序章

 時は伝説の彼方に眠る時代。

 人々の中で信仰は生きていて、託宣によって政治を取り決めていた。

 そのため巫女や神官はとても大切にされる。

 特に力ある巫女や神官は大切にされありとあらゆる贅沢が許される。

 だが、その代わり人としての幸せを得ることはない。

 聖なる力は俗世の汚れを知ると失われると言われていて、巫女の場合も神官の場合も、神殿に閉じ込められたまま生涯を閉じる。

 そうして力が失われると放逐されるのが現状だ。

 部落を護れる間は大事にされるが、力を失った途端に掌を返されるのだ。

 だが、それでも巫女や神官なくして政治は成り立たない。

 また巫女や神官の守護をなくした部落は滅びるのである。

 そんな思想がゆるゆると蔓延していく世代。

 大きな部落があり、そこもまた巫女の力によって統治されていた。

 これはそんな小さなどこにでもある神話のひとつ。

 今では語られない伝説の逸話である。
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