好きしか知らない 𝚙𝚝.𝟸
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【𝙹𝚞𝚗𝚐𝚔𝚘𝚘𝚔】
あの人の小さな手を絶対に、ぜったいに離すもんか!と握りしめて眠る夢を見た。夢だと知ったのは目覚めたらベッドの脇に突っ伏してる後頭部がテヒョンイヒョンのものだったから。
「ヒョン?テヒョンイヒョン!自分の部屋で寝てください。」
「ん...んぅーっ!?起きたのか?熱は?」
「分かんないですけど、もう大丈夫ですから。おれ...へんな寝言とか言ってないです、か?」
夢の中でおれは何度も何度も愛しい人の名前を呼んで、行かないで、そばにいて、なんて子供みたいに駄々をこねた。これ、声に出しちゃってたらなかなか気まずい。
「ん、めっちゃ言ってた。」
「ぁ.....うそ?なんて...?」
「じみにひょん、じみにひょん、じみにひょ、って連呼してた.....ウケる。」
「...。」
よりによって...このヒョンにという思いと、それでも聞かれたのがジミニヒョンじゃなくて良かったという複雑な思い。もうあの人がおれなんかを心配してくれることはないだろうけど。
「悩みまくった挙句この結果?お前の気持ち俺は分からんでもないけどさ、ジミンが鈍感なの知ってるよな。」
「その話はよして、今は何も考えたくない。」
「お前が身を引いたところでだ、今度あいつが好きになる相手が女だとは限らないじゃん。次もまた男だったら?お前のしたことは無意味ってわけ。」
「例えば...テヒョンイヒョン、とか?」
「はぁ...お前ね底なしの嫉妬心を全部俺に投げつけてくんなっての!確かに?お前よりはジミンを大事にしてる自信はあるけど、俺はあいつの尻に突っ込みたいわけじゃない。」
「あんた最低。」
「何とでも言え、俺はお前のこともちゃんと可愛がってやってんだからな。可愛い弟が泣いて後悔しないように、兄としていっこだけ教えといてやる。」
なに考えてんのか分かんないのはいつものことだけど、この人の整った顔は真顔になると冷酷そのものに見えるから。一体なにを言われるんだろう、とちょっぴり怖くなってごくりと喉が鳴った。
「あの年下イケメンラッパー野郎グイグイきてるぞ、ジミンが落ちるのも時間の問題かもな。さぁどうする?」
忠告したぞー、ってひらひらと手を振りながら出ていく後ろ姿を見送ったけれど。結局、あのヒョンはおれの味方なんだろうか?年下イケメンラッパー野郎?全く、またわけのわかんないことを、...え?
あの日の光景がフラッシュバックして、あいつの顔が浮かぶ。自分の傷を舐めるのに必死で記憶を抹殺していた。おれ病み上がりなのに、ただでさえ弱ってるのに、くそう、テヒョンイヒョンめ。最後の最後に四次元爆弾を落とされて、おれの心は粉々に砕け散った。
*
あのとき砕けた心はそう簡単に元に戻るものでもなく、身体は健康なはずなのに時々おれって病気なのかな、と心配になってしまう。
スマホを弄るジミニヒョンを見ると連絡を取り合ってるんじゃないかって気になってしょうがないわ、プライベートで出かけたりすると帰ってくるまで心配で眠れないわ。
番組収録が被ってる日なんか、ずっとジミニヒョンの動向を目で追ってしまって目が合いそうになると慌てて逸らしたりして自己嫌悪。...重症だ、おれ。
あの人のことを諦めるどころかこの想いはますます膨らんでいくばかりで。目と目で挨拶を交わすジミニヒョンとあいつを見てしまった日には胸が張り裂けそうに痛くて死にかけたし。
仲良く会話してるところに出くわしたり、しかもジミニヒョンが笑顔だったり、なんだったらヒョンの手があいつの腕に添えられてたりして、どっちにしろおれの余命は長くなさそう。
