好きしか知らない 𝚙𝚝.𝟸
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【𝙹𝚞𝚗𝚐𝚔𝚘𝚘𝚔】
ジミニヒョンが言った言葉の意味を理解して、胸の奥から熱いものが込みあげて溢れ出てしまった。ずっと、ずっと我慢していたから、一度溢れてしまうともう止められなくて。
あなたを見る度に泣きたかった、大声で泣いてしまいたかったのに、泣けなかったんだ。一方通行だと思い込んでいたおれの想いはちゃんとジミニヒョンに届いていた。それなのに、おれは。
誤解して、拗ねて、やきもちを妬いて、やけくそにすべてを放り投げたんだ。おれ、正真正銘のバカだから。ぐすっ、と鼻を鳴らしたらティッシュのボックスでお腹を叩かれて、なんだかバツが悪くてヒョンの顔も見ずに受け取った。こんな時でも優しいんだ、この人は。
「まだ泣くなら自分の部屋で泣いてくれる?それやるから。」
は?おれ今あなたのこと優しい人だって褒めてたんだけど、心の中で。あまりにも思いやりのない言葉に驚いて顔を上げたら、意外にも優しい表情のジミニヒョンがいた。
今のは聞かなかったことにしよう、言ってることがこの人の可愛い顔に似合わなすぎる。
「おれ、今でもずっとあなたが好きです。忘れたかったけど、忘れようとしたけど...だめで、」
「おまえが別れたいって言ったくせになに言ってんの。」
「別れたかったんじゃなくておれ、ジミニヒョンがいつか結婚して幸せになるのを見届けなきゃいけないんだって...そうなったらおれ耐えられるかなって怖くなった。」
「...。」
「自分から逃げ出したくせにバカだよね、おれ諦め悪くて。あなたを一途に想い続けて死んでいくのも悪くないなって思い始めてたんだけど...、さっきの聞いたら無理だよ。もう一度おれと、付き合って。」
今度こそ何があっても離さないから、と小さな手を取って両手で包み込んだ。離れてみて初めて気づいた、自分で思っていたより何倍も何十倍もあなたを大切に思っていること。
ジョングガ、あなたが名前を呼んでくれないだけで。ジョングク、あなたが笑いかけてくれないだけで。おれの目に映る世界から色が消えてモノクロの世界ではもう、息をするのも面倒に思えた。
「戻ってきてジミニヒョン、お願い。」
「...遅いよ...もう、遅い。」
予想外の返事に目と目を合わせたまま今の会話をもう一度整理する。遅い、この人が2回も繰り返した言葉を、おれは5回、心で反復してみたけれど他に理由なんか考えられなくて。
途端に心臓がバクバクと音を立てはじめる。もうおれのことなんて、好きじゃない?他に好きなが出来た?...もしかして、
「付き合ってるやつ、いる、の?」
「つ、付き合っては、ない...けど、そういう方向で考えてる人は、...いる。」
「それって...年下のあいつ?」
「そう、だ、けど.....ていうかわざわざ年下って言うな、おまえだって年下のくせに。」
「ダメ!絶対に行かせない。男だよ?分かってる?なんで同じ男にあなたを奪われなきゃいけないの。」
「は?なにそれ、偏見?男とか女とか関係ないってちゃんと向き合えって、おまえが言ったんじゃないか!」
「それはおれとあなたの問題であって...他のやつに当てはめないでよ!とにかくっ!ダメなもんはダメだからっ!分かった?」
「なんでそんな偉そうなわけ?おまえってほんと、わがままでじこちゅーで、さいっってー。」
ぜえーったい付き合うとかないから、ってシッシと手で追い払われた。え、え、え、振り出しに戻るどころか、これじゃあ後退しちゃってるじゃないか。
もう泣かないなら返して、とティッシュを引ったくられて部屋を追い出されてしまった。...れたちって、なんでいっつもこうなっちゃうんだろう。
*
その日を境にパクジミンの監視体制を強化すべく、アンテナを張り巡らせてこっそりとジミニヒョンの行動を見張った。いや、見守った。
