They and a nice meddle
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「やあ、レイジくんじゃないの」
なまえと共同捜査した帰り道、例に漏れず彼女を送って行こうと駐車場に向かう道すがら、背後から声をかけられて振り返ると、そこには見覚えのある人物が立っていた。
「信楽さん」
「こんなところで会うなんて奇遇だねえ。もしかして、事件の帰りかな?
――おや、こちらは?」
信楽さんは私の隣に立つナマエに目を向けると、人好きのする笑顔を浮かべた。
何やら嫌な予感がするが、彼女を紹介するのは私の立場である。
「苗字なまえ君です。国際警察の刑事ですが、今は日本で私と一緒の事件を担当しているんです。――なまえくん、こちらは弁護士の信楽盾之さんで、先日捜査をする際に信楽さんにお世話になったのだ」
「橘です、はじめまして」
彼女はにこにこと優しい笑みを浮かべて信楽さんに向き直った。
すると、信楽さんの目つきが鋭く光った――気がした。
「初めまして、信楽盾之と申します。綺麗なお嬢さん、君のことなまえちゃんて呼んでいいかな?これも何かの縁だ。友好の印にハグ……」
下手に出てはいるが、ハグを実行に移す気満々に、腕を広げて準備万端という様子で言いかけたが、一瞬こちらを見遣り、すぐ思い直したように片手を上げた。
「……いや、握手しても?」
なぜこちらを見る信楽さん。心なしか温かい眼差しで見られている気がする。
しかし、初対面の若い女性には漏れ無くハグを求めていた
信楽さんにしては珍しく、彼女に対しては握手なのは何故なのだろうか。
……やはり、こちらを面白そうに伺うのは止めて頂きたい。
「はい、よろしくお願いします」
相手の怪しげな挙動に気づく様子もなく、なまえは信楽さんの手を両手で包み込むように握りしめた。
和やかに笑みを交わし合う様子はとても初対面には見えない親密さである。
何か二人の間に入り難く感じ、思わず目を逸らした。
「そういえばさ、二人は仲が良さそうだけど、もしかして……」
「いえ、あの、彼女はそのようなアレでは……その、昔の幼馴染だったんです」
その先を遮るように口を開き、何故か取り繕うような口調になってしまったが、父親同士が親友であることや、子供の頃、家が近所で父の事件が起きるまでよく一緒に遊んでいた事を話す。
「ふうん、なるほどねえ……」
一応は彼女と私の関係を理解してもらえたようである。それに、苗字が父の親友の娘、と聞いてどこか感慨深げにしている。
先ほどまでの妙な焦りを忘れてほっとしたが、次の一言には思わず目を剥いた。
「レイジくんも隅に置けないねえ」
「なッ……いや、ですから彼女は、」
何も理解されていなかった。
それどころか、うりうりと脇腹を肘でつつかれる。
ただの友達が恋人同士に誤解されること以上に気まずい状況もそうない。
少なくとも一方が、密かに友達以上の感情を抱いている場合は尚更だ。
「ナマエちゃん、レイジくんは人一倍真摯な男だよ。だからさ、彼のことよろしく頼むよ。」
「よく知っています。それに私のほうこそ、いつも助けてもらってます。」
なまえは何の衒いもなくそう言うと、私の方を振り返って笑みを向けた。ついつられて笑いかけると、信楽さんの満足げな目とあった。
そして最後のとどめに、式には呼んでよね、と言い残すとさっさと身を翻した。
「じゃあ、おじさんは失礼するよ。後は若い人たちで!」
お見合いじゃないんですから、と突っ込む気力もなくがくりと脱力する。
反対の方向へ向かう信楽さんを見送った後、再び肩を並べて歩き始めた。
「式…って何のこと?」
小首をかしげ訝しげな様子だが、まさか恋人に間違えられたなんて言える訳がない。
気にしなくていい、と応えると彼女は考えるのをやめたようだ。
「ねえ、さっきの、信楽さんと捜査したっていう話、聞かせてよ」
隣を歩く私の顔を覗き込み、いつものように事件の話をねだるナマエの目は既に好奇心で輝いている。彼女の事件大好きな性質はここでも発揮されているらしい。
「長くなるが、聞きたいか?」
「うん、もちろん!」
そして信楽さんに加えてもう一人、義賊の少女も関係者だった、先月の事件を彼女に話し始めた。
(……次に信楽さんに会う時には、あの誤解に少しでも近づけているような関係を築けているだろうか。)
先月の事件の話をしながら、私は心の中で嘆息した。
※
その頃、事務所に戻った信楽は信の霊前に向かっていた。
「レイジくんのあんな切なそうな顔、初めて見ました。よっぽど苗字ちゃんに惚れてるんだなあ…」
などとしみじみと呟いていることを、二人は知る由もなかった。
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meddle:おせっかい。
nice middleと掛けたかったけど、信楽さんはそんな歳でもなかった……。
なまえと共同捜査した帰り道、例に漏れず彼女を送って行こうと駐車場に向かう道すがら、背後から声をかけられて振り返ると、そこには見覚えのある人物が立っていた。
「信楽さん」
「こんなところで会うなんて奇遇だねえ。もしかして、事件の帰りかな?