これ、いつまで続くの?どれくらい耐えれば楽になる?どれだけの時間が経てば忘れられるんだって。
「チョンジョングー。」
ぐるぐるとネガティブなことばかりを考えて思いきりしかめっ面をしていたらしいおれに、これまた抑揚のないシュガヒョンの声。
飯行くぞ、なんて外出を避けるシュガヒョンにしては珍しいお誘いに驚きつつ、ヤンコチに釣られてついてきてしまった。次々とお皿に盛られるお肉を口の中に放り込むのに忙しくてついつい無言のままで食事がすすむ。それからシュガヒョンが饒舌にしゃべり出すとお酒が回ってきた証拠で。
「俺は最初っからお前らのことは認めてる。」
おれを見るシュガヒョンの目が据わってる。その強い口調にさすがになんのこと?なんてとぼけるのは野暮だとここは素直に箸を置いた。
「ナムジュンは絶対反対の意思は崩さなかったが、俺とジンヒョンは反対する理由がないと言ったよ、どこの誰とも分からないやつと付き合うより目が行き届いていいじゃないかってな。ナムジュンもそれには賛同したわ。だからチーム内でお前たち二人を反対するやつはいないってことだ。」
「ありがとうヒョンでも...もう、」
「終わった?諦めるって?本気でそう思ってるんだな?」
「今すぐってわけにはいかないけど、努力はしてる...だからもう、いい。」
「お前さ、ジミンのこと気持ち悪いくらい見てるくせに肝心なことは全然見えてないのな。鈍すぎだわ、お前もジミンも。」
腹割って二人で話し合ってみろ、って。おれたちのせいでジンヒョンとナムジュニヒョンが毎日のようにケンカしていると聞かされてとりあえず、頷いた。おまけにテヒョンイヒョンが毎日うるさすぎると怒られたけど、それはおれのせいじゃないから。
酔っぱらったシュガヒョンを抱えて宿舎に戻ったら最初に出くわしたのがこれまたテヒョンイヒョンで。あんたのせいで家に着くまでネチネチ言われたんだけど、と無言で抗議。
なぜかシュガヒョンの部屋まで後をついてきてベッドに寝かせて布団をかけるまで、手伝うでもなくただ見ているだけ。その後おれは冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出しながら、我慢も限界だと隣りの男を睨みつけた。
「何なんですか!さっきから。」
「べつに?」
「何を期待しているのか知りませんけど、煽られたって二度と気持ちなんか伝えませんから。」
「あそ、年下イケメンラッパー野郎と付き合ってからじゃ遅いと思うけどね俺は。今ならまだ間に合っ、」
「そうならないようにするのがあなたの役目でしょ!絶対、ぜえーったい!何がなんでもっ、阻止してください!!」
「はぁ?俺が?何のために?お前がすれば。」
「それが出来ないからっ、...ヒョン、お願いします。」
「俺はね、ジミンが幸せなら男だろうが女だろうがどっちでもいいわけ。もっと言えば、ジョングクでも年下イケメンラッパー野郎でも、あいつが幸せになれるならどっちだっていい。」
「なんでそんなこと言うの、ジミニヒョンの未来を壊さないでよ!あの人はっ、綺麗な奥さんと可愛い子供たちに囲まれて幸せに暮らさなきゃいけないんだ!だからおれは諦っ、」
思わず声を荒げてしまったおれを見ていた三白眼がパチパチと瞬きをしたあと、視線がゆっくりと逸らされる。おれの横を通り過ぎる視線を追うように後ろを振り返って息を止めた。
ドアノブに手をかけたまま、呆れているような、怒っているような、とても冷めた目をしたジミニヒョンがこっちを見ていた。いつからそこにいた?