仕事が終われば真っ直ぐに帰宅するし、宿舎に戻ってしまえば出かけることはまずない。とくに会話もないけれど、目に見えて避けられている様子もないし。
つまるところジミニヒョンはおれに甘いから、やつのことは断ってくれたのかもって都合よく考えていた。って、そういうおれも断られたうちの一人なんだけど。
そのときテーブルに置かれたスマホが振動で着信を知らせる。ジミニヒョンが画面を確認したあと、チラリと一瞬おれを見たから電話の相手がどこのどいつなのかはピンときた。
スマホを握りしめてリビングを出ていくジミニヒョンを追いかけるべきか、信じて待つべきか、悩む。ひとり悶々としていたけれど、このおれが大人しく待てるわけもなく。
ジミニヒョンの部屋に向かうためにリビングを出たのと、ヒョンが部屋から出てきたのがピッタリ同じタイミングで。目深に被ったキャップが今からお出かけしてきます!と主張してくる。
「ちょヒョン、1分だけ待って。」
どこへ行くつもり?と聞かないかわりにそう言い残して自室へと走った。リュックと帽子を引っ掴んでジミニヒョンの元へとカムバック。
自分よりも先に忙しそうに靴を履くおれを呆れた目で見ているジミニヒョン。それでも、来るなとは言われなかったので、おれは堂々とヒョンのあとを着いて行った。
「余計なのが一緒なんだけど、いい?ほんっと、ごめんね?」
全然いいですよ、といかにもアイドルらしいキラキラの笑顔でもってジミニヒョンを自分の真隣りの席に誘導する年下イケメンラッパー野郎。
おれ今日コンタクトつけてないのに、こいつがイケメンだってことはこの暗がりでも鮮明に見えている。くそう完敗だ悔しいけど。世界一の顔面を持ち合わせているあの人を連れてくるべきだった。
目の前の二人は仲良さげに肩を並べてメニューを覗きこんでいて。なに、このカップル感。どうせ、どうせおれはお邪魔虫ですよ。
「おまえ、なに飲む?」
「お構いなく、よけいなジョングギは適当にやるんで。」
「あっそ。」
なに拗ねてんだって怒られると思っていたのに、ぷいっと顔を背けられてもう完全に立場も居場所も失った、おれ。
こんなに笑ってるジミニヒョンを見るのは本当に久しぶりだし。どんだけ楽しいんだよ、と喉まで出かかった言葉を飲み込んで。好きな人が他の男とイチャイチャしているのを見せつけられているだけの、ただひたすら我慢の時間が続く。
「ヒョン、トイレに行くけど?」
「どうぞ?」
「おまえは?行かない?」
「行かない、早く行けば。」
「...。」
なに、その顔。心配しなくてもこんな公共の場で胸ぐら掴みにいくわけないでしょ、おれだって大人なんだから。
「ジミニヒョン、今日はテンション高めだね。やっぱジョングクがいるから?」
「は?さっそくイヤミですかっと。」
「チョンジョングクのどこが良かったのかなぁ?顔はいいけど、包容力はなさそうだよね?力は強そうだから、守ってくれそうなとことか?でも見るからに年下っぽいし、頼りがいはなさそうだよね?」
「は?は?は?ケンカ売ってんの。表出ろ、」
「まさか!始めから勝てない相手に喧嘩を売るほど馬鹿じゃないよ。」
仲良くしようよ、と握手を求められた手を叩き落としてやったところにジミニヒョンが戻ってきて、頭を思いきりぶっ叩かれた。いや、タイミング。
おれ何しに来たんだっけ?この人はおれのだって、おまえには渡さないって、悪いけど諦めてくれって態度で示すつもりだったけど。諦めなきゃいけないのは、おれの方とか。
やけになって飲んだくれたけどちっとも酔えないし、鈴の音のようなジミニヒョンの笑い声がおれの心を揺さぶった。もう一度おれを見て、おれを好きになってと心が叫んでいる、大声で。
そのあとのことはよく覚えていなくて、ハッキリと覚えているのは最後に見たあいつのしかめっ面。
今日は楽しかったねまたおいでよ、となぜか上から口調のあいつがタクシーに乗り込む間際、ニコやかに差し出されたごつごつの手をおれは、持てる限りの力で叩き落としてやったから。
