ペルソナ5(短編)
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【儚い繋がり】
恋人関係
人混みは苦手な方々が多いと個人的に思っている
対して自分はむしろ人混みは好きだ
理由────自分はちっぽけ、大多数の中のただの1つに過ぎない
人混みを大海に換えても通用する理由
大海に漂うゴミ
東京という大都会の人混みの中を歩いていると常々思う
自分はなんて無力で小さな存在なのだろう
さて、ここまでナーバスな気分なのには自分の恋人に理由がある
自分の恋人──【明智吾郎】に
─ツー─ツー─ツー─
「お繋ぎになった電話番号はただいま通話中d─」
ブチッ─────そんな電波の遮断音を最後に聞いて私はスマホを耳から遠ざけ、鞄に仕舞いながら目の前の人混みをボーッと眺めていた
最近────というか数ヶ月前から恋人である彼──明智吾郎との連絡は滅多にとれなくなった
彼が芸能人顔負けの有名人で、探偵業をしていて、現役高校3年生で受験生なのは分かっている
目が回るほど忙しいことも十分過ぎるほど分かっている
それでも付き合い始めてから数ヶ月前までの間は普通に連絡したいときに連絡したら意志疎通が出来たのだ
ちょっと用事を頼みたい時
会いたくなった時
悲しいことがあって話を聞いてもらいたい時
相談したいことが出来た時
デートの約束をとりつける時
良好なのだ、関係は
疎遠気味の現在でも時々会話出来る暇 はあるわけで
その時に話す口調や声音にはお互いに不満を感じている素振りは全くもってない
『話すの久しぶりになっちゃったね』『忙しくてごめんね』
私も仕事があるし、お互いに忙しいのは分かっていてお付き合いを始めたのだからこのような現状になることも当然互いの理解のうえ
ただこうして人混みを眺めているとその中には付き合いたてなのだろうか、初々しいカップルやまだ小さい子供を連れた新婚卒業したての若い夫婦、逆に軽く口喧嘩しているカップルやらも見える
人混みの中の番 を少し羨ましげに流し見ながらもう一度鞄からスマホをとりだし、今度は連絡チャットアプリを起動した
一番最後の相手側からのメッセージ欄の日付は5日前
メッセージの内容は
『5日後に予定入ってないなら久しぶりにデートに行こう。
場所は最近出来たカフェでどうかな?』
メニューも外観もオシャレで君が好きそうなカフェなんだけど、と続けられているメッセージと参考画像に気分を良くして即了承の返信をしたのを覚えている
待ち合わせ場所や時間は付き合ってからいつも同じ場所と時刻で、一度も変更したことがないので自然に分かっていた
なのでメッセージアプリの最後は私からの返信のメッセージを最後に途切れている
既読は付いているので相手も約束を理解し忘れてないだろう
────────忘れていないはずなのだ
「はあ……」
一度も変わることのなかった場所と時刻
これで事前連絡も無しにいつも通りに来ないということは緊急な事があったのか、それとも忘れてしまっているのか
もうかれこれ2時間以上はここで一人待ちぼうけている
諦めて帰ろうか
相手はデートのことを忙しさの中で忘れてしまったのだ、そう思い帰路の方向へと体を向けた
「あれ?もしかして帰ろうとしてた?