ご機嫌をとるように巻きつけられたテヒョンイョンの腕を勢いよく振り払って、見たこともないような苦々しい顔でおれを睨んで。そして噛みしめていた口唇がゆっくりと開かれた。
「...なんだよそれバカにすんな。」
あの人の小さな手を絶対に、ぜったいに離すもんか!と握りしめて眠る夢を見た。夢だと知ったのは目覚めたらベッドの脇に突っ伏してる後頭部がテヒョンイヒョンのものだったから。
「ヒョン?テヒョンイヒョン!自分の部屋で寝てください。」
「ん...んぅーっ!?起きたのか?熱は?」
「分かんないですけど、もう大丈夫ですから。おれ...へんな寝言とか言ってないです、か?」
夢の中でおれは何度も何度も愛しい人の名前を呼んで、行かないで、そばにいて、なんて子供みたいに駄々をこねた。これ、声に出しちゃってたらなかなか気まずい。
「ん、めっちゃ言ってた。」
「ぁ.....うそ?なんて...?」
「じみにひょん、じみにひょん、じみにひょ、って連呼してた.....ウケる。」
「...。」
よりによって...このヒョンにという思いと、それでも聞かれたのがジミニヒョンじゃなくて良かったという複雑な思い。もうあの人がおれなんかを心配してくれることはないだろうけど。
「悩みまくった挙句この結果?お前の気持ち俺は分からんでもないけどさ、ジミンが鈍感なの知ってるよな。」
「その話はよして、今は何も考えたくない。」
「お前が身を引いたところでだ、今度あいつが好きになる相手が女だとは限らないじゃん。次もまた男だったら?お前のしたことは無意味ってわけ。」
「例えば...テヒョンイヒョン、とか?」
「はぁ...お前ね底なしの嫉妬心を全部俺に投げつけてくんなっての!確かに?お前よりはジミンを大事にしてる自信はあるけど、俺はあいつの尻に突っ込みたいわけじゃない。」
「あんた最低。」
「何とでも言え、俺はお前のこともちゃんと可愛がってやってんだからな。可愛い弟が泣いて後悔しないように、兄としていっこだけ教えといてやる。」
なに考えてんのか分かんないのはいつものことだけど、この人の整った顔は真顔になると冷酷そのものに見えるから。一体なにを言われるんだろう、とちょっぴり怖くなってごくりと喉が鳴った。
「あの年下イケメンラッパー野郎グイグイきてるぞ、ジミンが落ちるのも時間の問題かもな。さぁどうする?」
忠告したぞー、ってひらひらと手を振りながら出ていく後ろ姿を見送ったけれど。結局、あのヒョンはおれの味方なんだろうか?年下イケメンラッパー野郎?全く、またわけのわかんないことを、...え?
あの日の光景がフラッシュバックして、あいつの顔が浮かぶ。自分の傷を舐めるのに必死で記憶を抹殺していた。おれ病み上がりなのに、ただでさえ弱ってるのに、くそう、テヒョンイヒョンめ。最後の最後に四次元爆弾を落とされて、おれの心は粉々に砕け散った。
*
あのとき砕けた心はそう簡単に元に戻るものでもなく、身体は健康なはずなのに時々おれって病気なのかな、と心配になってしまう。
スマホを弄るジミニヒョンを見ると連絡を取り合ってるんじゃないかって気になってしょうがないわ、プライベートで出かけたりすると帰ってくるまで心配で眠れないわ。
番組収録が被ってる日なんか、ずっとジミニヒョンの動向を目で追ってしまって目が合いそうになると慌てて逸らしたりして自己嫌悪。...重症だ、おれ。
あの人のことを諦めるどころかこの想いはますます膨らんでいくばかりで。目と目で挨拶を交わすジミニヒョンとあいつを見てしまった日には胸が張り裂けそうに痛くて死にかけたし。
仲良く会話してるところに出くわしたり、しかもジミニヒョンが笑顔だったり、なんだったらヒョンの手があいつの腕に添えられてたりして、どっちにしろおれの余命は長くなさそう。
