お隣さん同士のとある日常
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『次のニュースです。○○県○○市に住む、高校生の○○●●さんが、三日前から行方不明となっておりましたが、
今日の夕方4時頃、ご自宅近くの土手で、ドラム缶の中で遺体となって発見されました』
「「っ!」」
『行方不明となった三日前、部活動が終わっている時間にも関わらず、まだ学校から帰って来ない娘さんを心配し、
母親が友人や学校に電話を掛けたところ、既に帰宅していると聞き、捜索願を出したとの事です。
警察では現場近くで事情聴取を行っており、●●さんの友人学校関係でも、調査に入っておりますが、
詳しい情報は少なく、犯人はまだ捕まっておりません』
キャスターの声が、段々と遠くなるように感じた。
まるで、今起こっている事と同じ、そして未来を見せられているかのような…。
真昼は急いで蒼のスマホに掛けてみるが繋がらず…すぐに留守番サービスの音声が響く。
耳からスマホを離し、脱力する真昼、クロが声を掛けようとすると、先に真昼がクロの名を呼んだ。
「おい、ま……」
「クロ」
「!」
「……わりぃ、クロ。俺、ちゃんと話聞けば良かった。ちゃんと理解しようとすれば良かった」
「……」
下を向いていた真昼の顔が、ようやく上がり、バッと上着を持った。
「蒼を探しに行くぞ!!」
「……はあ~…」
ズンズンと進む真昼に続き、どういう意味で吐いたか分からないため息をついた後、クロは重い腰を上げた。
それからひたすら走り回り、蒼の行方を追った。
辺りはすっかり暗くなり、街灯だけが真昼と猫のクロを照らす。
「っはぁ…はぁ…… 蒼…どこ行ったんだ…っ」
暗くなるにつれて真昼にも不安が募る。
まさか、さっきのニュースみたいに、誰かに連れ去られて……。
死―――――…ッ
真昼は再度走り始めた。
蒼…
誰よりも優しくて、危なっかしくて、守るためなら自分の命さえ投げる
そんな蒼だから、守ってやりたいと思った
あの、ふんわり笑った笑顔が好きで…
でもいつしかそれは、暗闇の中へ…
ふっと消えて無くなってしまいそうで…
蒼の笑顔を思い浮かべながら、真昼は必死の思いで叫んだ。
「蒼――――――――――っ!!」
「へ?なぁに?」
「「~~っっっ!!!??」」
あっさりと近くから返ってきた蒼の返事に、真昼もクロも目ん玉を飛び出させてしまった。
通り過ぎようとしたのは病院、体育の時に直撃した額を診てもらおうと寄っていた。
丁度病院を出た時に、走る真昼と遭遇したという訳だ。
「蒼っ!?え、ちょっ、なっ、へ!?」
「どうしたの?そんな慌てて」
「慌ててって…帰りが遅いから心配で探してたんだよっ」
「……あ!そっか、連絡忘れてた。今日ぶつけたとこ診てもらってたんだけど、終わったらね?
なんと先生の奥様が、作ってくれたシャーベットをご馳走してくれてね!もう本当にこれが美味しくてね♪絶賛の嵐よ!」
「は……?」
「最近お菓子作りにハマったって言っててね、それで今日作ったのはマンゴーのシャーベット♪
もう何度だって言っちゃうくらいに美味しくって!ついお持ち帰りをお願いしちゃいまして!」
常に携帯している自前の保冷バッグをこれみよがしに見せる蒼。
キラキラした幸せそうな顔に、まだ二人は頭が追いついていない。
「あと、きっとこれのおかげだと思う」
カバンの中をごそごそと探し取り出したのは、手のひらサイズぐらいの黒いぬいぐるみだった。
それを見たクロは「あ…」と声を漏らした。
占いのラッキーパーソン、ネコのぬいぐるみ。
蒼が持っていたのは、黒ネコのぬいぐるみだったのだ。
線目で両手両足を広げている蒼は…。
「まるでクロみたいでしょ?このだらんとした感じとか!あとこの前髪なんておんなじ!」
なんて嬉しそうに、人の気も知らず人形の両手を持ってピコピコと揺らしている。
真昼は一気に脱力し、その場に座り込んでしまった。