……ごめん、流石に女性に待たせ過ぎたよね。」
うわ、2時間以上過ぎてる……
そう溢して心底申し訳無さそうな表情で再び謝罪をいれた青年──明智吾郎
長いこと待ちわびた恋人が目の前にやっと現れた
いつもの高校の制服ではなくキチンとデート用にオシャレな服装で
「吾郎……」
「本当にごめん……連絡いれたかったけど忙しくて電話の充電を忘れてしまって切れたままで……これは言い訳だね。
本当にごめん桜……。」
「……良いよ、お互いに忙しいのは分かってるから遅れた理由聞かないよ。それよりはやく行こう。楽しみにしてたんだから、久しぶりのデート。」
「うん、桜、あのね……カフェの前に伝えたいことがあるんだけど……。」
「うん?」
「やっぱり今回の事で改めて思った。
スマホだけじゃ繋がりが頼りないって。
僕、受験受かったら大学近くのマンションに引っ越すんだけど良かったらさ──」
私も馬鹿でも無し、鈍感でも無し
彼のその言葉の先は言われずとも理解した
確かに連絡はスマホだけだと困ると今回の件で思い知った
私達はれっきとした恋人同士なのだ
なら恋人同士同居しても何も問題はない
唯一の年齢も彼が大学生になれば同居に問題はない
スマホの連絡ツールという電池が切れてしまえば無意味な儚い繋がりとは違う
家に戻ってくれば確実に再会出来るという確かな繋がり
「うん……うん、嬉しい。
鍵にさ、お揃いのストラップ付けよう。」
「うん。」
「あと、ご飯はどんなに忙しくても私が作るから。外食でいらない時も作っておくから。」
「うん。」
「それから、毎日少しだけでも良いからさ、ちゃんと声聞いて会話しようね。」
「……うん。」
最後の彼の相槌は少し泣きそうな声だった
自惚れではないが、寂しかったのだ、彼も
何故ならこんなに連絡をとれなかったのは付き合ってから初めてで
お互いに不満をもっても仕方ないのは嫌というほど理解していて
だからこそ同居の提案は彼自身も私自身も嬉しく思う以外にない
「じゃあ……はやく行こうか?吾郎は何食べたい?その分だとロクなの食べてないでしょ?」
「うん、食事らしい食事は。
栄養補助食品ばかり口にしてた。」
「ならサラダとハンバーグセットにする?
私もそこ調べてメニュー見てきた。」
「うん、それにしようかな。どうせ君はスイーツなんでしょ?」
「あそこのティラミスに決めた。
絶対美味しいと思う。」
会話の最中、どちらともなく手を繋いで目的地を目指す
繋がれた互いの手は確かな繋がりだった
恋人関係
人混みは苦手な方々が多いと個人的に思っている
対して自分はむしろ人混みは好きだ
理由────自分はちっぽけ、大多数の中のただの1つに過ぎない
人混みを大海に換えても通用する理由
大海に漂うゴミ
東京という大都会の人混みの中を歩いていると常々思う
自分はなんて無力で小さな存在なのだろう
さて、ここまでナーバスな気分なのには自分の恋人に理由がある
自分の恋人──【明智吾郎】に
─ツー─ツー─ツー─
「お繋ぎになった電話番号はただいま通話中d─」
ブチッ─────そんな電波の遮断音を最後に聞いて私はスマホを耳から遠ざけ、鞄に仕舞いながら目の前の人混みをボーッと眺めていた
最近────というか数ヶ月前から恋人である彼──明智吾郎との連絡は滅多にとれなくなった
彼が芸能人顔負けの有名人で、探偵業をしていて、現役高校3年生で受験生なのは分かっている
目が回るほど忙しいことも十分過ぎるほど分かっている
それでも付き合い始めてから数ヶ月前までの間は普通に連絡したいときに連絡したら意志疎通が出来たのだ
ちょっと用事を頼みたい時
会いたくなった時
悲しいことがあって話を聞いてもらいたい時
相談したいことが出来た時
デートの約束をとりつける時
良好なのだ、関係は
疎遠気味の現在でも時々会話出来る
その時に話す口調や声音にはお互いに不満を感じている素振りは全くもってない
『話すの久しぶりになっちゃったね』『忙しくてごめんね』
私も仕事があるし、お互いに忙しいのは分かっていてお付き合いを始めたのだからこのような現状になることも当然互いの理解のうえ