これ、いつまで続くの?どれくらい耐えれば楽になる?どれだけの時間が経てば忘れられるんだって。
「チョンジョングー。」
ぐるぐるとネガティブなことばかりを考えて思いきりしかめっ面をしていたらしいおれに、これまた抑揚のないシュガヒョンの声。
飯行くぞ、なんて外出を避けるシュガヒョンにしては珍しいお誘いに驚きつつ、ヤンコチに釣られてついてきてしまった。次々とお皿に盛られるお肉を口の中に放り込むのに忙しくてついつい無言のままで食事がすすむ。それからシュガヒョンが饒舌にしゃべり出すとお酒が回ってきた証拠で。
「俺は最初っからお前らのことは認めてる。」
おれを見るシュガヒョンの目が据わってる。その強い口調にさすがになんのこと?なんてとぼけるのは野暮だとここは素直に箸を置いた。
「ナムジュンは絶対反対の意思は崩さなかったが、俺とジンヒョンは反対する理由がないと言ったよ、どこの誰とも分からないやつと付き合うより目が行き届いていいじゃないかってな。ナムジュンもそれには賛同したわ。だからチーム内でお前たち二人を反対するやつはいないってことだ。」
「ありがとうヒョンでも...もう、」
「終わった?諦めるって?本気でそう思ってるんだな?」
「今すぐってわけにはいかないけど、努力はしてる...だからもう、いい。」
「お前さ、ジミンのこと気持ち悪いくらい見てるくせに肝心なことは全然見えてないのな。鈍すぎだわ、お前もジミンも。」
腹割って二人で話し合ってみろ、って。おれたちのせいでジンヒョンとナムジュニヒョンが毎日のようにケンカしていると聞かされてとりあえず、頷いた。おまけにテヒョンイヒョンが毎日うるさすぎると怒られたけど、それはおれのせいじゃないから。
酔っぱらったシュガヒョンを抱えて宿舎に戻ったら最初に出くわしたのがこれまたテヒョンイヒョンで。あんたのせいで家に着くまでネチネチ言われたんだけど、と無言で抗議。
なぜかシュガヒョンの部屋まで後をついてきてベッドに寝かせて布団をかけるまで、手伝うでもなくただ見ているだけ。その後おれは冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出しながら、我慢も限界だと隣りの男を睨みつけた。
「何なんですか!さっきから。」
「べつに?」
「何を期待しているのか知りませんけど、煽られたって二度と気持ちなんか伝えませんから。」
「あそ、年下イケメンラッパー野郎と付き合ってからじゃ遅いと思うけどね俺は。今ならまだ間に合っ、」
「そうならないようにするのがあなたの役目でしょ!絶対、ぜえーったい!何がなんでもっ、阻止してください!!」
「はぁ?俺が?何のために?お前がすれば。」
「それが出来ないからっ、...ヒョン、お願いします。」
「俺はね、ジミンが幸せなら男だろうが女だろうがどっちでもいいわけ。もっと言えば、ジョングクでも年下イケメンラッパー野郎でも、あいつが幸せになれるならどっちだっていい。」
「なんでそんなこと言うの、ジミニヒョンの未来を壊さないでよ!あの人はっ、綺麗な奥さんと可愛い子供たちに囲まれて幸せに暮らさなきゃいけないんだ!だからおれは諦っ、」
思わず声を荒げてしまったおれを見ていた三白眼がパチパチと瞬きをしたあと、視線がゆっくりと逸らされる。おれの横を通り過ぎる視線を追うように後ろを振り返って息を止めた。
ドアノブに手をかけたまま、呆れているような、怒っているような、とても冷めた目をしたジミニヒョンがこっちを見ていた。いつからそこにいた?
ご機嫌をとるように巻きつけられたテヒョンイョンの腕を勢いよく振り払って、見たこともないような苦々しい顔でおれを睨んで。そして噛みしめていた口唇がゆっくりと開かれた。
「...なんだよそれバカにすんな。」
