好きしか知らない 𝚙𝚝.𝟹
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【𝙹𝚞𝚗𝚐𝚔𝚘𝚘𝚔】
いつもの焼き肉屋でいつものメンバー、プラス1名...はおれか。
無心でひたすら焼いた肉をジミニヒョンの皿に放り込みながらも視線は斜め前の席に座る男に一点集中で、当然、なんでおまえがここにいるんだと念を込める。鈍感な恋人は隣りで美味しそうに肉を頬張っていてまぁそれはそれで、可愛い。
セウォンたちと焼き肉に行くと言うジミニヒョンの「たち」に食いついて他に誰が来るのか問い詰めたら案の定の名前が上がって、おれも行きます!と有無を言わせず着いてきたんだけど顔を見るなりセウォンのやつにものすごいしかめっ面をされた。
「こいつ肉焼くの趣味だからいいのいいの、だいたい呼んでもないのに勝手に来たのこいつだからジウは気にしないでいっぱい食べな。」
ってひどくない?しょっちゅう人様の恋人を連れ出すとは何事だよ、ちょっとは遠慮しろ!それからシュガヒョンじゃあるまいし、肉を焼くのは趣味じゃない!腹いせに焦げた肉をセウォンの皿に積みあげる。
「僕と初めて会った時もこんな感じでさ、ぶーたれてたよな?ジョングガ。何しに来たのってくらいだんまりで黙々とお酒飲んで、」
「忘れた。」
「僕は忘れないぞ!お前にぶっ叩かれて手首ちぎれたかと思ったもん、ちょー痛かった今でも恨んでるぞ。」
確かにあの時はジミニヒョンを取られたくなくておれも必死だったな、今日ついてきたのだってこの筋肉マッチョ野郎に知らしめるため。おれとこの人は相思相愛なんだよ、悪いねボクちゃんってマウント取る気満々だったのに。
すんごい筋肉だねぇ両手でも回んないや、ってなに他の男の腕触りまくって惚れ惚れしてんの。あれほど注意したのに油断も隙もあったもんじゃない!やきもち妬かない約束しなくてよかった、嫉妬しないおれなんかおれじゃない。
引っ張った手に指を絡めて自分の膝の上に置いた。これじゃ食べられないじゃんと文句を言うジミニヒョンにおれが食べさせてあげるよと言ってやった、ジウの目から視線を外さずに。ジミニヒョンは微妙な顔をしたけど知ったことか。
「相変わらず仲いいんだか悪いんだか分からないよね、お二人さん。」
「ぼくたち仲はいいんだよ?ねえ、」
ジョングガ?と小首を傾げておれを見るその仕草がいちいち可愛くて緩んだ頬のまま斜め向かいの筋肉とまた目が合った。お似合いですね、と軽く会釈なんかされてちょっとばかり気を良くするおれ。
「実はお二人のこと...ちょっと噂になってた時期とかあって何となくそうなのかなぁって?僕ジミン先輩の大ファンじゃないですか?だから信じたくなかったけどでも、ジョングクさんに殴られたとき確信に変わりました。」
「噂って、」
噂になっていると聞かされてジミニヒョンの身体に力が入ったのが繋いだ手から伝わってくる。大丈夫だよ、と思いを込めて親指の腹で彼の手の甲を撫でた。
「噂っていうかジミン先輩に近づくとジョングクさんが怖いって、」
「それ僕が言ったんじゃーん!!あははっ!」
「あははじゃないっ!もうおまえには焦げた肉しか食わさないからなっ!」
ジミニヒョンは笑っていたけどおれは笑えなかった。緊張がほどけたように彼の手が離れていったあとその温もりはあっという間に消え去って、複雑な思いだけが残る。チラリ、おれを見たジミニヒョンに笑みを返して見せたけど。
一瞬ほっとしたあなたの気持ちが伝わってきたように、少し寂しさを感じてしまったおれの想いもあなたに伝わってるんだなとそのとき思った。急がなくていい、そう言ったのはおれなのに。ごめん。
「帰りは歩かない?」
そう言い出したのはジミニヒョン。
歩けない距離じゃないけどあなたそんな体力あるの?と言いかけたときには上着のポケットに突っ込まれた手がゴソゴソとおれの指を絡めとる。いくら暗い時間帯とはいえ一応周りに人がいないか確かめたりして。わりとおれ、動揺してる。