――おや、こちらは?」
信楽さんは私の隣に立つナマエに目を向けると、人好きのする笑顔を浮かべた。
何やら嫌な予感がするが、彼女を紹介するのは私の立場である。
「苗字なまえ君です。国際警察の刑事ですが、今は日本で私と一緒の事件を担当しているんです。――なまえくん、こちらは弁護士の信楽盾之さんで、先日捜査をする際に信楽さんにお世話になったのだ」
「橘です、はじめまして」
彼女はにこにこと優しい笑みを浮かべて信楽さんに向き直った。
すると、信楽さんの目つきが鋭く光った――気がした。
「初めまして、信楽盾之と申します。綺麗なお嬢さん、君のことなまえちゃんて呼んでいいかな?これも何かの縁だ。友好の印にハグ……」
下手に出てはいるが、ハグを実行に移す気満々に、腕を広げて準備万端という様子で言いかけたが、一瞬こちらを見遣り、すぐ思い直したように片手を上げた。
「……いや、握手しても?」
なぜこちらを見る信楽さん。心なしか温かい眼差しで見られている気がする。
しかし、初対面の若い女性には漏れ無くハグを求めていた
信楽さんにしては珍しく、彼女に対しては握手なのは何故なのだろうか。
……やはり、こちらを面白そうに伺うのは止めて頂きたい。
「はい、よろしくお願いします」
相手の怪しげな挙動に気づく様子もなく、なまえは信楽さんの手を両手で包み込むように握りしめた。
和やかに笑みを交わし合う様子はとても初対面には見えない親密さである。
何か二人の間に入り難く感じ、思わず目を逸らした。
「そういえばさ、二人は仲が良さそうだけど、もしかして……」
「いえ、あの、彼女はそのようなアレでは……その、昔の幼馴染だったんです」
その先を遮るように口を開き、何故か取り繕うような口調になってしまったが、父親同士が親友であることや、子供の頃、家が近所で父の事件が起きるまでよく一緒に遊んでいた事を話す。
「ふうん、なるほどねえ……」
一応は彼女と私の関係を理解してもらえたようである。それに、苗字が父の親友の娘、と聞いてどこか感慨深げにしている。
先ほどまでの妙な焦りを忘れてほっとしたが、次の一言には思わず目を剥いた。
「レイジくんも隅に置けないねえ」
「なッ……いや、ですから彼女は、」
何も理解されていなかった。
それどころか、うりうりと脇腹を肘でつつかれる。
ただの友達が恋人同士に誤解されること以上に気まずい状況もそうない。
少なくとも一方が、密かに友達以上の感情を抱いている場合は尚更だ。
「ナマエちゃん、レイジくんは人一倍真摯な男だよ。だからさ、彼のことよろしく頼むよ。」
「よく知っています。それに私のほうこそ、いつも助けてもらってます。」
なまえは何の衒いもなくそう言うと、私の方を振り返って笑みを向けた。ついつられて笑いかけると、信楽さんの満足げな目とあった。
そして最後のとどめに、式には呼んでよね、と言い残すとさっさと身を翻した。
「じゃあ、おじさんは失礼するよ。後は若い人たちで!」
お見合いじゃないんですから、と突っ込む気力もなくがくりと脱力する。
反対の方向へ向かう信楽さんを見送った後、再び肩を並べて歩き始めた。
「式…って何のこと?」
小首をかしげ訝しげな様子だが、まさか恋人に間違えられたなんて言える訳がない。
気にしなくていい、と応えると彼女は考えるのをやめたようだ。
「ねえ、さっきの、信楽さんと捜査したっていう話、聞かせてよ」
隣を歩く私の顔を覗き込み、いつものように事件の話をねだるナマエの目は既に好奇心で輝いている。彼女の事件大好きな性質はここでも発揮されているらしい。
「長くなるが、聞きたいか?」
「うん、もちろん!」
そして信楽さんに加えてもう一人、義賊の少女も関係者だった、先月の事件を彼女に話し始めた。
(……次に信楽さんに会う時には、あの誤解に少しでも近づけているような関係を築けているだろうか。)
先月の事件の話をしながら、私は心の中で嘆息した。
※
その頃、事務所に戻った信楽は信の霊前に向かっていた。
「レイジくんのあんな切なそうな顔、初めて見ました。よっぽど苗字ちゃんに惚れてるんだなあ…」
などとしみじみと呟いていることを、二人は知る由もなかった。
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meddle:おせっかい。
nice middleと掛けたかったけど、信楽さんはそんな歳でもなかった……。
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