。
やがてダンスを踊り終えた2人は盛大な拍手を受けながら、会場から離れたVIPルームに行った。
「入って。」
リボンズに促され刹那は部屋に入る。
その後ろで鍵を掛けた事に気付かぬまま・・・
「お前は一体何者なんだ?」
2人きりの部屋の中ですぐに刹那はリボンズに尋ねた。
「早速の質問だね。いいよ答えてあげる。僕はリボンズ・アルマーク。イノベイターだよ。」
「イノ・・・ベイター?」
聞き慣れない言葉に首をかしげる刹那。
「そう、イノベイター。イオリア・シュヘンベルグの計画を実現する者。」
「なっ!CBが計画実現のモノじゃないのか!」
その言葉に驚きを隠せない刹那。
リボンズは微笑んだまま頷くと更に続けた。