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「聖杯戦争の……話、だって?」
「うん。ケイネス先生がきみに聖遺物を持ち出された後、代わりのもので冬木に向かったことは知ってる。ただ、そのあとの消息が不明でね……学生の時は、先生には良くして貰ったから、ちょっと心配で。……正式なものではなかったけれど、師匠のように思っていたから」
[#dn=2#]はそう言って寂しげに笑って見せた。ウェイバーはここで初めて、あの人に弟子のような存在がいたことを知った。
「 [#dn=2#]、きみには申し訳ないけれど、先生のことはボクは知らないーーーただ、」
「ただ?」
「一度、英霊同士の戦いの時に声だけがして、ボクが先生の聖遺物を盗んだことを責められたよ。そうしたら、ボクのサーヴァントが、自分のマスターは、共に戦場を馳せる勇者でなくてはならない、って……」
自分にとっては忘れたくても忘れられない大切な記憶だから、この話を他人にしたのは初めてだった。けれど、彼女に話すのは不思議と抵抗はなかった。……彼女が先生の大事な教え子だったからだろうか?
[#dn=2#]はと言うと、それを聞いて暫く下を向いて、何か考えている。そして、口を開いてこう言った。
「……そうか。それは……強い人だね。良かったら、きみの英霊の話を聞かせてくれないかな。それを条件にしよう」
「そんな話でいいのか?」
「うん。きみにとっては大切な事のようだから」
そうして、ウェイバーは語り始めた。彼と彼の英霊の、短くて長くて、大切な話を。
※
「おーい、 [#dn=2#]、こっちこっち」
深夜11時、とあるバーにて。
メルヴィンはカウンター席のスツールに座って、約束した人物を待っていた。彼女とは事前にある計画を練っていたのだが、今日はその成果を聞くためにこのバーで落ち合うことにしたのだ。
「ごめん、遅くなっちゃった」
「別にいいじゃないか。何か飲む?」
隣に座った [#dn=2#]にカクテルリストを渡すと、彼女はなぜか目を輝かせた。
「……じゃあ、『アレキサンダー』」
「それ、すごく甘いやつじゃない?大丈夫?」
「そうだね、今日はすごく甘いのが飲みたい気分」
あまりにも彼女が蕩けるような笑顔で話すものだから、メルヴィンは計画の進行がうまくいったことを期待した。
「それで、どうだった?ウェイバーに金を貸す代わりに交際を持ちかける計画は」
そう水を向けると、 [#dn=2#]の幸福そうな表情はみるみるうちに曇ってゆく。
「あのさあ、メルヴィン……そもそも私の性格からして、この計画に無理があったと思うの」
「はは、ダメだったかー」
「笑わないでよ」
彼女は人前に出る時は当主然としているが、本当はとてもシャイな性格なのを、幼馴染であるメルヴィンはよく知っていた。もっとこんなに可愛いところを、ウェイバーにも見せればいいのに。
「だけど残念だなあ。もしきみとウェイバーが付き合ったら、色々からかって楽しめたのに」
そう言いながら [#dn=2#]の頭を撫でようとすると、無言で手をはたき落とされる。
やれやれ、相変わらず彼女は自分には手厳しい。勿論、幼馴染みだからとというだけでなく、そういう所にも好感を持っているからこそ、今も付き合いがあるのだけれど。
[#dn=2#]の両親が存命だった頃は、彼女はまるで人形のようだったことを思い出す。それがウェイバーの論文一つで、「逆に考えて、生き方も血筋に拘る事ないんじゃない?」と、あんなにも生き生きとし始めたのだ。
改めて、面白い二人だと心から思う。
願わくば、 [#dn=2#]の明るい未来に、ウェイバーと自分の姿がありますように、と、メルヴィンは祈りを込めた。
※
自宅に着き、諸々の寝支度を整えながら、ウェイバーは今日のことを思い返していた。
彼が話を終えると、彼女は美味しいものをお腹いっぱい食べたような、満足そうな笑みを浮かべてこう言ったのだった。
『話をしてくれてありがとう。きみがきみの戦いをして、無事に生きて帰ってきてくれて良かったよ。おかえり、ウェイバー』
その言葉が、どうしても頭から離れない。
そういえば、級友たちの中で面白半分で話を聞きたがった者たちはいたが、自分とライダーの話をしたのは彼女が初めてだったし、 [#dn=2#]のように耳を傾け、彼の英霊とのことを『大切なこと』として、帰還を喜んでくれたの人は初めてのことかもしれない。そう気付くと、体の奥深くから手や足の先まで熱が伝わってゆき、全身がゆっくり弛緩してゆく。
(眠くなってきた……)
明日になったら彼女に今日のお礼の手紙を送ろう。それから、次のクリスマスには……。
そこまで考えると、ウェイバーは深い眠りに落ちていった。
「うん。ケイネス先生がきみに聖遺物を持ち出された後、代わりのもので冬木に向かったことは知ってる。ただ、そのあとの消息が不明でね……学生の時は、先生には良くして貰ったから、ちょっと心配で。……正式なものではなかったけれど、師匠のように思っていたから」
[#dn=2#]はそう言って寂しげに笑って見せた。ウェイバーはここで初めて、あの人に弟子のような存在がいたことを知った。
「 [#dn=2#]、きみには申し訳ないけれど、先生のことはボクは知らないーーーただ、」
「ただ?」
「一度、英霊同士の戦いの時に声だけがして、ボクが先生の聖遺物を盗んだことを責められたよ。そうしたら、ボクのサーヴァントが、自分のマスターは、共に戦場を馳せる勇者でなくてはならない、って……」
自分にとっては忘れたくても忘れられない大切な記憶だから、この話を他人にしたのは初めてだった。けれど、彼女に話すのは不思議と抵抗はなかった。……彼女が先生の大事な教え子だったからだろうか?