ジミニヒョンが言った言葉の意味を理解して、胸の奥から熱いものが込みあげて溢れ出てしまった。ずっと、ずっと我慢していたから、一度溢れてしまうともう止められなくて。
あなたを見る度に泣きたかった、大声で泣いてしまいたかったのに、泣けなかったんだ。一方通行だと思い込んでいたおれの想いはちゃんとジミニヒョンに届いていた。それなのに、おれは。
誤解して、拗ねて、やきもちを妬いて、やけくそにすべてを放り投げたんだ。おれ、正真正銘のバカだから。ぐすっ、と鼻を鳴らしたらティッシュのボックスでお腹を叩かれて、なんだかバツが悪くてヒョンの顔も見ずに受け取った。こんな時でも優しいんだ、この人は。
「まだ泣くなら自分の部屋で泣いてくれる?それやるから。」
は?おれ今あなたのこと優しい人だって褒めてたんだけど、心の中で。あまりにも思いやりのない言葉に驚いて顔を上げたら、意外にも優しい表情のジミニヒョンがいた。
今のは聞かなかったことにしよう、言ってることがこの人の可愛い顔に似合わなすぎる。
「おれ、今でもずっとあなたが好きです。忘れたかったけど、忘れようとしたけど...だめで、」
「おまえが別れたいって言ったくせになに言ってんの。」
「別れたかったんじゃなくておれ、ジミニヒョンがいつか結婚して幸せになるのを見届けなきゃいけないんだって...そうなったらおれ耐えられるかなって怖くなった。」
「...。」
「自分から逃げ出したくせにバカだよね、おれ諦め悪くて。あなたを一途に想い続けて死んでいくのも悪くないなって思い始めてたんだけど...、さっきの聞いたら無理だよ。もう一度おれと、付き合って。」
今度こそ何があっても離さないから、と小さな手を取って両手で包み込んだ。離れてみて初めて気づいた、自分で思っていたより何倍も何十倍もあなたを大切に思っていること。
ジョングガ、あなたが名前を呼んでくれないだけで。ジョングク、あなたが笑いかけてくれないだけで。おれの目に映る世界から色が消えてモノクロの世界ではもう、息をするのも面倒に思えた。
「戻ってきてジミニヒョン、お願い。」
「...遅いよ...もう、遅い。」
予想外の返事に目と目を合わせたまま今の会話をもう一度整理する。遅い、この人が2回も繰り返した言葉を、おれは5回、心で反復してみたけれど他に理由なんか考えられなくて。
途端に心臓がバクバクと音を立てはじめる。もうおれのことなんて、好きじゃない?他に好きなが出来た?...もしかして、
「付き合ってるやつ、いる、の?」
「つ、付き合っては、ない...けど、そういう方向で考えてる人は、...いる。」
「それって...年下のあいつ?」
「そう、だ、けど.....ていうかわざわざ年下って言うな、おまえだって年下のくせに。」
「ダメ!絶対に行かせない。男だよ?分かってる?なんで同じ男にあなたを奪われなきゃいけないの。」
「は?なにそれ、偏見?男とか女とか関係ないってちゃんと向き合えって、おまえが言ったんじゃないか!」
「それはおれとあなたの問題であって...他のやつに当てはめないでよ!とにかくっ!ダメなもんはダメだからっ!分かった?」
「なんでそんな偉そうなわけ?おまえってほんと、わがままでじこちゅーで、さいっってー。」
ぜえーったい付き合うとかないから、ってシッシと手で追い払われた。え、え、え、振り出しに戻るどころか、これじゃあ後退しちゃってるじゃないか。
もう泣かないなら返して、とティッシュを引ったくられて部屋を追い出されてしまった。...れたちって、なんでいっつもこうなっちゃうんだろう。
*
その日を境にパクジミンの監視体制を強化すべく、アンテナを張り巡らせてこっそりとジミニヒョンの行動を見張った。いや、見守った。