そんなおれをよそに繋いでない方の手までも上着の下から突っ込んできて寒い寒いと擦り寄ってくるジミニヒョン。なんだろこの、緊張感。
「さすがにまずいんじゃない?誰が見てるか、」
「いいよ、見られたって。」
「そ、なの?」
「...。」
急に真顔になったジミニヒョンがじっと見てくるものだから何となく目が逸らせなくてしばらく見つめ合ったままで歩く、宿舎までの道のり。
「ふはっ、ははははっ!おまえってほんと、分かりやすくて面白いよね。」
どうやらツボに入ったらしく全身で笑いを表現するジミニヒョンにぽかんとしてるうちにヒョンの笑い声につられて笑ってしまったが最後、意味も分からず涙が出るほど笑った。
「ああ、可笑しかった。」
この人の笑いのスイッチは浅すぎてよく分かんないけどおれの笑いのスイッチはこの人の笑顔なんだよな。コロコロとした高い笑い声と零れる白い歯、限界まで細められた目がいちばん、好きだ。
「ジョングガぼくのことが、心配?」
「そりゃあまぁ普通に心配だけど、」
「それはぼくが前に浮気したとか言ったから?」
「あーそっち?あのときはカッとなってぶったりしてごめん、冷静に考えるとあなたが浮気なんかする人じゃないってちゃんと分かってるから。そういう心配じゃないよ。」
「良かった、そういう面ではぼくも全然心配はないんだ。おまえ、ぼくのことめっちゃ好きだもんね!」
「あーはいはい。」
「ぼくもおまえのことめーーーーっちゃ!好きだけど。」
「...。」
最愛の恋人いわく、嬉しいときはニヤけ顔を隠せなくて鼻の下が伸びるんだってさ。照れてるときは言葉が出なくなって、やきもちするとほっぺたを膨らませて、怒ると目を合わせないって。
あと、ジミニヒョンが出かけてるときは宿舎中を歩き回って何十回も冷蔵庫を開ける癖まで、バレてた。...あの四次元め!
こんな風におれが反論できなくなると決まってこの人は頭をくしゃくしゃと撫で回してから満面の笑みでおれの頬をむぎゅうっと挟んで、こう言うんだ。
「可愛いやつめ!」
*
「ジョングギは感受性が豊かだから、な?」
どうどうどう...まーまーテヒョンア、と尊敬してやまないリーダーがテヒョンイヒョンの肩を無理やり押さえつけてソファーに座らせている。コンサートが終わって控室に戻ってきてからも涙が止まらないおれ。いわゆる、もらい泣き。...完全なる。
ライブ途中で泣き出したジミニヒョンをおれがいるから大丈夫だよと肩を抱いたまでは良かったけれど(なんとか堪えた)エンディングでまた涙するジミニヒョンを見て思わず感極まる。おれは元々、ジミニヒョンの涙に弱いんだ。
一緒になって泣いてどうすんだあほか!とリフトが下りたと同時におれはお尻を蹴り上げられたのに、自分の足の方が痛かったとまたキレられて。おれの愛する人はぎゅうぎゅうと他の男に恋人繋ぎをされて連れ去られて行った。こないだテヒョンイヒョンが泣いた時にからかったの根に持ってるんだな、くそう。
長期戦の海外ツアーが始まると時差だなんだで体内時計は狂いっぱなしで長くなるほどに疲れも溜まって体調を崩しがちで、全員が全員、騙し騙しなんとか頑張っている状況。そんな中しばらく前から喉の痛みを訴えていたジミニヒョンの声がとうとう出なくなった。
メンバーそれぞれが多かれ少なかれそういった経験があるだけに軽々しく大丈夫だよ!なんて言えなくて。今日は無理をしない方がいい、というホビヒョンの声がやけに大きく響くほどに控室は静かだった。遠回しに口パクで、と言われて大人しく頷く人ではないのを知っているからおれは、パーカーのフードで顔を隠してしまったジミニヒョンの隣りに腰をおろした。何も言えない...ただ、深くかぶったフードの上から頭にぽんぽんと手を置くのが精一杯。