[#dn=2#]はと言うと、それを聞いて暫く下を向いて、何か考えている。そして、口を開いてこう言った。
「……そうか。それは……強い人だね。良かったら、きみの英霊の話を聞かせてくれないかな。それを条件にしよう」
「そんな話でいいのか?」
「うん。きみにとっては大切な事のようだから」
そうして、ウェイバーは語り始めた。彼と彼の英霊の、短くて長くて、大切な話を。
※
「おーい、 [#dn=2#]、こっちこっち」
深夜11時、とあるバーにて。
メルヴィンはカウンター席のスツールに座って、約束した人物を待っていた。彼女とは事前にある計画を練っていたのだが、今日はその成果を聞くためにこのバーで落ち合うことにしたのだ。
「ごめん、遅くなっちゃった」
「別にいいじゃないか。何か飲む?」
隣に座った [#dn=2#]にカクテルリストを渡すと、彼女はなぜか目を輝かせた。
「……じゃあ、『アレキサンダー』」
「それ、すごく甘いやつじゃない?大丈夫?」
「そうだね、今日はすごく甘いのが飲みたい気分」
あまりにも彼女が蕩けるような笑顔で話すものだから、メルヴィンは計画の進行がうまくいったことを期待した。
「それで、どうだった?ウェイバーに金を貸す代わりに交際を持ちかける計画は」
そう水を向けると、 [#dn=2#]の幸福そうな表情はみるみるうちに曇ってゆく。
「あのさあ、メルヴィン……そもそも私の性格からして、この計画に無理があったと思うの」
「はは、ダメだったかー」
「笑わないでよ」
彼女は人前に出る時は当主然としているが、本当はとてもシャイな性格なのを、幼馴染であるメルヴィンはよく知っていた。もっとこんなに可愛いところを、ウェイバーにも見せればいいのに。
「だけど残念だなあ。もしきみとウェイバーが付き合ったら、色々からかって楽しめたのに」
そう言いながら [#dn=2#]の頭を撫でようとすると、無言で手をはたき落とされる。
やれやれ、相変わらず彼女は自分には手厳しい。勿論、幼馴染みだからとというだけでなく、そういう所にも好感を持っているからこそ、今も付き合いがあるのだけれど。
[#dn=2#]の両親が存命だった頃は、彼女はまるで人形のようだったことを思い出す。それがウェイバーの論文一つで、「逆に考えて、生き方も血筋に拘る事ないんじゃない?」と、あんなにも生き生きとし始めたのだ。
改めて、面白い二人だと心から思う。
願わくば、 [#dn=2#]の明るい未来に、ウェイバーと自分の姿がありますように、と、メルヴィンは祈りを込めた。
※
自宅に着き、諸々の寝支度を整えながら、ウェイバーは今日のことを思い返していた。
彼が話を終えると、彼女は美味しいものをお腹いっぱい食べたような、満足そうな笑みを浮かべてこう言ったのだった。
『話をしてくれてありがとう。きみがきみの戦いをして、無事に生きて帰ってきてくれて良かったよ。おかえり、ウェイバー』
その言葉が、どうしても頭から離れない。
そういえば、級友たちの中で面白半分で話を聞きたがった者たちはいたが、自分とライダーの話をしたのは彼女が初めてだったし、 [#dn=2#]のように耳を傾け、彼の英霊とのことを『大切なこと』として、帰還を喜んでくれたの人は初めてのことかもしれない。そう気付くと、体の奥深くから手や足の先まで熱が伝わってゆき、全身がゆっくり弛緩してゆく。
(眠くなってきた……)
明日になったら彼女に今日のお礼の手紙を送ろう。それから、次のクリスマスには……。
そこまで考えると、ウェイバーは深い眠りに落ちていった。
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