この手の中に
指揮官などの高官を観察しながら、刹那は怪しまれないように会場にいる人々と話す。
「是非今度エスコートさせていただきたい。」
「私もだ。是非。」
「分かりました。機会があれば。」
刹那の美貌に魅力された男達が話しかける。
刹那はそれをトレミーでMsスメラギにみっちりと仕込まれた笑顔と言葉で交していく。
そんな時、突然『ゾクリ』と背筋に冷や汗が伝った。
それと同時に人々が別のとこに視線を向ける。
(なっ、なんだ・・・?)
冷や汗が伝ったのも気になるがとりあえず刹那も視線を向ける。
視線の先には柔らかい黄緑色いや、若葉色の髪を持った青年がいた。
上質できらびやかな刺繍が施された上着を着て、穏やかな笑みを周囲に振るまいてる。
「あれって主催者のアルマークじゃないか?」
「あれがあの有名なリボンズ・アルマークか。若いなぁ。」
(リボンズ・・・アルマーク・・・)
心の中で変わった名前だと思い復唱する刹那。
リボンズ・アルマークと呼ばれる青年はニコニコと、微笑みながら真っ直ぐ刹那の元へやって来た。
「こんばんはお嬢さん。パーティ楽しんでいただけてますか?」
その問いに刹那は微笑みを浮かべながら返す。
「はいとても。こんな素敵なパーティ私初めてです。」
「それは良かった。それでお嬢さん、突然なんですが、僕と一曲踊って頂けないでしょうか?」
リボンズのダンスの誘いに任務中の刹那は困惑する。
「あっ、ですが私はダンスは踊れなくて・・・それに、貴方の様な高貴なお方と私の様な者が踊るなんて・・・」
一生懸命断る刹那に対し、リボンズは刹那の髪に口づけをしながら小声で言った。
「アロウズの機密情報・・・知りたくないですか?」
「えっ・・・」
その一言に刹那は思わず目を見開く。
リボンズは髪から離れるとニコリと笑い、手を差しのべた。
「大丈夫。僕がちゃんと何もかもリードしてあげますから。それに、貴方は僕が見付けて連れてきた方何ですから、そんな事気にしないでください。」
「はっ・・・はい。」
刹那は暫し呆然としたまま差しのべられた手をとった。