「ジョングガ、」
「ん?」
「ぼくのパートおまえがカバーしてくれないかな。」
「ぇ、ぁぁ、も、もちろん...、」
ぎこちない返事になってしまうほどには驚いたし、こんなときに不謹慎なのは承知の上でそれでも、嬉しかった。おれを頼ってくれた...こんなこと初めてだって、ちょっぴり涙目のおれのおでこを短い指がちょんと突っつく。
おまえだけが頼りなんだ、と言われて泣きたいのを必死で我慢したから。ステージ上で小さな手で顔を覆って涙するジミニヒョンを見たとき苦しいほど胸が締めつけられて、ゆっくりと動く口唇を読んだとき想いが溢れてしまった。
ーありがとう愛してる
寝る時間を削ってまでもダンス練習をするジミニヒョンを待ってる間に床に寝そべって眠ってしまう。ちゃんとベッドで寝ろ!と何度怒られても練習室で寝るのをやめなかった幼い日の、おれ。
ジョングギみたく上手く歌えないや、リハの合間に冗談ぽく言ったジミニヒョンを励まそうとああだこうだとしどろもどろになりながらも自分なりにアドバイスをしてみたり、ソファーに寝そべるヒョンの周りを落ちつきなくウロウロして笑われたりもした。
あの人がつらいときいつでもそばにいてあげたかった、気の利いた言葉のひとつも言えないおれだけど、大切で愛しいあなたを包み温めて、守りたいと、どんな瞬間も思っている。あーダメだ...過去の想い出が走馬灯のように浮かんでは消えて涙が止まる気がしないや。
「こらーシュレック置いて帰るぞぉー!」
ったくいつまで泣いてんだよ!とわざわざ後頭部をはたいていった永遠のライバル。痛っ!と頭を抱えたところにふわりと香る大好きな人の匂いと柔らかな感触。そっと包み込んでくれる愛しさの塊に即座に腕を回した。
「早くぅー、帰ろうジョングガ。」
帰りたくない、と言ったらまた笑われるだろうか。ツアー中にふたりきりになれる時間なんて限られてるわけで。同じホテルに泊まっていてもさすがに同室とはいかないから、朝ご飯だけは必ず一緒に食べるようにしている。できるだけ空き時間は二人でいたいけれどそうできないことの方が多いんだ。
どこへ行っても人目は避けられないし、写真を撮られたかと思えば一瞬で全世界に拡散されて。正直ホテル内でさえ気が抜けないのが現状でストレス発散のためにもトレーニングは必要不可欠。
だからこうやってあなたに触れられたときは一分一秒でも長くこうしていたいと思うのは当然なわけ!それなのにこの人ときたら力説するおれの腕の中でケタケタ笑ってるかと思ったら、
「ぼくは一分一秒でも早く帰りたい!」
っておれはもう、完全に拗ねた。帰りの車中ではひと言も言葉を交わさず、それでもやっぱり気になってチラチラ隣りを見るおれと、全く気にする様子もなくずっとスマホを弄っているジミニヒョン。
おつかれー!おれの部屋の前を振り返りもせずに通りすぎるヒョンの背中をじっとりと恨みがましく見つめながら、今日は恋人から頼られて超ご機嫌だったのになジョングガ、ほろり、切ない溜め息が零れ落ちた。
ーーーーーーーーーーーーーーー
ぼくの部屋に来て、今すぐだよ
ーーーーーーーーーーーーーーー
メッセージが届いたのは部屋に一歩足を踏み入れた瞬間で、ドアが閉まりきる前におれはもう飛び出していた。どうした?何かあったのかもしれないと思うと心臓が激しく波打った。
「ジミナっっ!!!」
閉まっているドアノブをガチャガチャしながら焦る気持ちからバンバンバンと大きな音でドアを叩くと、すぐに開いたドアの隙間から思いつめたような表情のジミニヒョンが見えて慌てて身体を捻じ入れた。
「ジミナ?」
ガチッ、と音が鳴ってなにが起こっているのか、突然のことで頭が追いつかない。口唇を荒々しく押しつけられた...というか、ぶつけられたと言った方がいいかもしれない。歯が当たったところが切れてなきゃいいけど。
