好きしか知らない 𝚙𝚝.𝟸
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【𝙹𝚒𝚖𝚒𝚗】
懐かしくも感じるジョングクの匂いと温もりに包まれて、ひどく安心しているぼくがいた。
きちんと自分の気持ちを整理して、セウォンのことも含め男らしくケジメをつけてから。ジョングクとのことはそれからにしよう、今さら焦ることもない、と考えていたのに。
ジョングクのやつがしつこいから仕方なく付き合うことにしたんだ、セウォンには事後報告になってしまった。絶対に会っちゃダメ!と言われているから、電話で。自分の従順さがありえないと思ったけれど、電話の向こう側でセウォンが笑ってくれたから救われた。
「ジミニヒョン、僕はこれからもずっとあなたのファンです。」
それはいつかと同じセリフ。セウォンはいつもぼくが欲しい言葉をくれる。これほどまでに優しい男の子だから。彼もいつか心から大切に思える相手に出会えるといいな、一生に一度の恋ならなおさら。...ぼくとジョングクみたいに。
「はぁ...カッコいいよなぁ、あいつは。」
個人撮影中のジョングクがフラッシュを浴びながら次々とポーズを決める。スタジオ入りしたぼくを見つけてウィンクをする恋人に、こらっ!と拳を振り上げた。
近頃では誰もジョングクに末っ子特有の可愛さを求めなくなっている。まぁ、この体格ってのもあるし、ずいぶん大人っぽくなったもんな。それにめちゃくちゃビジュアルが、いい。
「なに、デレ期なの?」
ここにもいた、世界一のイケメン男。メイクを施した完璧な顔面と反して、気怠そうにぼくの肩に腕を回して寄りかかる。
「べ、べつにっ、デレてなんかないしっ、カッコいいのは事実じゃんか。」
「ん確かに、最近のジョングギはイケてんだよなぁ...、あれで何人の女の子泣かしたのかねぇ。」
「女の子泣かせるってなんだよ、なぁにふざけたこと言ってんだか。」
「あいつ告白されまくってんの知らないのか?余裕ぶっこいてんなぁ、お前。」
ふーん。
「いひっ、さすがのパクジミンもやきもちか?お?お?お?」
こういうときのテヒョンって、ほんと楽しそうだよな。残念だけど、ぼくはそんなことでやきもちなんか妬いたりしないよ。ジョングクがモテるのは今に始まったことじゃないし。
元来のルックスの良さに加えて、最近は雰囲気が少し柔らかくなってきた。そのせいか「オッパ」なんて女の子に呼び止められるのを何度か見かけたこともある。
「ジョングギには白くて柔らかくてふわふわした女の子が似合うと思う。」
「ふがっ、」
思わず出てしまった本音にテヒョンが鼻を鳴らす。至近距離からぶっ刺さる視線を無視していたら突然、衣装の袖を捲られた。ちょっ、なに?
「お前もじゅーぶん白いけど?」
自分も衣装を捲ってぼくの腕と比べて見せる。そりゃあね、おまえに比べたら白い、かな。
「それに柔らかいし、もちもちしてるぞ?」
ほっぺたをむにーっと伸ばして遊ばれてるけど、そういうことじゃない。それに、「もちもち」じゃなくて「ふわふわ」って言ったんだよ、ぼくは。
「ジミナ、お前...女の子になりたいわけ?」
「いや、なんでそうなるかな。おまえの頭ん中覗いてみたいわ。」
「やべっ...、」
急にウロウロと視線を泳がせ始めたテヒョンはシュガヒョンを見つけて、足早に遠ざかっていく。おい、待て、まだ話の途中じゃんか。
逃げるように何度も振り返るテヒョンの視線の先には、ずんずんとこちらに向かってくるチョンジョングク。遠くのほうで映画ジョーズのテーマ曲が流れている。
「あいつに何されたの。」
「あいつじゃなくて、ヒョン!」
「今度おれのジミニヒョンに触ったら一生、「おまえ」って呼んでやるから。」
「ったくぅ...、」
そのやきもちどうにかならないの、と何万回も飲み込んだ言葉を今度もまたぐっと我慢。よくもまぁ、ぼくなんかのために四六時中やきもち妬けるよなぁ、と呆れるけれど。本人は至って真面目だから、しょうがない。
「今日いっしょに帰れないんだけど、大丈夫?」
「なんで?」
なんで、と聞いたのは単純にどこかに出かけるのかな?珍しいな、と思っただけで。ジョングクが一緒じゃなきゃ嫌だ、帰りたくない、というわけではなかったんだけど。
事務所に用事がある、と聞いて少しほっとしたのはテヒョンが余計なことを吹き込んだからだ、きっとそうだ。
