08.うそつきはだれだ
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『これで分かったであろう』
『……はあ……はあ……』
『これ以上関わったところで、そなたに希望はない。関わらずとも、所詮未来など…』
『……っ関わらない、なんて…』
『?』
『関わらないなんて、もう出来ない…っ』
『……っ』
蒼の言葉に、女性は再び影を落とし眉間にシワを寄せた。
蒼の脳内に映る言葉は続く。
苦しくも悲しくも、それでも蒼はただ受け入れようとした。
──────『…せめてあと一週間…友達でいられたよかったのにな…』──────
──────『…来週の文化祭、けっこー楽しみにしてたんだ…』──────
ズキンッ
『桜哉…くん……』
蒼の胸が痛む。
桜哉の悲しげに告げる言葉に(…私も、楽しみだったんだよ…?)胸の痛みで絞めつけられようとも、蒼の耐える気持ちは変わらない。
そんな蒼の姿を、女性は苦しそうに見つめていた。
──────『ダメです解いては…──────
──────『さあオレの話はどこまでが嘘でしょ━━━かっ?』──────
ド ク ン
『……っクロ…!』
『これ以上は必要ないだろう』パチンッ
女性は再び指を鳴らし、送り出されていた光景は止まった。
気付けば蒼は頭を抱え、目をぎゅっと閉じ、がくがくと震え続けていた。
『……』
罰が悪そうに、女性はイスから立ち上がり蒼の側まで歩み寄る。
そして蒼の肩にトン…と優しく手を置いた。
触れられた感触に蒼は閉じていた目を開き、隣にいた女性を涙目ながらも見上げて映した。
『すまない…怯えさせてしまったな…』
『っ!……いえ…大丈夫です…』
『けれど、分かったであろう?もう関わる必要はない』
『……っ』
『そなたを守りたいのだ』
段々と呼吸を落ち着かせる蒼。
頭を抑えていた手を外し、膝の上に置いた。
『大丈夫か…?』と心配そうに声を掛ける女性に、蒼は『…はい、大丈夫です』と、少し苦笑いしながら返した。
眉間にシワを寄せ、女性は一つの提案を持ちかける。
『そなたが望むなら、新たな記憶を構築することを約束しよう』
『え…?』
・・・
『あの時…目覚めた瞬間、力を使ったせいで…万全の形で無くすことはできなかった』
『あの時…?』
『けれど、今なら十分に力を使える。…そなたは普通の生活を過ごせる』
『……ふつう、の…?』
『そう…ここじゃない、どこかへ』
美しい景色が見れる場所
月や星が綺麗に見渡せる場所
海を眺められる場所
大自然に囲まれた生活
吸血鬼もいない おかしな事も起こらない
なに不自由なく平和に過ごせる
そなたは誰にでも愛される存在として…
笑って 生きていられる…
・・
これが 私達の 望むもの…
『そなたの記憶をリセットする。あの吸血鬼からも、主人(イヴ)からも、関わった全てを消そう。そなたからも…』
『……ダメ、私…これ以上無くすことはできません』
ふるふると首を横に振り、流れていた涙を拭った。
それを見やる女性は、眉間にシワを寄せて、納得のいかない表情をあらわにしながら問うた。