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みの恭

ポッキーゲーム

サク、サクッ……

音が、聴覚をやけに刺激する。
体温の上昇とともに、口の中で甘ったるいそれが溶けてゆく。唇がベタつく。
気が狂いそうな程、血が巡る。
全身が熱い。
呼吸も浅く、酸素が足りない。

「ほら、きょーじも、たべなきゃ」
「んっ……」

みのりがそれの端を舌で軽く押し、恭二の方へ押し込んだ。


サクッ……


音が聞こえる度に距離が縮まる。
逃げないで、とでも言うようにさりげなく重ねられた手に力が入る。

「二人とも、なかよしなかよし〜!」

キラキラした眼差しで、ピエールが二人を見ている。

誰に聞いたのか「仲の良い人とすること」と少し間違って覚えてきてしまったそれを、先程ピエールはみのりと恭二それぞれと行うと「恭二とみのりも、なかよししよ?」と半強制的に恭二の口にそれを咥えさせたのだった。


距離は残り5cm足らず。
恭二は気が狂いそうでぎゅっと目を閉じた。頭がクラクラする。


サクッ……

サクサクッ……


「ごちそうさま」

みのりはちろりと舌を見せて呟く。
ほんの一瞬、触れただけなのに、そこはじんじんと熱を帯びていった。


「恭二、顔まっか!お熱出た?」
「……いや、なんでもない。大丈夫だ」

大丈夫なわけがないのは、恭二自身も分かっていた。
「ちょっと、水飲んでくる」
恭二は逃げるように控え室から飛び出した。
どうしてみのり相手に、こんな気持ちにならなきゃいけないのだろうか。
それだけが頭の中を駆け巡っていた。



「恭二、ペットボトルここにある。変なの」
お水がよかったのかなー?とピエールは無邪気にカエルのぬいぐるみ『カエール』に話しかけていた。

「みのり?」
「……え、うん?」
恭二が出て行ったドアをじっと見つめ、微動だにしなかったみのりを不思議に思い、ピエールが声をかけた。
「みのりもお熱?ぼーっとしてる。大丈夫?」
「うーん、熱はないけど、熱は上がっちゃったかなぁ」
「? みのり、時々難しいこと言う」
ピエールは少々不服そうな顔をしていた。
「ピエール」
ぎゅー、とみのりはピエールを後ろから抱きしめた。
「ぎゅー?……うわぁっ!!みのり、心臓すごくドキドキしてる!どうしたの?」
背中から伝わる速すぎる鼓動にピエールは驚いた。みのりは溜息を吐きながらピエールの肩口に顔を埋めた。
「うーん、どうしてだろうね。恭二のこと『大好き』だからかな」
「大好きだと、ドキドキ?」
「それは、俺が悪い大人だからかな」
早まる鼓動を落ち着かせるように、みのりはもう一度ピエールを抱きしめた。


「あんな顔されたら、期待しちゃうよね」


2014-11-12
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