*
そういえば...と、お風呂あがりにジョングクの部屋を覗いたら真っ暗で、ぼくはリビングに向かう。でもやっぱりジョングクはいなくて時計の針を確認した。もうすぐ10時を回る。
「ジョングク遅いね。」
誰に言うでもなく出てしまった心の声はボリュームが大きかったようで、キッチンのジンヒョンがぼくを振り返って言った。
「あの子のことだから練習に熱が入ると時間を忘れちゃうんじゃない?」
「練習?用事があるって、練習だったの?言ってくれたら、」
「ぼくも行くのに?お前がそう言うと分かってて黙ってたと思うな、ジミニはちょっと頑張りすぎちゃうからね。」
「でもっ、」
「気になるのかぁ...うーん、じゃあさ、ヒョンがお弁当作ってやるからそれ持ってジョングギを迎えに行っておいで。」
「やった!ぼくも手伝う!」
ジョングクお腹をすかせてるだろうな、ちょうどそんなことを心配していたところだったから、ジンヒョンの提案がぼくにはすごく嬉しかった。
ぼくが割った卵をヒョンが綺麗な卵焼きにしてくれて、お肉はジョングクが好きな甘辛い味付けで。ウインナーがタコの形をしているのは子供扱いしすぎじゃないの、と思うけど。おにぎりを詰めたら立派なお弁当の完成だ。
「出来た♪」
「すんごーく、ジョングギが喜ぶね♪...あれ?なんかこのお弁当...?」
「ふふふ、ヒョンの可愛いジミニにも、末っ子が届けてくれたことあったでしょ?思い出した?」
*
ぼくは走る。大事なお弁当の中身がひっくり返らないよう慎重に、なおかつ全速力で。
走って来たのがバレないように練習室の前で息を整えて、お弁当を抱えなおすと静かにドアを開けた。てっきりダンスの練習をしているとばかり思ってたのに。
聞こえてきたのはジョングクの美しく澄んだ、歌声。
懐かしくも感じるジョングクの匂いと温もりに包まれて、ひどく安心しているぼくがいた。
きちんと自分の気持ちを整理して、セウォンのことも含め男らしくケジメをつけてから。ジョングクとのことはそれからにしよう、今さら焦ることもない、と考えていたのに。
ジョングクのやつがしつこいから仕方なく付き合うことにしたんだ、セウォンには事後報告になってしまった。絶対に会っちゃダメ!と言われているから、電話で。自分の従順さがありえないと思ったけれど、電話の向こう側でセウォンが笑ってくれたから救われた。
「ジミニヒョン、僕はこれからもずっとあなたのファンです。」
それはいつかと同じセリフ。セウォンはいつもぼくが欲しい言葉をくれる。これほどまでに優しい男の子だから。彼もいつか心から大切に思える相手に出会えるといいな、一生に一度の恋ならなおさら。...ぼくとジョングクみたいに。
「はぁ...カッコいいよなぁ、あいつは。」
個人撮影中のジョングクがフラッシュを浴びながら次々とポーズを決める。スタジオ入りしたぼくを見つけてウィンクをする恋人に、こらっ!と拳を振り上げた。
近頃では誰もジョングクに末っ子特有の可愛さを求めなくなっている。まぁ、この体格ってのもあるし、ずいぶん大人っぽくなったもんな。それにめちゃくちゃビジュアルが、いい。
「なに、デレ期なの?」
ここにもいた、世界一のイケメン男。メイクを施した完璧な顔面と反して、気怠そうにぼくの肩に腕を回して寄りかかる。
「べ、べつにっ、デレてなんかないしっ、カッコいいのは事実じゃんか。」
「ん確かに、最近のジョングギはイケてんだよなぁ...、あれで何人の女の子泣かしたのかねぇ。」
「女の子泣かせるってなんだよ、なぁにふざけたこと言ってんだか。」
「あいつ告白されまくってんの知らないのか?余裕ぶっこいてんなぁ、お前。」
ふーん。
「いひっ、さすがのパクジミンもやきもちか?お?お?お?」
こういうときのテヒョンって、ほんと楽しそうだよな。残念だけど、ぼくはそんなことでやきもちなんか妬いたりしないよ。ジョングクがモテるのは今に始まったことじゃないし。
元来のルックスの良さに加えて、最近は雰囲気が少し柔らかくなってきた。そのせいか「オッパ」なんて女の子に呼び止められるのを何度か見かけたこともある。
「ジョングギには白くて柔らかくてふわふわした女の子が似合うと思う。」
「ふがっ、」
思わず出てしまった本音にテヒョンが鼻を鳴らす。至近距離からぶっ刺さる視線を無視していたら突然、衣装の袖を捲られた。ちょっ、なに?
