悪戯とアルコール
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彼の求めるものを、私は差し出せない。
逃げるように足を動かしてから夜通し考えてでた結論は、予想通りというべきか、根本的なものだった。
——私は、彼が満足するような愛を知らない。
知らないものを、どう渡せというのか。
不可能、明らかであるはずの答えにも、もやもやと納得できずに日にちが流れていく。
支える気持ちなんて欠片もないはずなのに、一方通行の感情を彼に求めていたことに気づいてしまえば自己嫌悪が続いた。
嫌いにならないで欲しい。でも、こんな独りよがりな気持ちが伝わってしまえば、今度こそ終わりだ。
どうやら、失望された瞳を想像して夢に映し、苦しさに飛び起きるくらいには彼に特別な感情を抱いていたようで。
驚きはなかった。ただ、どうしようもなく処理に困った。
これまで邪魔でしかない感情は、捨ててしまえたのに。
何度かくる誘いのメッセージは無かったことにし続けた。通知をオフにすることで、来てないと下手に思い込める馬鹿な頭で。
どこまでも知能の低い頭は、勝手な想像だって昼夜関係なく生み出す。
お兄さんが私の気持ちに気づいたとして、どうなる? 私の思考回路では、身体をただ欲望の処理に使われてオワリ、だ。
いくら冷めた目つきでも、彼が望むのなら差し出せそうな自分の変わり様が怖かった。
今まで芽生えることのなかった気持ちに扱いに困り果てて、とにかく距離を置くことを選んだ。
精神がお兄さんに侵食されていようと、表面上は変わっていない。時々連れ出されていた居酒屋も行かなければ、そこには立派な優等生の出来上がりだ。
いま、会って恋愛感情なんて仄めかされてしまえば日常生活なんて捨ててお兄さんに傾倒することは簡単に予測できた。
だから、普通の高校生らしくテストやバイトに追われながら過ごしていたはずなのに。
お兄さんは私のことを気にしていないなんて予想ははずれていたようで。