お隣さん同士の助け合い
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「どう?」
「ん~……ちょっと高いかも…」
「見せて?」
差し出した蒼の手の平に体温計を置いた。
【38.4℃】と表示されていた結果を見て「ちょっとどころじゃないよ…」と困った表情でそう呟いた。
心配そうに真昼へ目線を移すと、パチンと目が合い、蒼は思わずふと笑った。
「今日は学校休もう?学校には、私が連絡入れるから」
「おう…悪いな」
「気にしないで?それで、少ししたら一緒に病院行こう?」
「うん…………て……え?」
「今連絡入れるから、ちょっと待っててね?」
ポケットから携帯を取り出し、学校に電話をする蒼。
一方で真昼は、先程の蒼の発言が気になった。
今、一緒にって…言った?
「……あ、おはようございます。1-6の夜明蒼と申します、朝早くからすみません」
「……」
蒼の会話を黙って聞く真昼。
とても高校生とは思えない程ちゃんとした言葉遣いで、落ち着いた言い方、いつ聞いても凄いなと思うものだった。
「実は、同じクラスの城田真昼くんが、風邪を引いてしまいまして。学校をお休みさせて頂きたくご連絡しました。
それと、ご家族が今海外出張中なので、看病の為私も休ませて頂きたいのですが」
「えっ!?ちょ…蒼っ!?」
「はい、よろしくお願い致します。では、失礼します」
「……」
電話が終わったらしく、真昼は慌てて「大丈夫だよっ」と身体を起こそうとした。
それを制止する蒼。
ムッとした表情で「ダメよ!」と返し、そのまま横たわらせた。
端から見れば、蒼が真昼を押し倒しているような光景だ。
熱のせいか、真昼の鼓動は大きく動いている。
ドクン…ドクン…
「ちょっ……蒼…!?」
「ダメだよ、もし病院行く途中で何かあったらどうするの?こんな雨の中…」
「っ……」
「私も一緒に行くから」
「…は……はい……」
「よし♪」
蒼はようやく真昼から離れ、そのままリビングのドアへ向かった。
「病院まだ開いてないと思うし、部屋に戻って着替えてくるよ」とリビングを出ていく前に真昼に言う。
あ!と何かを思い出したように声を漏らし、「ちょっと待ってて?」と言ってリビングを出ていった。
「はあ~~~……ホント、天然て罪だよな……」
そう呟く真昼の言葉は、本人の耳にしか入らない。
少しして、蒼が毛布を持ってリビングに戻ってきた。
「まだ時間あるから、毛布持ってきた」とてとてと近づき、真昼にかけてあげる。
「さ、さんきゅ…」
「どう致しまして。病院から帰ってきたら着替えようね、制服」
「おう……」
ふっと笑みをこぼすと、ポンポンと毛布の上から優しく叩き「着替えてくるね」と一言残して、蒼は再度リビングを出ていく。
パタンとドアを閉めては、もう一度ドアを見やる。
正確に言えば、その向こうで休んでいる真昼を心配しながら…。
(あ……後でクロも起こさないと…)
──────────……
「なんだ、アイツ風邪か…」
「うん。もう少ししたら病院に行くから、用意しといてね?」
「めんどくせー……で、何で蒼は私服なんだ?学校行かねーのか?」
「行っても真昼くんが気になって、授業に集中出来ないだろうし…叔父様もいないからね。看病で私も休む事にしたの」
「…ふぅ~ん」
「帰ってきたら、朝ご飯作るね?」
「おー」
クロに事情を説明し、蒼はもう一度リビングに向かった。
真昼は息が荒く、少し苦しそうにしているのが見えた。
そ~っと真昼に近付く。
「……蒼?」
「あ、ごめんね?起こしちゃって…」
「いや、起きてたから…」
「そっか。クロ起こしてきたから…準備が終わったら、病院行こう?」
「ん……」
そして準備が整い、雨の中ゆっくりした足取りで病院へ向かう。
黒猫姿になったクロを抱えながら、蒼は隣を歩く真昼を心配しながら見つめていた。
一方で真昼は、ふらつきながらもなんとか歩いている。
どこか思い悩んだ顔をしながら…。
そして病院に到着した二人と一匹。