ただこうして人混みを眺めているとその中には付き合いたてなのだろうか、初々しいカップルやまだ小さい子供を連れた新婚卒業したての若い夫婦、逆に軽く口喧嘩しているカップルやらも見える
人混みの中の
一番最後の相手側からのメッセージ欄の日付は5日前
メッセージの内容は
『5日後に予定入ってないなら久しぶりにデートに行こう。
場所は最近出来たカフェでどうかな?』
メニューも外観もオシャレで君が好きそうなカフェなんだけど、と続けられているメッセージと参考画像に気分を良くして即了承の返信をしたのを覚えている
待ち合わせ場所や時間は付き合ってからいつも同じ場所と時刻で、一度も変更したことがないので自然に分かっていた
なのでメッセージアプリの最後は私からの返信のメッセージを最後に途切れている
既読は付いているので相手も約束を理解し忘れてないだろう
────────忘れていないはずなのだ
「はあ……」
一度も変わることのなかった場所と時刻
これで事前連絡も無しにいつも通りに来ないということは緊急な事があったのか、それとも忘れてしまっているのか
もうかれこれ2時間以上はここで一人待ちぼうけている
諦めて帰ろうか
相手はデートのことを忙しさの中で忘れてしまったのだ、そう思い帰路の方向へと体を向けた
「あれ?もしかして帰ろうとしてた?
……ごめん、流石に女性に待たせ過ぎたよね。」
うわ、2時間以上過ぎてる……
そう溢して心底申し訳無さそうな表情で再び謝罪をいれた青年──明智吾郎
長いこと待ちわびた恋人が目の前にやっと現れた
いつもの高校の制服ではなくキチンとデート用にオシャレな服装で
「吾郎……」
「本当にごめん……連絡いれたかったけど忙しくて電話の充電を忘れてしまって切れたままで……これは言い訳だね。
本当にごめん桜……。」
「……良いよ、お互いに忙しいのは分かってるから遅れた理由聞かないよ。それよりはやく行こう。楽しみにしてたんだから、久しぶりのデート。」
「うん、桜、あのね……カフェの前に伝えたいことがあるんだけど……。」
「うん?」
「やっぱり今回の事で改めて思った。
スマホだけじゃ繋がりが頼りないって。
僕、受験受かったら大学近くのマンションに引っ越すんだけど良かったらさ──」
私も馬鹿でも無し、鈍感でも無し
彼のその言葉の先は言われずとも理解した
確かに連絡はスマホだけだと困ると今回の件で思い知った
私達はれっきとした恋人同士なのだ
なら恋人同士同居しても何も問題はない
唯一の年齢も彼が大学生になれば同居に問題はない
スマホの連絡ツールという電池が切れてしまえば無意味な儚い繋がりとは違う
家に戻ってくれば確実に再会出来るという確かな繋がり
「うん……うん、嬉しい。
鍵にさ、お揃いのストラップ付けよう。」
「うん。」
「あと、ご飯はどんなに忙しくても私が作るから。外食でいらない時も作っておくから。」
「うん。」
「それから、毎日少しだけでも良いからさ、ちゃんと声聞いて会話しようね。」
「……うん。」
最後の彼の相槌は少し泣きそうな声だった
自惚れではないが、寂しかったのだ、彼も
何故ならこんなに連絡をとれなかったのは付き合ってから初めてで
お互いに不満をもっても仕方ないのは嫌というほど理解していて
だからこそ同居の提案は彼自身も私自身も嬉しく思う以外にない
「じゃあ……はやく行こうか?吾郎は何食べたい?その分だとロクなの食べてないでしょ?」
「うん、食事らしい食事は。
栄養補助食品ばかり口にしてた。」
「ならサラダとハンバーグセットにする?
私もそこ調べてメニュー見てきた。」
「うん、それにしようかな。どうせ君はスイーツなんでしょ?」
「あそこのティラミスに決めた。
絶対美味しいと思う。」
会話の最中、どちらともなく手を繋いで目的地を目指す
繋がれた互いの手は確かな繋がりだった
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