08.うそつきはだれだ
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『…夢の中…雨が降るアスファルトの上で、とある子供と話したであろう?』
『雨……あ、桜哉くん?』
『あれを通し、本体の気持ちを少しばかり切り取って、私が映し出した』
『本体の、気持ち…?』
『あの者が言った言葉は真実。嘘偽りのない事実』
『何の為に、私に…?』
『…』
下を向きながら、またしても沈黙を唱える女性。
何を目的として映しだしたのか、蒼はもう一度『どうして、私に視せたんですか?』と困惑した表情で問いかけた。
その問いに頬杖を突いて再び真っ直ぐ蒼を見据えて女性は言った。
『これ以上、関わらせぬ為だ』
『!…関わらせない為?』
『…もうこれ以上、そなたはあの者達と関わる必要はない』
『え…?』
『私はそなたをよく知っている。ずっとそなたを見ていたから…』
『ずっと…?』
『ずっと…』
『いつから…?』
『…』
下を向きながら、再び沈黙する女性。
蒼の問いに答えないまま、女性は顔を上げて真っ直ぐと蒼を見つめて言い放つ。
『そなたの記憶が無いなのは、そなたを守る為だ』
『私を、守る…?誰から?何から、ですか…?』
不安そうに問いかける蒼を見て、女性は落ち着いた素振りを見せながらも暗い表情を落とす。
何かを知っているのに、何も言わない。
『私の…記憶が、どうしてそうなったかの理由を…知っているんですか?』
今にも泣きそうな蒼。
それでも女性は何も言わず、もう一度真っ直ぐ見据えて蒼に言い放った。
『私は…私達は、そなたがこれ以上何かを背負ったり、受け止めたり、そのせいで傷付いてほしくはない』
『でも、私が忘れていることで誰かが傷ついてるかもしれないのに…!?』
『…分かっている』
『分かっているなら、どうして…!?』
『どうしても、そなたを守りたいのだ』
『ダメです!そんなこと、私だけ守られて…それが原因で誰かが悲しむのは…絶対ダメ…!』
『……っ』
『……教えてください。私の記憶を…』
手のひらを女性に伸ばす蒼。
それを見た女性は、眉間にシワを寄せて『それはできない』とキッパリ言った。
どうして記憶を取り戻したがる?どうして記憶を教えることを拒む?
お互いの気持ちが交差する。
…先に口を開いたのは、女性だった。
『そうすれば、そなたは確実に傷つく。隙を突かれ、沈められるかもしれない』
『……それでも、知ることで誰かが傷つかないなら…』
『……どうしてもと言うのなら…』
パチンッ
『っ!!……あ、な…なに…?』
女性の指鳴らしで、蒼の脳内にとてつもない早さでそれぞれの人達の言葉が巡り回った。
これから起こるであろう出来事が…。