どこか現実味がないのはこんなに積極的なこの人を見たことがないから。口唇を噛まれ、ジョングガ...何度も名前を呼んで押しつけて。ちゅ、ちゅっ、とおれの口唇を吸って、舐めてを繰り返す。
全体重を預けてくる細い腰を抱き寄せたら、ぬるっ、あたたかい舌が入ってきた。濡れて生々しい、それでいて柔らかな感触。浅く深く口の中を這うように動く舌に自分のそれを思いきり絡めた。ドクッ、下半身に直結する痺れるような感覚。
はぁはぁ、と息があがっているジミニヒョンの顎に手を添えてさらに貪るように舌を絡めた。上に下にと逃げるそれを柔く噛んで、舐める。ぢゅるる、と吸って、吸いつくして、溢れる唾液を舐めとった。
「あふ、...ぐが、ぁっ、」
潤んだ瞳がまっすぐにおれを見つめて。濡れそぼった赤い口唇がまた、おれの名前を呼んで。ジミニヒョンの顔を見ているだけでゾクゾクとした快感のようなものが背中を駆け上がった。もうずいぶんこの身体を抱いてないし、忙しすぎて抜いている暇も余裕もなかった。
カチャカチャとベルトに手をかけるのはおれ、ではなくジミニヒョン。切羽詰まってるのはお互いさまだろうけど、ベルトを緩めてその前にしゃがんだジミニヒョンを見たときにちょっと待って!といよいよ焦ったおれは思わず股間を押さえたけれど。
「やだ待てない、」
ぺし!と邪魔な手を払いのけてジーンズの前をくつろげ、すでに膨張しまくってるソコを2本の指がなぞったあと、ベロっと出した長い舌でゆっくりと舐めあげた。たったそれだけで勃起したソコが下着の中でぶるんと震える。...やばい気持ちいい。
「待って、おれ、シャワー...、」
「いいの!これ舐めたい。」
いいわけない!ついさっきまでライブしてたでしょうが!尋常じゃないくらい汗かいたしその、匂いとか気になるじゃんか!そんな汚いもん舐めさせられるかって必死で抵抗したけれど。
ジョングギの匂いが好きって、汗の匂いまで感じたいんだって、早く欲しくて待てない、ねぇ舐めていいでしょう?なんて、上目遣いで言われ。我慢の限界を超えたおれはヒョンのTシャツを素早く脱がせてそのまま肩に担ぎ上げた。
いつもの焼き肉屋でいつものメンバー、プラス1名...はおれか。
無心でひたすら焼いた肉をジミニヒョンの皿に放り込みながらも視線は斜め前の席に座る男に一点集中で、当然、なんでおまえがここにいるんだと念を込める。鈍感な恋人は隣りで美味しそうに肉を頬張っていてまぁそれはそれで、可愛い。
セウォンたちと焼き肉に行くと言うジミニヒョンの「たち」に食いついて他に誰が来るのか問い詰めたら案の定の名前が上がって、おれも行きます!と有無を言わせず着いてきたんだけど顔を見るなりセウォンのやつにものすごいしかめっ面をされた。
「こいつ肉焼くの趣味だからいいのいいの、だいたい呼んでもないのに勝手に来たのこいつだからジウは気にしないでいっぱい食べな。」
ってひどくない?しょっちゅう人様の恋人を連れ出すとは何事だよ、ちょっとは遠慮しろ!それからシュガヒョンじゃあるまいし、肉を焼くのは趣味じゃない!腹いせに焦げた肉をセウォンの皿に積みあげる。
「僕と初めて会った時もこんな感じでさ、ぶーたれてたよな?ジョングガ。何しに来たのってくらいだんまりで黙々とお酒飲んで、」
「忘れた。」
「僕は忘れないぞ!お前にぶっ叩かれて手首ちぎれたかと思ったもん、ちょー痛かった今でも恨んでるぞ。」
確かにあの時はジミニヒョンを取られたくなくておれも必死だったな、今日ついてきたのだってこの筋肉マッチョ野郎に知らしめるため。おれとこの人は相思相愛なんだよ、悪いねボクちゃんってマウント取る気満々だったのに。
すんごい筋肉だねぇ両手でも回んないや、ってなに他の男の腕触りまくって惚れ惚れしてんの。あれほど注意したのに油断も隙もあったもんじゃない!やきもち妬かない約束しなくてよかった、嫉妬しないおれなんかおれじゃない。
