08.うそつきはだれだ
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ピピピッ
「……38度…」
「ったく、だから休めって言ったのに」
「あはは…ごめん」
「「はあ~…」」と溜息をつく真昼とクロ。
授業が終わるまでここで休めと強制される蒼は、こんな状態では何とも言えず…。
「真昼くん…次の授業行って…?少し休んだら、帰るから…」
「そんな身体で、また倒れたらどうすんだよ。俺も一緒に帰るから」
「ううん…文化祭、真昼くんがいないと…ダメだもの……ね?」
「……分かった」
「手伝えなくて…ごめんね?」
「そんなの気にすんなって」
「クロも…心配かけてごめんね?」
「にゃ〜…」
無理に笑顔でそう取り繕う蒼。
ツキン…と胸を痛めながら…「二時間目終わったら、鞄持ってくるから…それまで寝てるんだぞ?」蒼の額に手を置く。
「…冷たくて、気持ちいい…」少しひんやりする真昼の手が、ほんの少しだけ、蒼の熱を和らげた。
心配しながらも、真昼達は静かに立ち去り、保健室を後にした。
頭が…ぼうっとする…
身体も熱い…視界がぼやける…
嗚呼…また、あの夢を…視るのかな……
いやだなあ…
まぶたは重く、ゆっくりと目を閉じると、視界は暗闇へと変わっていった。
──────────……
『……やっぱり、この夢だ…』
雨…暗闇の中、強く降り続ける雨…。
傘も差さずに佇む一人の少年。
蒼はその姿が桜哉だという事をすぐに理解した。
『桜哉くん!!』いつもならそう叫ぶ蒼。
だが蒼は何も言わず、桜哉へゆっくり近付いて…『桜哉くん…』と、名前を呼んだ。
振りむく桜哉の表情は、今にも泣きそうな、悲哀に満ちたもの。
同じ光景が、繰り返されている…。
『桜哉くん、聞いて?』
『蒼っ…なんで…』
『桜哉くん、いつも笑っていたよね。…それは、悲しい事を隠す為に作っていたの?』
『っ……蒼、なんで来たんだよ。お前が来なければ…』
『それは、私にも、真昼くんにも言えない事なの?』
『お前が来なければ…いつだって、笑っていられたのに…』
『…桜哉くんが悲しいのに、笑っていてほしいなんて思えないよ』
『けどお前だって…それを望んでただろ?なのに…なんで……』
『私は、無理に笑ってほしいなんて思わない』
繰り返される桜哉の言葉。
問いかけても同じ言葉しか答えず、桜哉は続ける。
『なんで…お前なんだ?』
『…桜哉くん』
『お前が、あの雨の中オレに気付かなければ…』
『気付くよ、桜哉くんだもの』
『オレなんか気遣って、後を追ってこなければ…』
『気にするよ、あんなつらそうな顔を見たら』
『オレは今…皆の隣で、蒼の隣で笑っていられたのに…』
『…それは、無理にでも笑っていないとダメな事なの?』
『オレは明日も、蒼の望む世界にいられたのに』
『私は、桜哉くんが悲しいまま笑っているのなら、そんな世界望まない!』
『こんな簡単なことで、世界なんて壊れてい『壊れないよ!!』
『っ!?』
いつもなら桜哉が言い残した後、闇の中へと消えていき、そしてあの声が聞こえる。
だが何度も夢見る内に、夢の中の桜哉に自分の思いを訴えれば変わるかもしれない。
そう考えたのだ。
思惑通り、桜哉は蒼の言葉で留まり、闇の中へ消えることはなかった。
そして、蒼は戸惑う桜哉に対し、ふっと微笑む。
桜哉の両頬に自分の手を当てて正面を向かせた。