残夢
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もういっそ、隠してしまおうか。
一瞬巡った考えを見透かすように、
「私は紫苑に新しい素敵な人を見つけて欲しい」
目を合わせ、しっかりとした口調で話された。
貴女以上の人なんて、いるわけない。
そう口を開こうとするが、言ってしまえば彼女の決意を無駄にしてしまう気がして、口を噤む。
俯く俺に近付いて、頬をひんやりとした小さな手で包んで顔を上げられる。
ぱちりと目が合えば、
「今までありがとう」
潤った瞳で感謝を告げる彼女は、とても儚く、美しい。
「本当に、いってしまうんですね」
「ええ。今まで夢のような時間だったわ、そろそろ時間よ」
これで、最後。しずくが零れないようこれまでの精一杯の感謝を込めて唇を重ねた。
ゆっくり離れると同時に、それぞれ別の方向へと動き出す。
__敬愛の口付けは、甘く、儚く、ほんのり苦い味だった。
【残夢(ざんむ)】
見果てなかった夢。
目ざめてなお心に残る夢。