この手の中に
※潜入したのが刹那だったら・・・
たくさんの人がパーティを楽しんでいる会場で一際目立つ、いや美しい姿をして潜入した刹那。
本人は男装でも(いや寧ろその方が)よかったのだが、ティエリアとMsスメラギの提案で本来の女性の服装をした。
短い髪はストレートのウィッグで長くし、年齢とともに大きく成長した胸の谷間が見え、背中と腰のラインがハッキリと分かる青いドレスを着、慣れない高いヒールの靴を履き、ほんのりと薄化粧(化粧はフェルトとミレイナがした)をした姿は会場にいる男性のみならず、女性をも魅力させる程。
ちなみにその姿を見たトレミー内の男性陣(特にロックオン)は興奮して鼻血を出したものが数名出たとか。
刹那はそんな視線を気にせず、とりあえず周囲を見てアロウズの指揮官を探した。
(・・・何処にいる。)
パーティを楽しむ振りをしながら探していると会場にやって来た王 瑠美がトントンと刹那の肩をつつく。
「実物に会うのは久しぶりですわね刹那。」
「王 瑠美。」
「フフッやっぱりお似合いですわねそのドレス。」
「笑うのなら笑え。」
ふてくされた様にソッポを向くと、瑠美になだめられる。
「まぁまぁ、それに本当のことですわよ。浅黒い肌にその青いドレス、人を惹き付けるような美貌・・・まさにグッジョブですわ。」
小さく親指を立て喜ぶ瑠美に刹那は今度は呆れ、ハァと小さなため息をついた。
「ところで用事があるからここに来たんだろ。早く言ってほしい。」
カルーアミルク(パーティで出すのか分からんが)の入ったグラスに唇をつけながら小声で言う刹那。
「刹那の美貌に見とれて忘れてましたわ。あの端のテーブルにいるお方がアロウズの指揮官ですわよ。」
瑠美が目で場所を差す。
刹那もその場所を見て確認する。
(あの男が・・・)
アロウズに対する怒りを心で抑えながら一口カルーアミルクを飲む。
「では私はこれで。バレないよう離れないといけませんし、パーティ楽しんでくださいね。」
最後にまともな事を言って刹那の元から王 瑠美は去っていった。
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