お隣さん同士の助け合い
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いつの間にか雨は上がっていた。
雲間から差し込む無数の光に、蒼達は感動を覚える。
雨の雫がキラキラと輝き、蒼は窓に手をついて目に焼き付けていた。
クロが猫の姿になったのは、雨上がりの陽が出てきたからだ。
「なんだっけ……確か、天使の梯子って言うんだっけ」
「そう」
「でも、何で天使の梯子なんだろ」
「旧約聖書創世記のある一説に由来するんだよ」
「聖書?」
「うん」
ヤコブの梯子とも言われている。
一説には、ヤコブが夢の中で、雲の切れ間から差す光のような梯子が天から地上に伸び、そこを天使が上り下りしている光景を見たとされている。
このことからやがて、自然現象でも呼ばれるようになった。
(Wikipedia:薄明光線-ハクメイコウセン-より参照)
「他にも天使の階段とか、レンプラント光線とか呼ばれてて…あと、宮沢賢治が光のパイプオルガンとも呼んでたそうだよ?」
「へえ~…」
「でも素敵だよね…あの綺麗な光の梯子を、天使が上り下りしてると思ったら……」
「…まあ、そうだな」
「一回でいいから、天使の梯子渡ってみたいなあ…。どれだけ高いんだろう…」
「渡ったら戻れなくなるだろ、天使じゃないんだから」
「あ、そっか…えへへ」
「ったく…笑い事じゃねーっつーの」
蒼が言うと洒落にならない。
誰かが危ない目に遇っている時、すかさず身を呈して助けようとする。
下手したら、命を落としかねない行動も多々あった。
何度言っても繰り返してしまう…。
真昼自身も、蒼の突発的な行動に関しては寿命を縮めることも少なくないのだ。
「雨上がりっていいね。全部が透き通ってる感じがして…」
しかし、それを気にしていない蒼。
全く能天気というか、なんというか…。
「真昼くん。薬飲んだら、また眠るといいよ。楽になってると思う」
「……うん」
「……」ジッ
「な、なんだよ…」
「…寂しいなら一緒に寝ようか?」
「っ!!?やっ、なっ、なななっ、何言ってんだよ!!だ、だだだ大丈夫だからっ!!」
「そう?食器洗い終わったら時間取れるよ?」
「だ、だだ、大丈夫だって!!子供じゃないんだからっ!!何度も言ってるだろ!?」
「?…そう?」
こういう風に、サラッと言ってしまうことも多々ある。
天然というものは、本当に罪なものだ…。
クロも蒼の発言にはいつも「はあ~…」と、つい溜め息をついてしまう。
「あ、タオル取り替えないとね」
「い、いいよ……自分で出来るから…」
「いいからいいから♪はい、首上げて?」
「っ……」
巻いていたタオルを取り、新しいタオルを巻き付ける。
されるがままの真昼は固まった状態。
「はい、終わり!…じゃあ、食器片付けてくるね。ゆっくりお休み〜」
「あ、ああ…お休み…」
肩にクロを乗っけて、薬と水だけ置いて部屋を出ていった蒼。
背中を見送る真昼は、緊張感がほどけたように再度溜め息をついた。
眠る前にも、蒼に突発的な発言を受けドギマギしてしまい、その時と同じように「……はあ~…」と。
用意してくれた薬を飲む真昼。
再び布団の中へ身体を埋め、口の中にほのかに香るハチミツがまだ残っているのが分かった。
トロン…と瞼が重くなり、ゆっくりと目を閉じていく…。
─────「……真昼くん…」─────
─────「真昼くんはいつも頑張ってるもの」─────
─────「笑ったりしないよ」─────
─────「…でも……嬉しかったでしょう?」─────
─────「明日はきっと元気になるよ」─────
蒼の笑顔を思い浮かべ、ふと思わず笑みを溢すと、真昼はそのまま夢の中へと落ちていった。