引っ張った手に指を絡めて自分の膝の上に置いた。これじゃ食べられないじゃんと文句を言うジミニヒョンにおれが食べさせてあげるよと言ってやった、ジウの目から視線を外さずに。ジミニヒョンは微妙な顔をしたけど知ったことか。
「相変わらず仲いいんだか悪いんだか分からないよね、お二人さん。」
「ぼくたち仲はいいんだよ?ねえ、」
ジョングガ?と小首を傾げておれを見るその仕草がいちいち可愛くて緩んだ頬のまま斜め向かいの筋肉とまた目が合った。お似合いですね、と軽く会釈なんかされてちょっとばかり気を良くするおれ。
「実はお二人のこと...ちょっと噂になってた時期とかあって何となくそうなのかなぁって?僕ジミン先輩の大ファンじゃないですか?だから信じたくなかったけどでも、ジョングクさんに殴られたとき確信に変わりました。」
「噂って、」
噂になっていると聞かされてジミニヒョンの身体に力が入ったのが繋いだ手から伝わってくる。大丈夫だよ、と思いを込めて親指の腹で彼の手の甲を撫でた。
「噂っていうかジミン先輩に近づくとジョングクさんが怖いって、」
「それ僕が言ったんじゃーん!!あははっ!」
「あははじゃないっ!もうおまえには焦げた肉しか食わさないからなっ!」
ジミニヒョンは笑っていたけどおれは笑えなかった。緊張がほどけたように彼の手が離れていったあとその温もりはあっという間に消え去って、複雑な思いだけが残る。チラリ、おれを見たジミニヒョンに笑みを返して見せたけど。
一瞬ほっとしたあなたの気持ちが伝わってきたように、少し寂しさを感じてしまったおれの想いもあなたに伝わってるんだなとそのとき思った。急がなくていい、そう言ったのはおれなのに。ごめん。
「帰りは歩かない?」
そう言い出したのはジミニヒョン。
歩けない距離じゃないけどあなたそんな体力あるの?と言いかけたときには上着のポケットに突っ込まれた手がゴソゴソとおれの指を絡めとる。いくら暗い時間帯とはいえ一応周りに人がいないか確かめたりして。わりとおれ、動揺してる。
そんなおれをよそに繋いでない方の手までも上着の下から突っ込んできて寒い寒いと擦り寄ってくるジミニヒョン。なんだろこの、緊張感。
「さすがにまずいんじゃない?誰が見てるか、」
「いいよ、見られたって。」
「そ、なの?」
「...。」
急に真顔になったジミニヒョンがじっと見てくるものだから何となく目が逸らせなくてしばらく見つめ合ったままで歩く、宿舎までの道のり。
「ふはっ、ははははっ!おまえってほんと、分かりやすくて面白いよね。」
どうやらツボに入ったらしく全身で笑いを表現するジミニヒョンにぽかんとしてるうちにヒョンの笑い声につられて笑ってしまったが最後、意味も分からず涙が出るほど笑った。
「ああ、可笑しかった。」
この人の笑いのスイッチは浅すぎてよく分かんないけどおれの笑いのスイッチはこの人の笑顔なんだよな。コロコロとした高い笑い声と零れる白い歯、限界まで細められた目がいちばん、好きだ。
「ジョングガぼくのことが、心配?」
「そりゃあまぁ普通に心配だけど、」
「それはぼくが前に浮気したとか言ったから?」
「あーそっち?あのときはカッとなってぶったりしてごめん、冷静に考えるとあなたが浮気なんかする人じゃないってちゃんと分かってるから。そういう心配じゃないよ。」
「良かった、そういう面ではぼくも全然心配はないんだ。おまえ、ぼくのことめっちゃ好きだもんね!」
「あーはいはい。」
「ぼくもおまえのことめーーーーっちゃ!好きだけど。」
「...。」
最愛の恋人いわく、嬉しいときはニヤけ顔を隠せなくて鼻の下が伸びるんだってさ。照れてるときは言葉が出なくなって、やきもちするとほっぺたを膨らませて、怒ると目を合わせないって。
あと、ジミニヒョンが出かけてるときは宿舎中を歩き回って何十回も冷蔵庫を開ける癖まで、バレてた。...あの四次元め!
