今日の私と明日の私と
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4月。
満開の桜は先月の3月末にあった卒業生の写真の中では満開を誇っていたが、それから凡そ2週間でだいぶ散ってしまい入学式の時には所々葉桜になっていた。
「ほら、そろそろだよ」
私の隣でトランペットを持つ沙織が話しかけてきた。私の手にある同じトランペットを今一度握りしめ、楽譜に目をやる。
「ごめん、ありがとう」
集中しなきゃだよね、わかってるよ。
去年、自分の入学式でも同じように吹奏楽部が演奏をしていた。今は私がそれを担っている。窓の外の桜を見ている場合ではなかった。新入生はこの体育館外にもう待機しているらしい。子が手を離れてくる反抗期の高校入学だから、保護者席は記憶にある中学校の入学式よりも少ない気がする。私は写真を撮りたがる父に促されて桜の前で撮った気がするから、来ていた方の親だった。
指揮をする先生が楽譜を整え、今にも指揮棒を振り上げるところだ。
トランペットに口を付け、先生の手元を凝視する。
ああ、こんな晴れやかな日に部活と入学式という大義名分で登校させられて、なんて可愛そうな私、という想いのまま音を発した。
満開の桜は先月の3月末にあった卒業生の写真の中では満開を誇っていたが、それから凡そ2週間でだいぶ散ってしまい入学式の時には所々葉桜になっていた。
「ほら、そろそろだよ」
私の隣でトランペットを持つ沙織が話しかけてきた。私の手にある同じトランペットを今一度握りしめ、楽譜に目をやる。
「ごめん、ありがとう」
集中しなきゃだよね、わかってるよ。
去年、自分の入学式でも同じように吹奏楽部が演奏をしていた。今は私がそれを担っている。窓の外の桜を見ている場合ではなかった。新入生はこの体育館外にもう待機しているらしい。子が手を離れてくる反抗期の高校入学だから、保護者席は記憶にある中学校の入学式よりも少ない気がする。私は写真を撮りたがる父に促されて桜の前で撮った気がするから、来ていた方の親だった。
指揮をする先生が楽譜を整え、今にも指揮棒を振り上げるところだ。
トランペットに口を付け、先生の手元を凝視する。
ああ、こんな晴れやかな日に部活と入学式という大義名分で登校させられて、なんて可愛そうな私、という想いのまま音を発した。
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