09.武器を持つということ
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──────────……
ここは、クロの中の世界…。
まるで炭で塗りたくったような、黒い世界。
とぷっ
<わあ、わあ、溺れちゃう溺れちゃう>
<どうしよう、クロ。真昼の精神がいっぱい流れ込んできてるよ>
<『恐怖』 『後悔』 『動揺』 『拒絶』>
<キミが真昼に会わなかったら、真昼はこんなどろどろにならなかったのに>
<キミが動くと 世界はいつも不幸だね>
精神と呼ばれる黒い沼。
流れ込む思い。
クロはその沼へ静かに堕ちていく…。
とぷん
─────めんどくせえなあ…─────
──────────……
ドクン
現実の世界で、クロは内側から何かに支配されたように鼓動を大きく揺らがした。
目を見開くクロ。
ガッ
爪が真昼のまぶたを抉るように抑えつけ、鋭い歯が真昼の首元を襲った。
「あっ…!?クロ…っ!?」
真昼の血を飲んだクロは、意識を捕らわれたような目をした。
空を仰ぎ、口元から滴る血、目を見開くクロ。
「なんだよ…何…っ。あ…っ?」噛まれた首元を抑え、急な事に後ずさりする真昼。
「……クロ…!ダメ…っ……クロ…!!」
クロの背後から現れる黒い化け物。
巨大化していくその化け物を目に映す蒼は、ナイフで切った首筋に手を当てながら顔を青ざめ、身体を震えさせる。
その巨大な黒い化け物の目から垂れる雫。
「……ク、クロ…」
その雫はまるで涙のようで、影響されるように蒼も涙を流した。
そんな蒼を、クロはチラリと見やる。
真昼も、いつもと違うクロの様子に困惑し呆然としていた。
「クロ…?」
それを見ていた椿は目を見開く。
「これは……まさか?想定外は困ります…どうします、椿さ…」
オトギリが隣にいた椿に呼びかけるが、椿は颯爽と姿を消していた。
「気まぐれな男(ひと)…困ります…」その呟きは、オトギリにしか聞こえずに…。
「クロ!!?どうしたんだよ!!何だこれ…勝手に何して…っ」
「ま、真昼く…っ!!」ゴボッ
「蒼!!」
化け物の流す涙がどんどんと落ちていき、沼のように溜まっていく。
その沼に抵抗する間もなく蒼は引きずり込まれていった。
「クロ!なんだよこの…沼…!?沈───…!」ずっ
言いかけて真昼も引きずり込まれようとしている。
顎元までに沼に沈められ、今にも溺れそうな勢いを必死に抵抗した。
──────────…
ゴボッ…
(……い、息が…できない…っ)
口元を抑え、必死に耐える蒼。
上に上がろうとしても、沼がそれを拒み、まるで抑えているように…。
すると蒼の中に、沢山の精神や感情が流れ込んできた。
(っ!?……これはっ…真昼くんの…?)
『恐怖』 『動揺』 『後悔』 『拒絶』
『怖い』 『怖い怖い怖い』 『死…』
『……っ』
(っ…!!流れ込んでくるっ…真昼くんの…思いが……っそれと…もうひとつ、これは…クロのっ…!!)ゴボッ
精神と感情が流れてきてしまったせいで、ますます苦しくなる蒼。
感情に飲みこまれそうな勢いで、蒼の意識が朦朧としていく中、ダメだと諦めかけ目を閉じたその時…!