こんな風におれが反論できなくなると決まってこの人は頭をくしゃくしゃと撫で回してから満面の笑みでおれの頬をむぎゅうっと挟んで、こう言うんだ。
「可愛いやつめ!」
*
「ジョングギは感受性が豊かだから、な?」
どうどうどう...まーまーテヒョンア、と尊敬してやまないリーダーがテヒョンイヒョンの肩を無理やり押さえつけてソファーに座らせている。コンサートが終わって控室に戻ってきてからも涙が止まらないおれ。いわゆる、もらい泣き。...完全なる。
ライブ途中で泣き出したジミニヒョンをおれがいるから大丈夫だよと肩を抱いたまでは良かったけれど(なんとか堪えた)エンディングでまた涙するジミニヒョンを見て思わず感極まる。おれは元々、ジミニヒョンの涙に弱いんだ。
一緒になって泣いてどうすんだあほか!とリフトが下りたと同時におれはお尻を蹴り上げられたのに、自分の足の方が痛かったとまたキレられて。おれの愛する人はぎゅうぎゅうと他の男に恋人繋ぎをされて連れ去られて行った。こないだテヒョンイヒョンが泣いた時にからかったの根に持ってるんだな、くそう。
長期戦の海外ツアーが始まると時差だなんだで体内時計は狂いっぱなしで長くなるほどに疲れも溜まって体調を崩しがちで、全員が全員、騙し騙しなんとか頑張っている状況。そんな中しばらく前から喉の痛みを訴えていたジミニヒョンの声がとうとう出なくなった。
メンバーそれぞれが多かれ少なかれそういった経験があるだけに軽々しく大丈夫だよ!なんて言えなくて。今日は無理をしない方がいい、というホビヒョンの声がやけに大きく響くほどに控室は静かだった。遠回しに口パクで、と言われて大人しく頷く人ではないのを知っているからおれは、パーカーのフードで顔を隠してしまったジミニヒョンの隣りに腰をおろした。何も言えない...ただ、深くかぶったフードの上から頭にぽんぽんと手を置くのが精一杯。
「ジョングガ、」
「ん?」
「ぼくのパートおまえがカバーしてくれないかな。」
「ぇ、ぁぁ、も、もちろん...、」
ぎこちない返事になってしまうほどには驚いたし、こんなときに不謹慎なのは承知の上でそれでも、嬉しかった。おれを頼ってくれた...こんなこと初めてだって、ちょっぴり涙目のおれのおでこを短い指がちょんと突っつく。
おまえだけが頼りなんだ、と言われて泣きたいのを必死で我慢したから。ステージ上で小さな手で顔を覆って涙するジミニヒョンを見たとき苦しいほど胸が締めつけられて、ゆっくりと動く口唇を読んだとき想いが溢れてしまった。
ーありがとう愛してる
寝る時間を削ってまでもダンス練習をするジミニヒョンを待ってる間に床に寝そべって眠ってしまう。ちゃんとベッドで寝ろ!と何度怒られても練習室で寝るのをやめなかった幼い日の、おれ。
ジョングギみたく上手く歌えないや、リハの合間に冗談ぽく言ったジミニヒョンを励まそうとああだこうだとしどろもどろになりながらも自分なりにアドバイスをしてみたり、ソファーに寝そべるヒョンの周りを落ちつきなくウロウロして笑われたりもした。
あの人がつらいときいつでもそばにいてあげたかった、気の利いた言葉のひとつも言えないおれだけど、大切で愛しいあなたを包み温めて、守りたいと、どんな瞬間も思っている。あーダメだ...過去の想い出が走馬灯のように浮かんでは消えて涙が止まる気がしないや。
「こらーシュレック置いて帰るぞぉー!」
ったくいつまで泣いてんだよ!とわざわざ後頭部をはたいていった永遠のライバル。痛っ!と頭を抱えたところにふわりと香る大好きな人の匂いと柔らかな感触。そっと包み込んでくれる愛しさの塊に即座に腕を回した。
「早くぅー、帰ろうジョングガ。」
帰りたくない、と言ったらまた笑われるだろうか。ツアー中にふたりきりになれる時間なんて限られてるわけで。同じホテルに泊まっていてもさすがに同室とはいかないから、朝ご飯だけは必ず一緒に食べるようにしている。できるだけ空き時間は二人でいたいけれどそうできないことの方が多いんだ。
