お隣さん同士のとある日常
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夕食が終わり、片付けを終えた後、二人で宿題をして、時間はあれよあれよという間に過ぎていく。
蒼が自分の部屋に戻るという事で、真昼は見送りをしていた。
クロも隣で蒼を見送る。
「あ、真昼くん。明日、スーパーともう一件買い物に行きたいんだけど…いいかな?」
「?おう。どこ行くんだ?」
「駅前の手芸屋さん」
「手芸?なんか繕うのか?」
「うん♪」
猫の人形をポケットから取り出す。
顔を真昼らに向けてピコピコと両手を動かしながら、「この子と一緒にいてくれる子たちを作ろうと思って♪」嬉しそうにそう言った。
動かすのを止め、顔を自分の方へ向けて人形を見つめながら…。
「この子、クロみたいだねって言ったでしょ?」
「ああ」
「クロは今真昼くんがいるけど、こっちのクロは、このままだと1人ぼっちになっちゃうから。
だから、真昼くん色の猫くんと、私色の猫くんを作って一緒にいさせてあげようと思ったの」
「!」
「へ~いいなそれ」
「でしょ!私がいなくなっても、寂しくないように…って」
蒼はクロと視線がぶつかり、ニコッと笑顔を浮かべた。
クロは照れくさいのを隠す為、蒼の頭を両手でくしゃくしゃと撫で回す。
くしゃくしゃ
「わっ、ちょ、クロ!?」
「おいクロ!急にどうしたんだよっ」
「……」
ようやく手を離したクロは、「オレ風呂に入ってくる」とだけ残して二人に背を向けた。
何なんだ、あいつは…。そんな表情で真昼はクロの背中を見るが、蒼はどこか悟った様な表情で、ふっと笑みをこぼした。
「クロ、お休み」
「…おう」
一度立ち止まり、横目でそれだけ返してクロは風呂の方へと向かった。
パタンとドアを閉めた後、身体を後ろに預けずるずると座り込み顔を伏せた。
くしゃりと頭を掻いて、ボソッと呟く。
「……っんと、向き合えねーよ…」
誰にも聞かれることのないその呟き。
何に向き合えないのか、それはクロ以外に知る者はいない。
一方で、真昼はクロの態度に納得せず「わりーな、クロが」と蒼に謝っていた。
「何考えてんだろ、アイツ…てか、頭すごいことになってる…」
「あはは。でも大丈夫よ、ちゃんと分かってるから」
「へ?」
「叱っちゃダメよ?」
「??」
「それじゃ、真昼くんもお休み」
「お、おう」
パタンと閉めたドアを見つめながら、真昼は理解出来ずに?を飾すだけ。
頭を掻きながらリビングへと戻っていった。
蒼はというと、自分の部屋の玄関前に立ち止まった後、もう一度猫の人形を見つめた。
その先には、クロがカップ麺をずるずると食べている様子が浮かび、クスッと笑った。
「あれは、照れ隠しなんだよね。きっと…クロは嬉しかったんだと思う」
人形に話しかける様に語る蒼。
玄関の鍵を開け入ると、静寂に包まれた暗い部屋。
パチンと明かりを点けて自室へ向かった。
椅子に鞄を降ろし、人形を机に座らせ、壁に寄り掛からせてあげる。
そして優しく頭を撫でて、ふんわり笑みを零しながら…。
「待っててね?クロ。一緒にいてくれる子たち、用意してあげるからね」
どうやら名前はクロと命名したらしい。
人形の頭から手を離し、蒼は自室を出て朝着け置きしておいた食器や、洗濯物などの片付けを始めた。
風呂も入り、机で次の日の準備をする。
ベッドに入る際、蒼は人形に「お休み…」と小さく告げて眠りについた。