仕事が終われば真っ直ぐに帰宅するし、宿舎に戻ってしまえば出かけることはまずない。とくに会話もないけれど、目に見えて避けられている様子もないし。
つまるところジミニヒョンはおれに甘いから、やつのことは断ってくれたのかもって都合よく考えていた。って、そういうおれも断られたうちの一人なんだけど。
そのときテーブルに置かれたスマホが振動で着信を知らせる。ジミニヒョンが画面を確認したあと、チラリと一瞬おれを見たから電話の相手がどこのどいつなのかはピンときた。
スマホを握りしめてリビングを出ていくジミニヒョンを追いかけるべきか、信じて待つべきか、悩む。ひとり悶々としていたけれど、このおれが大人しく待てるわけもなく。
ジミニヒョンの部屋に向かうためにリビングを出たのと、ヒョンが部屋から出てきたのがピッタリ同じタイミングで。目深に被ったキャップが今からお出かけしてきます!と主張してくる。
「ちょヒョン、1分だけ待って。」
どこへ行くつもり?と聞かないかわりにそう言い残して自室へと走った。リュックと帽子を引っ掴んでジミニヒョンの元へとカムバック。
自分よりも先に忙しそうに靴を履くおれを呆れた目で見ているジミニヒョン。それでも、来るなとは言われなかったので、おれは堂々とヒョンのあとを着いて行った。
「余計なのが一緒なんだけど、いい?ほんっと、ごめんね?」
全然いいですよ、といかにもアイドルらしいキラキラの笑顔でもってジミニヒョンを自分の真隣りの席に誘導する年下イケメンラッパー野郎。
おれ今日コンタクトつけてないのに、こいつがイケメンだってことはこの暗がりでも鮮明に見えている。くそう完敗だ悔しいけど。世界一の顔面を持ち合わせているあの人を連れてくるべきだった。
目の前の二人は仲良さげに肩を並べてメニューを覗きこんでいて。なに、このカップル感。どうせ、どうせおれはお邪魔虫ですよ。
「おまえ、なに飲む?」
「お構いなく、よけいなジョングギは適当にやるんで。」
「あっそ。」
なに拗ねてんだって怒られると思っていたのに、ぷいっと顔を背けられてもう完全に立場も居場所も失った、おれ。
こんなに笑ってるジミニヒョンを見るのは本当に久しぶりだし。どんだけ楽しいんだよ、と喉まで出かかった言葉を飲み込んで。好きな人が他の男とイチャイチャしているのを見せつけられているだけの、ただひたすら我慢の時間が続く。
「ヒョン、トイレに行くけど?」
「どうぞ?」
「おまえは?行かない?」
「行かない、早く行けば。」
「...。」
なに、その顔。心配しなくてもこんな公共の場で胸ぐら掴みにいくわけないでしょ、おれだって大人なんだから。
「ジミニヒョン、今日はテンション高めだね。やっぱジョングクがいるから?」
「は?さっそくイヤミですかっと。」
「チョンジョングクのどこが良かったのかなぁ?顔はいいけど、包容力はなさそうだよね?力は強そうだから、守ってくれそうなとことか?でも見るからに年下っぽいし、頼りがいはなさそうだよね?」
「は?は?は?ケンカ売ってんの。表出ろ、」
「まさか!始めから勝てない相手に喧嘩を売るほど馬鹿じゃないよ。」
仲良くしようよ、と握手を求められた手を叩き落としてやったところにジミニヒョンが戻ってきて、頭を思いきりぶっ叩かれた。いや、タイミング。
おれ何しに来たんだっけ?この人はおれのだって、おまえには渡さないって、悪いけど諦めてくれって態度で示すつもりだったけど。諦めなきゃいけないのは、おれの方とか。
やけになって飲んだくれたけどちっとも酔えないし、鈴の音のようなジミニヒョンの笑い声がおれの心を揺さぶった。もう一度おれを見て、おれを好きになってと心が叫んでいる、大声で。
そのあとのことはよく覚えていなくて、ハッキリと覚えているのは最後に見たあいつのしかめっ面。
今日は楽しかったねまたおいでよ、となぜか上から口調のあいつがタクシーに乗り込む間際、ニコやかに差し出されたごつごつの手をおれは、持てる限りの力で叩き落としてやったから。