どこへ行っても人目は避けられないし、写真を撮られたかと思えば一瞬で全世界に拡散されて。正直ホテル内でさえ気が抜けないのが現状でストレス発散のためにもトレーニングは必要不可欠。
だからこうやってあなたに触れられたときは一分一秒でも長くこうしていたいと思うのは当然なわけ!それなのにこの人ときたら力説するおれの腕の中でケタケタ笑ってるかと思ったら、
「ぼくは一分一秒でも早く帰りたい!」
っておれはもう、完全に拗ねた。帰りの車中ではひと言も言葉を交わさず、それでもやっぱり気になってチラチラ隣りを見るおれと、全く気にする様子もなくずっとスマホを弄っているジミニヒョン。
おつかれー!おれの部屋の前を振り返りもせずに通りすぎるヒョンの背中をじっとりと恨みがましく見つめながら、今日は恋人から頼られて超ご機嫌だったのになジョングガ、ほろり、切ない溜め息が零れ落ちた。
ーーーーーーーーーーーーーーー
ぼくの部屋に来て、今すぐだよ
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メッセージが届いたのは部屋に一歩足を踏み入れた瞬間で、ドアが閉まりきる前におれはもう飛び出していた。どうした?何かあったのかもしれないと思うと心臓が激しく波打った。
「ジミナっっ!!!」
閉まっているドアノブをガチャガチャしながら焦る気持ちからバンバンバンと大きな音でドアを叩くと、すぐに開いたドアの隙間から思いつめたような表情のジミニヒョンが見えて慌てて身体を捻じ入れた。
「ジミナ?」
ガチッ、と音が鳴ってなにが起こっているのか、突然のことで頭が追いつかない。口唇を荒々しく押しつけられた...というか、ぶつけられたと言った方がいいかもしれない。歯が当たったところが切れてなきゃいいけど。
どこか現実味がないのはこんなに積極的なこの人を見たことがないから。口唇を噛まれ、ジョングガ...何度も名前を呼んで押しつけて。ちゅ、ちゅっ、とおれの口唇を吸って、舐めてを繰り返す。
全体重を預けてくる細い腰を抱き寄せたら、ぬるっ、あたたかい舌が入ってきた。濡れて生々しい、それでいて柔らかな感触。浅く深く口の中を這うように動く舌に自分のそれを思いきり絡めた。ドクッ、下半身に直結する痺れるような感覚。
はぁはぁ、と息があがっているジミニヒョンの顎に手を添えてさらに貪るように舌を絡めた。上に下にと逃げるそれを柔く噛んで、舐める。ぢゅるる、と吸って、吸いつくして、溢れる唾液を舐めとった。
「あふ、...ぐが、ぁっ、」
潤んだ瞳がまっすぐにおれを見つめて。濡れそぼった赤い口唇がまた、おれの名前を呼んで。ジミニヒョンの顔を見ているだけでゾクゾクとした快感のようなものが背中を駆け上がった。もうずいぶんこの身体を抱いてないし、忙しすぎて抜いている暇も余裕もなかった。
カチャカチャとベルトに手をかけるのはおれ、ではなくジミニヒョン。切羽詰まってるのはお互いさまだろうけど、ベルトを緩めてその前にしゃがんだジミニヒョンを見たときにちょっと待って!といよいよ焦ったおれは思わず股間を押さえたけれど。
「やだ待てない、」
ぺし!と邪魔な手を払いのけてジーンズの前をくつろげ、すでに膨張しまくってるソコを2本の指がなぞったあと、ベロっと出した長い舌でゆっくりと舐めあげた。たったそれだけで勃起したソコが下着の中でぶるんと震える。...やばい気持ちいい。
「待って、おれ、シャワー...、」
「いいの!これ舐めたい。」
いいわけない!ついさっきまでライブしてたでしょうが!尋常じゃないくらい汗かいたしその、匂いとか気になるじゃんか!そんな汚いもん舐めさせられるかって必死で抵抗したけれど。
ジョングギの匂いが好きって、汗の匂いまで感じたいんだって、早く欲しくて待てない、ねぇ舐めていいでしょう?なんて、上目遣いで言われ。我慢の限界を超えたおれはヒョンのTシャツを素早く脱がせてそのまま肩に担ぎ上げた。