「お前もじゅーぶん白いけど?」
自分も衣装を捲ってぼくの腕と比べて見せる。そりゃあね、おまえに比べたら白い、かな。
「それに柔らかいし、もちもちしてるぞ?」
ほっぺたをむにーっと伸ばして遊ばれてるけど、そういうことじゃない。それに、「もちもち」じゃなくて「ふわふわ」って言ったんだよ、ぼくは。
「ジミナ、お前...女の子になりたいわけ?」
「いや、なんでそうなるかな。おまえの頭ん中覗いてみたいわ。」
「やべっ...、」
急にウロウロと視線を泳がせ始めたテヒョンはシュガヒョンを見つけて、足早に遠ざかっていく。おい、待て、まだ話の途中じゃんか。
逃げるように何度も振り返るテヒョンの視線の先には、ずんずんとこちらに向かってくるチョンジョングク。遠くのほうで映画ジョーズのテーマ曲が流れている。
「あいつに何されたの。」
「あいつじゃなくて、ヒョン!」
「今度おれのジミニヒョンに触ったら一生、「おまえ」って呼んでやるから。」
「ったくぅ...、」
そのやきもちどうにかならないの、と何万回も飲み込んだ言葉を今度もまたぐっと我慢。よくもまぁ、ぼくなんかのために四六時中やきもち妬けるよなぁ、と呆れるけれど。本人は至って真面目だから、しょうがない。
「今日いっしょに帰れないんだけど、大丈夫?」
「なんで?」
なんで、と聞いたのは単純にどこかに出かけるのかな?珍しいな、と思っただけで。ジョングクが一緒じゃなきゃ嫌だ、帰りたくない、というわけではなかったんだけど。
事務所に用事がある、と聞いて少しほっとしたのはテヒョンが余計なことを吹き込んだからだ、きっとそうだ。
*
そういえば...と、お風呂あがりにジョングクの部屋を覗いたら真っ暗で、ぼくはリビングに向かう。でもやっぱりジョングクはいなくて時計の針を確認した。もうすぐ10時を回る。
「ジョングク遅いね。」
誰に言うでもなく出てしまった心の声はボリュームが大きかったようで、キッチンのジンヒョンがぼくを振り返って言った。
「あの子のことだから練習に熱が入ると時間を忘れちゃうんじゃない?」
「練習?用事があるって、練習だったの?言ってくれたら、」
「ぼくも行くのに?お前がそう言うと分かってて黙ってたと思うな、ジミニはちょっと頑張りすぎちゃうからね。」
「でもっ、」
「気になるのかぁ...うーん、じゃあさ、ヒョンがお弁当作ってやるからそれ持ってジョングギを迎えに行っておいで。」
「やった!ぼくも手伝う!」
ジョングクお腹をすかせてるだろうな、ちょうどそんなことを心配していたところだったから、ジンヒョンの提案がぼくにはすごく嬉しかった。
ぼくが割った卵をヒョンが綺麗な卵焼きにしてくれて、お肉はジョングクが好きな甘辛い味付けで。ウインナーがタコの形をしているのは子供扱いしすぎじゃないの、と思うけど。おにぎりを詰めたら立派なお弁当の完成だ。
「出来た♪」
「すんごーく、ジョングギが喜ぶね♪...あれ?なんかこのお弁当...?」
「ふふふ、ヒョンの可愛いジミニにも、末っ子が届けてくれたことあったでしょ?思い出した?」
*
ぼくは走る。大事なお弁当の中身がひっくり返らないよう慎重に、なおかつ全速力で。
走って来たのがバレないように練習室の前で息を整えて、お弁当を抱えなおすと静かにドアを開けた。てっきりダンスの練習をしているとばかり思ってたのに。
聞こえてきたのはジョングクの美しく澄んだ、歌声。
