08.うそつきはだれだ
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ピンポ───────ン…
「…蒼…もう学校行ったのかな」
「電話出なかったんだろ?もう登校してて、気付いてねーだけなんじゃねーのか?」
「ん~…けど、先に行く時は必ずメッセージくれるから…」
合い鍵を取り出し、玄関のカギを開ける真昼。
カチャッ…と遠慮がちに扉を開け、小さい声で「お邪魔しまーす…」と中の様子を確かめてみる。
明かりは点いていた。
「蒼ー?」
「お前…不法侵入だぞ?犯罪なんかと向き合えねーよ…」
「蒼から合い鍵預かってんだよ!なんかあった時助け合えるようにって。だから不法侵入なんかじゃねえ!」
「…はあ――――……」
ガチャ…
するとリビングのドアが開き、蒼はのっそりと顔を出した。
「あ、真昼くん…おはよ~…」力のないうっすらしたような挨拶。
蒼の様子が違うとすぐに察知しながらも「お、おはよ…」と挨拶を返した。
そのままリビングのドアを閉め、玄関まで向かって来た。
「クロも、おはよ~…」
「……おー…」
「蒼、どうした?なんか様子変だぞ?」
「え〜?大丈夫よ~。さ、早く学校行こう」
「…あ、ああ」
様子が違う、それでも蒼はローファーに履き替え、部屋を出て行った。
真昼もそれについていく。
登校中でも、蒼はふらふらしながら学校へ向かっている。
隣で真昼もクロも心配そうに見つめていた。
「…蒼、お前風邪引いてんだろ?」
「へ~~…?そ、そんなことないよ~」
「……」
額に手を当ててみると、熱が真昼に伝わっていく。
ようやくその病名が判明した。
「熱あるじゃねーか!やっぱ風邪引いてるし!帰って休まないとダメだろ!?」
「だ…大丈夫、大丈夫よ~~…それに、もうすぐ文化祭だし、今休んだら迷惑かかるもの」
「けど…」
「それに…」
「?」
休む事に渋る蒼。
「無理して行ったら、悪化するだろ?」蒼の身体を心配して、真昼は説得する。
それでも蒼には、学校に行きたい理由があるのだ。
文化祭で歌う曲の練習や、夢に視た事も含めて…。
「…真昼くん。桜哉くんに…電話した?」
「…え?あ…桜哉か、昨日電話したんだけど出なかったんだよなー」
「…そう」
「今日の放課後、桜哉ん家行ってみるよ」
「私も行きたい!」
「ダメだって!それでまた更に悪化したらどうすんだよ!帰ったら休めって!」
「う~~…せめて、電話ちょうだいって伝えて?お願い…!」
蒼の火照った顔と、うるうるした上目遣いに真昼も顔を真っ赤にさせる。
真昼の場合は、熱とかそんなものが原因ではないが…。
そんな蒼の必死さと訴えに、真昼は心折られて「~~っ……わ、分かった」と一言。
ほっとする蒼はにっこり笑って「ありがとう~…」と返した。
「ほ、ほら!学校行くぞ!?」
「うん…」
足早でずんずんと行く真昼に、蒼は必死についていく。
そして学校に到着。
おはようと挨拶を交わしていくが、気付く者は気付く。
蒼が風邪を引きながらも来たこと…それでも蒼は大丈夫と言い続けた。
チャイムまで、結局桜哉は登校しないまま…。
一時間目が終わってすぐ、真昼は肩にクロを乗せて蒼に近付いた。
「大丈夫か?蒼」
「…うん、大丈夫…」
(全然大丈夫に見えねー…)
「なあ、やっぱ帰った方がいいって…!」
「大丈夫よ〜。心配しないで、ね?ほらっ…」カタンッ
席を立とうとしたところ、ふらぁっ…と真昼の方へ倒れ込む蒼。
「っ!?蒼!!」
目の前にいた真昼が、蒼の身体を支えた。
ポスッと真昼の腕に収まる蒼は、ぴくりとも身体を動かすことができずにいた。
「蒼っ!?」
「蒼ちゃん!?」
「どうしたの!?」
わあっと集まり蒼を心配してくるクラスメイト達。
「蒼、熱あるね…」
「ったく、何で学校来んだよ…」
虎雪と龍征も心配してくれる。
「俺、蒼を保健室に連れてくよ」蒼を抱きかかえ、龍征たちにそう伝える真昼。
「先生に言っておくよ」と虎雪が返し、クラスメイト達も心配そうに保健室に向かう背中を見送った。